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「これから観に行く上で全く役に立たない映画レビュー」
映画レビュー 平成27年

これから観に行く上で全く役に立たない映画レビュー 2015年上半期号

 ←Journey through the Decade Re-mix 第八話 「超モモタロス、参上! 鬼ヶ島の戦艦」 三両目 →これから観に行く上で全く役に立たない映画レビュー 平成27年9月号
 今年の映画について書く、という意味ではこれが今年最初になるのでしょうか。今年あと三か月しかないですけどね!!!!!!


 ……というわけで、これまで観て来たもの、ひと月ずつ書くのは不可能だと悟り、取り敢えず1~6月時点で公開されていたものについて、ここでざっくりと語らせていただきたいと思います。
 すみません、今回ホントざっくりで……。




今回レビューを書くのはこちらの作品。

マッドマックス 怒りのデス・ロード(6月公開)

ターミネーター 再起動/ジェネシス月公開・上半期じゃないじゃん

パトレイバー 首都決戦(五月公開)

海街diary(六月公開)

セッション(四月公開)

ジュラシック・ワールド月公開・だから上半期じゃ

チャッピ-(五月公開)

プリディスティネーション(二月公開)



◎マッドマックス 怒りのデス・ロード




※※※

 荒涼とした大地をモヒカン雑魚たちがヒャッハーと駆ける、今では割と当たり前になった近未来の狂気的なビジュアルを産み出し、かの「北斗の拳」のイメージソースともなった名作・マッドマックス。そのリブート《再起動》となる本作は、過去作のビジュアルに衝撃を受けた人たちの期待に足る、恐るべきバカ映画となっておりました。
 リブートではあるものの、理解に必要な設定は全て劇中に集約されているので、改めてこれまでのシリーズを予習する必要は殆ど無いかと。

 半裸のモヒカンたちがバイクや車を駆って荒野をひた走り、弱者を踏み躙る場面は勿論のこと、強者に依って管理された水や食料(中でも、世紀末では生産の難しい"ミルク"の、世紀末ならではな『搾乳方法』には度肝を抜かれること請け合い。是非劇場でお確かめいただきたいところ)、見るからにケンシロウに殺されそうな風貌のボスキャラ、そして、『拳法を使わない』以外基本やっていることはケンシロウな主人公マックス。複数対複数の戦いであることを除けば、まるで北斗の拳の正統実写化とでも言いたくなってしまう。
 特に、中盤以降出ずっぱりとなる、「ギター弾き」のインパクトは絶大。終盤はマックスやジョーらの争いよりも、彼が死ぬか死なないかばかり気にしてきましたとも。


 閑話休題。荒廃し尽くしてむしろ美しい荒野を、大型小型の排気音がBGM代わりに鳴り響く。上記のイカれたヴィジュアルも合わさって、観客の脳に強烈な印象をブチ込んでくれること請け合い。この振り切れっぷりが日本のファンにも受けたようで各種映画館でロングランしていますし、出来るだけ音質の良さげなハコでの鑑賞をお勧めします。

小難しい説明や設定は無く、『ボスの妾を奪った屈強な女戦士と、流れ者の元警官マックスがなし崩しに手を組み、追っ手から逃げ続ける』、ただそれだけの映画なのに、ドラマ性もスリルも特大のカタルシスも完備しているとは恐れ入る。ストーリー性なんて殆どないのに、今年ナンバーワン洋画はこれで決まってしまったかのような貫禄があります。


 なお、そのマッドな配役で物議を醸した日本語版吹き替えですが、主演のマックス自身、喋りに然程演技が必要でない役柄(と言っちゃうと失礼ですけど)なのと、AKIRA自身の声がそこそこマッチしていたのであまり違和感はなかったです。不安要素の格闘家二人も、声の張り方に若干違和感があった以外は及第点。
 それよりなにより、中ボス・武器男爵の声を演じた、北斗名物声優千葉繁のあの格好よさよ! 出番こそ少ないものの、貫禄のキレ演技は必見必聴。

・関連項目

 千葉繁版ナレーションの予告。キレッキレ。



総合点:★★★★★★★★★★



◎ターミネーター 再起動/ジェネシス



※※※

 1,2共に当時の映画界に衝撃を与え、ジェームズ・キャメロンの名を世界に知らしめ、そこに続く3ではその結末で物議を醸し、4にてシリーズのお約束を殆ど廃し、興行的惨敗によって制作権が売られ、宙に浮いたあのシリーズが、まさかまさかの再起動。前作では顔のCG合成程度に留まったシリーズの顔、アーノルド・シュワルツネッガーも歳を重ねて再登場。

 まあ正直今更感が強くって、アイデア協力を行ったキャメロン自身が「これこそ2の続編だ」とか「最高傑作!」なーんてことを言ってるところに胡散臭さしか感じられなかったんですね。
 ところが実際に鑑賞してみると成る程、確かにターミネーターしてるなあと。
 まあ、でも、その方向性は「先人が残した食材を丁寧に料理した二次創作」という意味での評価、ですが。生みの親が一枚噛んでてその評価はどうかと思いますけども。


 予告でも触れられている『T-800と対峙するT-800』にはじまり、20数年ぶりにスクリーンに帰って来たT-1000型とカイルとの命の取り合い、もしや「1」の映像をライブラリ使用したのではと思う程再現された84年版の空気、その他多数の1、2を中心とした過去作への丁寧なオマージュ・夢の対戦カード実現など、など。賛否両論ありそうですが、同シリーズのファンがニヤッとする画がこれでもかと繰り出され、それだけでも鑑賞料を払った価値はありました。
 シリーズの肝ともいうべき、タイムパラドックス描写に関しても、意図して不明瞭になっている(※後述)部分を除けば、シリーズで最も真面目にやってるんじゃないでしょうか。過去を変えて自発的にスカイネットを潰そう、と考えるのは1,2ではなく3に近いものを感じて、シリーズの面白いところを貪欲に取り込み、その続きを作るんだという気概を感じて個人的には好きです。矛盾があるので繋がりませんが、作品のスタート地点的には、『4』の後から見ても然程違和感なく観られる懐の深さが面白い。

 シュワちゃん(T-800)が味方であるという図式は以前と変わらないものの、設定背景の変化か、『2』で観られた疑似親子の図式が更に強化。年頃の娘を持つパパという風情になったシュワちゃんが、堅物な未来戦士と交わす会話の数々は、彼とシュワちゃんとのやり取り、それまでにあった設定を思い返すと要所要所でニヤっとすること請け合い。
 不安要素であったイ・ビョン・ホンのT-1000ですが、本人が然程喋らない役なのと、その後更に強力な『敵』が襲って来るせいか、途中からあまり気にならなくなりました。今の技術ならもっと綺麗に映像化出来るのに、敢えて91年当時の描写に留めていて、拘るなあというか、2が好きなんだなーって妙な感慨が。ここまで「ファンが好きで作った」ってのが垣間見える映画もなかなかないなと。

 ただ、全ての黒幕ともいえる新ターミネーター『T-3000』には、その『よく出来た二次創作らしさ』が悪目立ちしていて不満だったかなあと。T-1000をある種『噛ませ犬』にしたせいか、その能力の凄まじさは理解出来るのですが、その出自の関係上、よく『喋る』キャラクタが、Tシリーズらしくなく、観ていてちょっと興を削がれましたわ。
 既に続編制作が決まっているためか、作中一番気になる部分は最後まで明かされない、というのも個人的にはマイナス。あからさまに続きがあるよーって伏線は本シリーズには似合わないんじゃないかなあ。元々1、2だって続編ありきで作ってたわけじゃないんだし……。

 良く出来た二次創作、の範疇は出ないものの、前シリーズへのリスペクトぶりと、ある種運命の起点となった二人が、メタネタ絡めてその運命に抗おうと必死になるところは楽しかったですよ。『4』が駄目だった人は是非。

総合点:★★★★★★☆☆☆☆



◎TheNextGeneration パトレイバー 首都決戦



※※※
公式サイトの情報も参照のこと。

 メディアミックスの分化により、最早何が正史なのか分からなくなっている感のある『機動警察パトレイバー』。アニメ版――というより、本作を監督した押井守氏制作の『二作目』の先にある世界観の実写版が、ようやっとの完全新作劇場版。
かつて、父親の膝の上で上記作(以下『パト2』)を見ていたのもあって、本作の実写化プロジェクト開始当時からちょっとずつ追っていたのですが、予算不足や押井監督自身の性格から来た『特撮的な見せ場不足』が見ていてつらく、時々観る見ないを繰り返していたんですね。それも、こうして『完全新作劇場版をやるよ!』と言われなければ、どこまで追っていたことか。

 そんなこんなで、殆ど期待せず、お金をどぶに捨てるくらいの気持ちで劇場に入ったのですが、これがまたびっくり。(相当な個人差はありますが)技術的にもお話的にも、この国でやれる、やるべきリアルロボット映画として非常に楽しませていただきました。
 マッドマックスやら海街diaryとかがなければ、今年のベストの最上位に入れたかったところ。

『パト2』に於ける敵集団が起こした行動あれそれが、直にストーリーにかかわってくるため、これがまるっきり初見だと(本作独特の雰囲気も相まって)訳が分かりにくい箇所が多いのですが、それを踏まえてみると、『あれ』とは違った都市間でのテロリズムの怖さを感じられて面白い。
 味方側のレイバーを差し置いて主役級の活躍をする戦闘ヘリ・グレイゴースト。光学迷彩でその姿を捉えられないというのがミソで、こんなものが武装して都心を飛び回れば、数千万の都民を人質に取ったも同然。対する防衛側は都市という『壁』に阻まれ碌に攻撃出来ず、下手に攻撃することさえままならない。現実にゃああり得ないけど、起こり得ないとも言い切れない、自衛隊による国家へのクーデター。押井監督の考える『リアリズム』的なものが、未だ心の中にくすぶってる中二病めいた何かに火を点けて、そらもうどきどきわくわくしましたよと。
 パト2に於ける警察組織に対する搦め手潰しが丁寧すぎて、こっちが雑に見えるとかそう言うことは言わない。

 対する特車二課の面々は世代交代を重ねて頼りなさげ、保有するレイバーも老朽化と資材不足で動かせば必ず何処かが壊れるという有様。(敵も決して利口とは言えないけれど)そんな奴らが都市ひとつを相手取る敵に立ち向かう無謀さ。その辺の事情が如実に表れた、二課メンバーでのアジトへの潜入劇が個人的にお気に入り。あんなの日本の警察組織じゃ無茶だって!
 主役レイバー・イングラムも、実際に稼働しているシーンこそ少ないものの、その少ない部分に時間と予算を注力したためか、邦画のそれかと思うくらいに滑らかなCGとなっており、劇中トレーラーで牽引される、実際に制作された原寸大の実機と合わせて見ても、本当に合成なのか!? と思えるような素晴らしい出来栄え。しかもそれが最終決戦だというのだから盛り上がりも半端じゃない。久々に、日本特撮の本気を見せて頂きました。


 とまあ、ここまで散々褒めちぎって来たわけですが、はっきり言ってしまうと、合わない人には本当に合いません。巨大ロボットがドンパチする海外の映画みたいなのを想像した人は怒りさえするかも。
 本作を楽しむためにはパト2視聴が必須とも書きましたが、そちらと照らし合わせて本作が優れてるかというと……、そこもちょっとばかり喧嘩になるやも。自分は両方を観たうえでこうして感想を書いており、どちらも十二分に大好きなのですが、割れるだろうなあ、色々と。


 ……みたいな話で締めようと思ったのですが、この度なんと、ディレクターズカット版を再上映するという話が。こりゃあもう観に行くっきゃあないね。
 今の状態の作劇テンポの方が好きだったけどなー、という小言は置いといて。

総合点:★★★★★★★★☆☆
(あくまで個人的な趣味に基づくもの)



◎海街Diary



※※※

そして父になる』の是枝裕和監督による、人気女優四人の大変きゃぴきゃぴとした映画。
 原作も知らず、出ている女優さんらも然程好きじゃなかったので、是枝監督の映画だけどパスかなあと思っていたのですが、先んじで観た父母からの評判が妙に良かったのもあり、期待半分不安半分くらいで観に行ったんですね。

 いやその、若い女優陣に逃げたかとか、上映館かなり増えたし、是枝監督もそういう路線に行っちゃうのかとか、マイナスな部分は全部吹っ飛んじゃいました。全編通して描かれる『やさしい』雰囲気に癒やされる、癒される。

 幼い頃に逃げた父親、育児に疲れて逃げた母親、それ故祖母の元で育った三人の娘達。複雑な感情を抱えて生きる彼女たちに、音信不通の父の居場所と、その訃報が届く。
 葬式のため田舎町まで出向いた三人娘を待っていたのは、町民に愛された、自分たちの想像とは違った父の姿と、彼が遺した妾の娘。彼女に思うところがあったのか、長女は自分たちの棲む鎌倉で共同生活をしようと申し出て――。
 ……なーんて、下手すりゃ赤子の取り違えを扱った同監督の前作以上に重くなりがちなお話が、四人娘の姦しくも暖かな日々によって、不思議なくらいほんわかとした作品としてまとまってるんですよね。

 何がその雰囲気を形作っているのか考えて見たのですが、なんというか、その。『嫌味な空気感』ってのを徹底的に排除しているのが大きいんじゃないかなと。
 上述の通り、確執めいたものを抱えた家族に、その妾の娘が交わるという、いつどこで荒れてもおかしくない話筋なのに、姉妹間はおろか、その周囲の人物ですら咎めたり、馬鹿にするようなことがまるで無いんですね。三姉妹は距離感を気にすることなく暖かに接し、末妹のすずも不器用ながらも、疎外感を取っ払いながら仲良くなっていって。あまりに双方波風が立たないものだから、「いつになったら一波乱起きるの?」と不謹慎なことを考えてしまったりするくらい。

 尤も、中盤から終盤にかけて、彼女たちの境遇故の葛藤や、少しじんと来るような場面もありますけれど、後を引いて「今までの暖かさは何だったんだ」とはならない作りでこれまた安心。カット割りも丁寧で、普段邦画嫌いで見ないわたくしも、ほへーとかほわーとか思いながらスクリーンにかじりつきましたとも。

 勿論、その雰囲気を形作る役者たちの演技も特筆もので、しっかりものの長女綾瀬はるか、ちょっとだらしない次女の長澤まさみ、子どもっぽくって甘えん坊な夏帆、そして主役級の末っ子・広瀬すず。それぞれキャラが立ってて、可愛らしいの綺麗だのなんのって。
 個人的には、演技面では綾瀬はるかの一人勝ちかなあ。画面には一切登場しない父親と、とあるシーンで現れる母親の娘であることを、作中仕草や気持ちだけで魅せた所に唸りました。いやはや、面白い。
 そして広瀬すずは可愛い。序盤の曇った顔も、家に慣れて笑顔を見せるとこも、歳の割に背伸びして頑張ろうとするとこも、時折ちゃんと歳相応の仕草も、めっちゃくちゃ可愛い。色々良いこと言ってる気がしますが、半分は広瀬すずにげへげへしながら観ていたことを正直に告白します。ごめんなさい。

『海』『街』だけあって、舞台である鎌倉の街を魅力的に見せる部分も◎。作中頻繁に登場する海辺や、広瀬すずが自転車で駆ける場面など、観ていてほっこりする場面が多くて癒やされることこの上なし。
 イカれた映画ばかりが多い2015年度、穏やかな目で、気持ち良く観られるある種、稀有な作品でございました。

総合点:★★★★★★★★★☆


◎セッション



※※※

 前年度アカデミー賞で、『バードマン』には届かなかったものの、凄まじい支持を集めた狂気の一本。ある意味、イカれた連中揃いの2015年度を代表する作品ではないかと。

 名門音学校に進学した才気溢れる青年ドラマー。彼は偶然同校屈指の名教師・フレッチャーに見出され、彼の指揮するバンドでレッスンを受けさせて貰えることに。
 更なるスキルアップに期待に胸を膨らませる彼を待っていたのは、スパルタという言葉では表しきれないような過酷な環境で――。

 詳しくは上記の予告編動画を見ていただければ手っ取り早いのですが、それもまだまだ序の口。権力を振りかざし、間違えば躊躇いなく手を出し、ありとあらゆる罵倒を用いて生徒の内面・外面を容赦なく嬲る様は、星一徹の所業すら可愛いのではないかと思えるほど。
 兎にも角にも、J.Kシモンズ演じるフレッチャー先生のイッちまった演技が恐ろしいのなんの。サム・ライミ版『スパイダーマン』のJJJ(スパイダーマン嫌いの編集長)から親しみやすさを抜いたそれは、外野で観ているこちらでさえゲンナリするほどの圧迫感。これこそが作品の肝であり、駄目な人はここでもうリタイアになってもおかしくない。『やり過ぎてうっかり死人が出ちゃった』という言葉一つで、その恐ろしさは解っていただけるんじゃないかなと。
 そんなイカれた先生だけど、スパルタの奥にはきっちり一本筋が通ってて、意気消沈した主人公が奮起して――、という後半の末に繰り出されるクライマックスは、誇張なしにスクリーンから目を離さずにはいられない程の衝撃。それまで追ってきたからこそのどんでん返しと、畳み掛けるイカしたジャズとが絡み合い、バッドともグッドとも言い切れない、けれど不思議と爽快感に満ちた決着は、『面白かった!』というより、『一体これは何なんだ!?』と思いたくなるような感覚。多くの人が本作を今年のトップに挙げたくなる気も分からなくもなく。

 フレッチャー先生の狂気レッスンの賜物か、劇中スコアの出来の良さは特筆モノ。本作が肌に合った方は、是非サントラでそれを確かめて見ていただきたい所。先生の唐突な「ストップ」音が幻聴として聞こえてきても知らないけれど。

 間違いなく今年の名作TOP3に入るであろう本作ですか、冗談抜きで賛否分かれる一本故、本レビューや予告編が肌に合わなかったら回れ右をした方が幸せかも知れません。
 面白かったことに疑いを挟むつもりはありませんが、個人的には大嫌いな映画です。間違いなく。

総合点:★★★★★★★☆☆☆



◎ジュラシック・ワールド



※※※

 キャメロン監督の『ターミネーター2』と並び、世界にコンピューター・グラフィックスの革新性を世に知らしめた傑作『ジュラシック・パーク』。一作目でパーク化計画が頓挫してから、二作目で恐竜捕獲ショーを企てたり、三作目で消息を絶った家族を探しに出かけたりして、タイトルコールからどんどん話が逸れて行っている感のあった本シリーズも、遂にパークとして開業し、恐竜とヒトが壁一枚を隔てて触れ合う夢と狂気のエンターテインメントと相成りました。

 一作目公開から23年の間に培われたCG技術の進歩は目ざましく、着ぐるみやギニョールに頼らない恐竜たちの自然な動作・大人数との合成が可能となり、シリーズを続けてみている人は、そうした映像革新に驚くことしきり。
 しかも本作は、多数のアトラクションを備えたテーマパーク。主人公格の少年のように目を輝かせて観たくなる代物がめじろ押し。本編中に登場する数々のギミックも手伝って、映画を観るというより、『アトラクションに乗っている』ような感覚で見られること請け合い。特に、予告等でもさんざん触れられている『モササウルスの捕食シーン』の迫力は圧巻。これを座席の動く4DXや大スクリーンのIMAXで観られた人は幸せだろうなあ。

 神の真似事をする人間たちに手痛い痛い教訓を与える役として、三作品全てで猛威を振るったラプトルらも、時間の流れで(かなり綱渡りな関係でありながらも)人に使役される存在になり、シリーズの顔とも言えるTレックスは正しくパークの目玉として見世物にされる此のご時世(一作目と比較して、同じ条件で見世物として成立しているのを観ると、ちょっと感慨があったりするかも)、愚かな人類は遂に『恐竜同士のハイブリッド』を産み出してしまいました。
 原生爬虫類や他恐竜の能力属性を持ちながら、人間と知力で渡り合う十数メートルの怪物、インドミナス・レックス。ガタイの割に知恵の回る彼は、人が敷いたハイテクという枷を尽くにブッ壊し、後手後手になる人々を嘲笑いながら、一歩一歩、最悪の状態へと導いてゆく――。
 パークという夢のある舞台になりましたが、この辺は過去シリーズと全く変わっていないんですよね。むしろ、そこを舞台にしたせいか、人的被害は過去最高。経営母体はどう足掻いたって潰れるだろうなあ。

 そんな危機に立ち上がったのは、手なづけられ、ヒトと共に戦うラプトル四姉妹。かつての宿敵たる彼女らが味方になるという展開に少年漫画めいた何かを感じますが、そこにも細やかな二転三転が。全体的に一作目を意識して挿入されたカット・展開が多いので、レンタル等で先んじて『ジュラシック・パーク』を予習してから望むのが吉。

 元々、始まる前から期待に胸を膨らませていた本作ですが、それを遥かに上回る映像美を魅せつけてくれて大変に満足な一本でした。
 これも一応パニック映画の範疇なはずなのに、今年封切られた海外作品がどれもこれもイカ(れる)れた男たちばかりのせいで、観ていてなんだかホッとするのは如何なものか。

総合点:★★★★★★★★★☆



◎チャッピー



※※※

『第9地区』、『エリジウム』など極端な格差社会と暴力、そして日本アニメ・マンガへの造詣深いネタで有名なニール・プロムガンプ監督の日本公開三作目は、感情を持った自律型AIの進化と成長の物語。
 泥臭く、えぐい話筋が主となる同監督にしてはヴィジュアル含め随分キャッチーな映画だなー、と思うのも束の間、その舞台は第9地区でも話題になった無法地帯ヨハネスブルク。それを育てるのが札づきのワルということで、なかなかひと癖ふた癖あるお話となっております。

 近未来の南アフリカ・ヨハネスブルグ。世界一治安の悪いと言われる此の街では、警察組織すら治安維持の要を成さず、死傷者はうなぎ上り。この事態を重く見た政府は兵器メーカーからAI制御の軍事用二足歩行ロボットを購入。その数と圧倒的な力に依って、犯罪率は目に見えて激減してゆくのでした。
 これに困ったのは地元のギャングたち。借金の返済に頭を悩ますチンピラのニンジャは、仲間と共謀し街に蔓延るロボットたちを再プログラムして利用し、強盗に協力させようと企てる。
 同じ頃、ロボット開発責任者のディオンは不完全なAIから、人間と同じように思考出来る『人工知能』を創り出すことに成功するが、兵器が自ら思考するとは何事かと会社に跳ね除けられてしまう。
 失意の彼はニンジャらチンピラに捕まり、人工知能を携えたロボットは彼らの元に――。


 のっけからパトレイバーかロボコップかと言わんばかりの設定と絵面で知ってる人は爆笑必至。日本がようやっと実写のパトレイバー作ったこのタイミングでやらかすとは、と個人的にツボに入りすぎてやばかったです。映像的にはこっちの方がリアルなのがまた……。
 ロボコップの方も、去年やってたリブート作よかそれらしくて、敵として二足歩行のポンコツ君まで居る始末で、どこまでも笑わせてもらいました。監督どんだけネタ仕込むねん。

 とはいえ。オマージュ的なものは作品の一側面でしかなく、本筋はきちんとオリジナル。札付きのワルが赤子同然のAIを凶悪に教育していく最中、親の方が教育されて、終いにゃ彼らの辿る数奇な運命に共感し、応援したくなってしまうシナリオ運びには唸らされました。
 兵器と、それを扱う人間の倫理観に解り易く『否』を叩きつける展開も面白い。“ワル”から善の心を学ぶチャッピーもそうですが、「AIなんかに治安維持を任せるなんてどうかしてる!」と嫉妬交じりの憤慨を見せるヒュー・ジャックマン技術者が、その職に就いて最初にやったことが大量虐殺でした、という皮肉。
 そして、最後の最期でチャッピーが作ってしまった「もの」。一見感動的に見えるそれも、ここまで人間の倫理観を踏みにじった末のオチとすると非常に後味が悪いというか、ゾッとするというか。前二作と比べ(見た目は)キャッチーなヴィジュアルなだけに、やっていることの恐ろしさが際立つ、楽しいSF映画でございました。

総合点:★★★★★★★☆☆☆



◎プリディスティネーション



※※※

 タイムパラドックスもの小説の古典らしき一作『輪廻の蛇』を原作にした、切れ味鋭い中編SF。実はこのタイトル自体結構なネタバレなのですが、最後まで観なきゃわからないし、いいかなーって。


 バーで酒浸りとなったとある『青年』作家。自分に興味を示したバイト店員に自分が辿った数奇な運命を語り始める。今なお過去への憎しみに囚われる彼に、店員のオヤジは不思議なことを口走る。
もし、お前の人生をめちゃくちゃにした奴を差し出すと言ったら? そして、奴がお咎め無しだと解ったら?
 バーの店員は仮の姿。彼の正体はタイムマシンを駆って時間犯罪と戦うエージェントだったのだ。
 男に乞われ、利害の一致の末エージェントとなった青年は、その最中予想もし得ない決着を観ることに――。

 青年の秘密が明かされる辺りまでは、特異だけどよくある映画だよなーって感じ(原作自体古典であるせいもありますが)で、正直そこは退屈だなと思ったんですよ。けれど、バーのおじさんが正体を明かしてタイムトラベルを始めてから話は一転。そっと張られた伏線がみるみるうちに解けて行き、二人の『男』の出自、おじさんの追う敵の正体、そもそも、何故彼が特別なのか――。その全てが一本線に繋がり、ラストシーンに於ける最後の一言により、正しく『輪廻の蛇』たる展開で幕を閉じるオチがとてつもなく綺麗。これが半世紀前に描かれた小説だってんだから、勝てないよなあと思うわけです。

 兎に角、描写される展開・台詞に無駄が無いのが見事のひとこと。聞き漏らしたとしても回想で補完されるので、滅茶苦茶集中しなきゃ駄目だって訳でも無し。序盤のもたつきを許容できるかどうかで評価が分かれるかもですが、個人的には本年度中五本の指に入るほどの名作でした。最期の最期ではっとさせられるこの気持ちをあなたも是非。

総合点:★★★★★★★★☆☆
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