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「二次創作」
それでも、わたしは魔法少女だから

まどマギxディケイド 『それでも、わたしは魔法少女だから』 そのに

 ←まどマギxディケイド 『それでも、わたしは魔法少女だから』 そのいち →まどマギxディケイド 『それでも、わたしは魔法少女だから』 そのさん
・『にじファン』にて以前掲載していたまどか☆マギカと仮面ライダーディケイドとのクロス小説です。

pixiv版『そのに・そのさん』に該当する部分を同時に収録しております。やや長いです。

・上記版に比べ、残酷っぽい描写が多くなっております。


・本作の構想が始まった時点では、まどかマギカ本編は第九話までしか放送されていませんでした。
 この頃はまさか「ソウルジェムが魔女を生むなら、みんな死ぬしかないじゃない!」なんて台詞が出るとは全く思っておらず、図らずもそのような展開になってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
 誰にって? 勿論黄色いあの人に。


それでもわたしは、魔法少女だから:そのに【原作:魔法少女まどか☆マギカ】

◆◆◆

「おいおい、どこまで連れて行こうってんだよ。っていうかいい加減正体を現せ」
 ――それは無理だ。僕は今、君たちの手の届かない場所にいる。
「無理だ……って、お前、俺を騙したのか!」
 ――騙すつもりはないよ。まずは君にこの世界を知ってもらわないといけないからね。相応の人物に会って、説明を受けてもらうよ。

 得体の知れない謎の声に導かれ、街の中を歩き続ける士。姿が見えないだけでなく、声の主の人を喰ったかのような態度が腹立たしくてしょうがない。気を紛らわすべく折を見てトイカメラのシャッターを切るが、どこもかしこも思春期の女の子が好みそうな形態の店やそのような色合いのものばかりで、撮れば撮るほど彼の気は滅入っていった。
 会わせるつもりがあるのならとっとと会わせろと催促しても、声の主の答えは変わらない。いい加減にしろよと憤慨する士に対し、声の主は「この店だ」と彼の足を止めさせた。
「なんだここは。喫茶店……じゃあ、ねぇよな」
 紅茶の芳しい匂い漂う古めかしい茶の屋根の建物。喫茶店のように見えるが、中に腰を降ろして飲み物を楽しめるようなスペースはない。おそらく茶葉の販売のみを行う店舗なのだろう。
 こんなところに呼びだして何のつもりだと首を傾げる士の前に、先程の異空間で出会った黒髪ロングの少女が、茶色い紙袋を抱えて店の出入り口から現れた。
「お前、さっきの。あの化け物探しはどうしたんだ」
「街中探し回ってもやつの気配は見つからなかったわ。今は小休止。話は終わり?」
 士の姿を見、彼をすり抜けて去ろうとするアケミ。そんな彼女の右肩を掴み、士は「ちょっと待てよ」と呼び止める。
「あなたと私は何の関わり合いもないわ。離してくれないと警察呼ぶわよ」
 アケミの反応は冷ややかだ。とっとと離せと言わんばかりに、自身の肩を掴む士の手に自分の手を載せ、物が軋む音がするほど力を込める。
 こいつと小手先で話をしていても、無駄に平行線を辿るだけかと理解し、「なら言葉を変えよう」と言ってアケミの肩から手を離した。
「今俺の頭ン中に響いてくる耳障りな声。そいつの言う”相応の人物”ってのはお前か? 魔法少女さんよ」
 ”魔法少女”・”相応の人物”、”頭に響く耳障りな声”。どれに反応したのかは定かではないが、士の言葉を聞いたアケミの右眉がぴくりと動く。こいつは何かを知っている。士は一旦離した手で、今度は彼女の右手首を掴んだ。
「動揺したな。俺の目は節穴じゃあない。お前は何か知っている、そうだろう?」
 この男の前に誤魔化しや虚勢は通用しない。諦めを感じたアケミはだるそうにため息をついて振り向いた。
「ただの人間、しかも男に奴と話が出来る訳が無い。あなたは一体何者? 何故”キュゥべえ”の声を聞くことが出来るの」
「キュゥべえ、ねぇ……。それはそうと、”この世界のことを知っている”人物ってのはお前だな。人々に絶望を振りまく魔女と、そいつを狩る魔法少女。知っていることを洗いざらいぶちまけてもらおうか」
 瞳をぎらつかせてまくし立てる士を睨みつけ、アケミは彼の行為を「不作法ね」と一蹴する。
「おい待て。何もそっぽ向くこたねぇだろう」
「立ち話で済むような話じゃない。いい店を知ってるわ、キナ臭い話はそこでしましょう」
「キナ臭いのかよ……。まあいいだろう。案内してくれ」

 門矢士がアケミに連れられてやってきたのは、街外れにひっそりと佇む煤けた赤色の屋根の喫茶店。外観こそ古ぼけてはいるが、店の中はそれなりに整頓されており、店内を流れるスローテンポのジャズ・ミュージックが、落ち着いた印象を与える「隠れた名店」だ。
 メインストリートの煌びやかな飲食店と毛色が違いすぎるからか、単に交通面で不便なだけか、客は今入ってきた士とアケミの二人だけ。
 二人は店の奥の小さな丸テーブルの前の席に腰を降ろし、寄って来た男性店員に「ブレンドを」と注文してカウンターの中へと下がらせた。
「さて、そろそろ聞かせてもらおうか。この世界とは何で、お前らは一体何と戦っているのかを」
「その前に。あなたこそ何者なの? 素性が明らかでない者と話をするつもりはないわ」
「素性ってお前、だったらお前から」
「名前だの職業だのは尋ねた側が先に説明すべき事でしょう。学校で習わなかったの?」
 その言い方には腹が立つが尤もだ。士は出されたお冷を飲み干すと、自身が知る全てのことをアケミに話す。
 アケミはそれに対して笑うことも呆れることもなく、無愛想な顔で彼の話に相槌を打った。
「俺から話せることはこれで全部だ。今度はお前の番だぜ」
「そうね。何から話せばいいのか分からないけれど……」
 アケミは士の身の上話の間に運ばれてきたコーヒーに、軽く口を付けて答えた。
「あなたの言ってた声の主。そいつと”契約”して戦う力を得たのが、私たち魔法少女。あいつは私たちが望んだ”願い”を何でも一つだけ叶えてくれる。人が一生、どれだけ足掻いても叶えられないようなものでもね。魔法少女になることで得られる唯一にして最大の利点がそれよ」
「『何でも』……? なんでも、の度合いがよく分からねぇな。どういうこった」
「それこそ”何でも”よ。世界一の億万長者にだってなれるし、不治の病に冒されていても立ちどころに元気になる。地震や津波を起こして、人類の数を億単位で減らすことだって不可能じゃないわ」
 アケミはそこまで言って一旦口をつぐみ、悲しそうな表情を浮かべて「でも」と言葉を継いだ。
「希望と絶望は差し引きゼロ。願いを叶えてもらう代わりに私たちは、あの魔女《ばけもの》と一生戦い続ける義務を背負わされるの。魔女との戦いは命懸けで、逃げる場所はどこにもない。やめたくなってもやめられない。残りの一生分、出口のない迷路を彷徨い続けるようなものかしら」
 喉の渇きを潤すべく、再びコーヒーに口を付けたアケミを見据え、士は「そうか」と他人事のように呟いた。
「魔法少女なんつうメルヘンチックな生き物のくせして、とんでもなくシビアな生活送っているのな。そりゃまぁ、徒党を組んでなきゃやってられないか。そうだよな」
「馬鹿言わないで」芳しい香りを楽しんだ後、コーヒーの中に角砂糖を三つも入れて啜る士に辟易としつつ、アケミはきつい口調で言葉を返す。
「自分たちの欲にかまけて、勝手に魔法少女になったような子たちなんか、仲間だなんて思っていない。私は円カナメを護れさえすればいい。そのことで誰かを頼るような真似はしたくないし、あの子たちを仲間だなんて思ったことはないわ」
「おぉおぉ。ずいぶんな言われ様だな。だが、本心は違うんだろう」
 士はアケミが席の横に置いていた紙袋をひったくり、勝手に中身を開けて言う。
「ちょっと、返しなさいっ」
「これ、さっきの紅茶店で買ったもんだろ? オレンジペコ、アップルティー、アールグレイにハーブ……こんなにたくさんの茶葉、まさか一人で全部飲み干すってわけじゃないよなァ」
 苦虫を噛み潰したかのような顔をし、アケミは俯いたまま何も答えない。士は茶葉の入った缶を丁寧に紙袋の中に戻して彼女に戻し、嫌らしげな笑みを浮かべた。
「憎まれ役を演じるのは本意じゃない、ってところか。『一人ぼっちは寂しくて堪りません』って、面と向かって言やァいいだろ。面倒臭い奴め。それは兎も角……」
「何」
「世界がどうとか仮面ライダーがどうとか、よくもまあこんな浮世離れした話を受け入れるなぁ思ってよ。その上で自分たちの秘密までぺらぺらと、お人好しにも程がある。じゃなけりゃ何か、考えあってことだと思うんだが……本当のところはどうなんだ?」
 それを聞いたアケミは士を厳しい目付きで睨み付け、湯気も出切って温くなりはじめたコーヒーに一口つけて言葉を返す。
「あなたって鋭いわ。そうね、その通り。でもその前にはっきりさせておきましょう。門矢士」
「なんだよ、まだ何かあるのか」
「あなたは私たちの敵? それとも」
 鋭い目付きときつい口調で問い掛けるアケミに対し、士は「やめとけよ」と手で御した。
「そいつはお前の対応次第だ。何もしなけりゃお前たちに危害を加えるつもりはないが、俺や俺の仲間たちに何かしようってんなら容赦しねぇ。それだけだ」
 自分以上に鋭く、冷たい目つきでこちらを見て話す士の声と言葉に、自分と似た何かを感じ取ったのか、アケミは視線を外し「そう」と短く呟いた。
「あなたの人となりは分かったわ。その前にもう一つ質問させて頂戴。この世界で今、『何か』が動き始めている。今までこんなこと一度もなかったし、この先どうなるか、私にも分からない。″破壊者″ディケイド。この世界で今、何が起ころうとしているの?」
 自分以上に突拍子もない質問をするアケミに士は首を横に振り、コーヒーの中にもう一つ角砂糖を入れて溶かした。
「俺には過去の記憶がない。世界を股にかけて襲ってくるやつらが、俺に何を求めて戦いを挑んでくるのかも知らん。俺はただ、ディケイドの力で自分に降りかかる火の粉を払っているだけだ。振り払った火の粉のことなんざ一々覚えていられるか」
 士の言葉に対し、アケミは煮え切らない表情で彼を睨み付ける。士は「分からないんだから仕方ないだろう」と付け加えた上で、アケミに向けて人差し指を突き立てた。
「さてと、俺は答えたぜ。今度はお前が答える番だ。逃げようったってそうは行かねぇぞ。約束は守れよな」
 これでは情報の引き出し様がない。かと言って約束してしまった以上、質問に答えない訳にも行かない。アケミは片手で頭を軽く押さえ、大きく溜め息をついた。
「分かったわ。どうせ信じてもらえないだろうけど」
「信じる信じないは俺の勝手だ。言わなきゃ何も分からないんだ」
 アケミはすっかり冷えきったコーヒーを飲み干し、士の目を真正面から見据えて口を開こうとするが、
 ――悪いけどそこまでだディケイド。それにアケミ。
 そんな彼女の言葉を得体の知れない謎の声が遮った。店内には彼らに気を留めることなく掃除を続ける寡黙な店員と、コーヒーを挽くことにしか興味のない店長しかいない。
 先程アケミが言っていたあの″キュゥべえ″か。
「今まで黙っていたくせに、この後に及んで何故止める」
「彼を″呼んだ″のはあなたでしょう、なら邪魔をするのはやめなさい」
 呼びつけておいて何だ。人に説明を丸投げしておいて何だ。勝手に話に割って入ってきたキュゥべえに対し、何故だと怒る士とアケミ。
 キュゥべえは悪びれることなく、今までと同じ口調で「そう邪険にしないでよ」と言葉を継ぐ。
 ――邪魔するつもりなんてないよ。むしろ迷惑しているくらいだ。この世界で今起ころうとしている”歪み”。その理由を知りたいのは僕も同じだからね。
 ――ここからそう遠くない場所で『魔女』が出だ。君たちが追っていた″今までとは違う″あいつがね。
「あの魔女ならミキとサクラが追っている。始末なら彼女たちにやらせればいい」
 ――二人はもう戦っているよ。″麻未《マミ》トモエの家の前″でね。もちろん、カナメも一緒さ。

 カナメも一緒にいる。その言葉を耳にした瞬間、今まで冷淡で無愛想だったアケミの顔に、初めて焦りの色が見えた。
 ミキとサクラは魔法少女だが、カナメは戦う力を持たないただの女子中学生。魔法少女の”契約”を執り行うキュゥべえの姿はここにはない。どこにいるかも分からない。何かの弾みで彼女が契約してしまったら。カナメが自分たちと同じ修羅の道に入ってしまったら。
 アケミは右手の薬指に嵌った指輪を”紫色の宝石”へと変え、”魔法少女”に変身すると、向かいに座る士の制止も聞かず、その場から“消え去った”
「おいおい、なんてことをしてくれるんだ。あと少しで核心に迫れる所だったのに」
 ――その件に関してはすまないと思っている。だが今回の魔女は普段とは違うんだ。アケミが加勢したとして、倒せるかどうかは五分五分。君の力も貸してくれないかな? ディケイド。
「そいつはお前たちの世界の問題だろ。あいつらだけでなんとかすればいい」
 ――言った筈だよ。彼女たちが戦っている魔女は普通じゃない。この世界に起こった”歪み”、その影響で産まれたんだとは思うけど、その力は未知数。言わば”君のせい”で生まれた異なる者なんだ。そういうものの管轄は僕たちじゃなく、君だろう?
「そりゃあ……そうだが、それに俺は”トモエ”ってやつの家を知らないぜ」
 ――そこまでは僕が案内する。危ないのはカナメたちだけじゃない。君の仲間たちも、魔女の結界に閉じ込められて行き場をなくして困っているんだ。放っておくべきじゃないと思うんだけどな。
「何ッ! そいつを先に言えよそいつを! 何故黙ってた」
 ――そりゃあ、”聞かれなかった”からね。急いでくれディケイド。
 長々と説明しておいて一番重要なことは後回しか、と憤慨する士だが、目の前にいない相手に怒ってもしようがない。
「お前に会ったら一発殴らせろ」と悪態をついて立ち上がり、士は二人分のコーヒー代を払って喫茶店から出て行った。

◆◆◆

 士が喫茶店を出る30分ほど前のこと。
 ミキとサクラに置いて行かれたカナメと、士を見失った夏海とユウスケは、行き場をなくした者同士仲良く肩を並べ、カナメの案内に従って街の中をのんびりと歩いていた。
 春先の暖かな日差しに、鼻をくすぐる穏やかな風。行き交う人々の活気に満ちた声。魔女なんて異質なものなど、まるで最初からいなかったかのようだ。
「さっきまでこの辺りで怪物が暴れ回ってたってのに、のどかだよなぁ、まったく」
「仕方ないですよ。魔女はこことは違う異次元空間に人を引き込みますし、倒して助けだせば、襲われた時の記憶は一切残りませんから。それに……何もないのならそれが一番いいと思うんです。こんな不毛な戦い、誰にもやってほしくないし、させたくもありません」
 何気なくユウスケが発したその言葉に、肩をすくめ消え入りそうな声で言葉を返すカナメ。ユウスケは「俺が悪かった」と両手を顔の前で振って謝った。
「あ……ごめんなさい。小野寺さんたちの言うことの方が正しいわけですし、わたしはただの傍観者ですから。悪いのはむしろわたしの方で」
「いいんだよ、俺だって無神経だったんだ。そうだよな、中学生の女の子には辛いよな、そういうの」
 互いの言葉に謝罪し合うカナメとユウスケ。その様子を微笑みながら見つめていた夏海は、自身の視界の先に気になるものを見込んだ。
「あれは……確か」
「どうしたんだ、夏海ちゃん」
「あ、あれは。わたしたちがよく行くケーキ屋さんです。とぉーってもおいしいんですよ。″先輩″がお茶の時間の時、いつもあの店で買ってきてくれて……って、あれは」
 ケーキ屋の簡単な説明をユウスケたちにしつつ、店内を覗き込んだカナメの目に映ったのは、レジの前で互いに怒り顔を突き合わせる、彩花ミキと杏子サクラの二人の姿だった。
 魔女探しを途中で切り上げたのか、二人とも魔法少女のコスチュームではなく、カナメと同じ学校の制服を身に纏っている。
「ちょっとちょっと、何よそのチョイス、いくらなんでもそりゃあおかしいでしょ。ショートケーキにチーズケーキ、ミルフィーユにアップルタルトときて、なんでもう一回”アップルタルト”なのよ。被ってんじゃない」
「なんだよ、アタシが選んだもんにケチつけようってのか?」
「ケチも何も、それあんたが食べたいもの入れただけじゃないの? 今日は”そういう”目的で買うんじゃないんだから、自重しなさいよ、じちょー」
「ンなことァ分かってるよ。林檎が嫌いな女の子なんていねーんだ! アタシが言うんだから間違いない。だからアタシのチョイスは間違ってないっ」
「暴飲暴食好き嫌いなしのアンタ自身が根拠とか、余計不安になるわ! あぁもう……、割り勘でなんて言わなきゃよかった」
「ほほぉ、言うじゃねぇか彩花ミキセンセーよぉ。じゃあ何だ? アンタの選んだ”ザッハトルテ”なら“あいつ“も喜ぶと? アタシとしては、その根拠が聞きたいんだけどなぁ」
「あったりまえよ。苦くて『黒い』オトナの味わいのチョコケーキ。まさにあいつそのものじゃない。これで合ってないって方がおかしいわよ」
「はッ、どんな根拠が出てくるかと思えば。自分の中のイメージを勝手に押し付けてただけじゃねぇか。そんなんじゃもらった方もいい迷惑だぜ」
「なんですってぇ! 喧嘩売ってんのあんたは!」
「なんだよ、やろうってか? 相手になるぜ」
 周りの客や店員のことも気にせず、怒り顔で一切妥協なしの口論をひたすら繰り返すミキとサクラ。このまま放っておいて店が壊れでもしたら事だ。カナメは二人の間に割って入り二人とも落ち着いてと声をかけた。
「お客さんや店員さんたちも見てるんだよ、落ちついてよ二人とも。見苦しいよ二人とも!」
「止めんなカナメェ! 悪いのはミキのやつだ。こいつアタシのチョイスに一々ケチつけやがってさぁ、今日という今日はとっちめてやらないと気が済まないッ」
「はァ? どう見ても悪いのはあんたでしょうが! 耳貸しちゃダメよカナメ。悪いのはサクラ。あたしは精一杯みんなのこと考えているのに、こいつときたら自分の好きなものしか入れないのよ? ひどいでしょ? ひどいよね!」
 そうは言うが、”独善的”という意味では両者共に同じではないか。仲裁に入ったカナメはおろか、ユウスケや夏海、その様子を見ていた他の客たちもそう思ったのだが、怒ってばかりの当人たちは全く気付いていないらしい。
 二人をなだめつつ「またか」とため息をついたカナメは、何故喧嘩をする必要があるのかと、彼女たちが買おうとしていたケーキの方へと目をやる。
 ミキとサクラが指定しているものは最後の一つを除いて双方共に同じ。二個目のアップルタルトかザッハトルテか。彼女たちが選んだ品を見たカナメは、二人のしようとしていることに気付き、にこやかな顔で手を叩いた。
「そっか、そういうことだったんだ! 二人とも、”アケミちゃんのため”にケーキを選んでたんだね!」
「は……はぁ!? な、ななな、何言ってるのよカナメ! 誰があんな無愛想で電波なヤツなんかにケーキなんて! これはそう、あんたとトモエさん、ついでにあたしたちが食べる用に買ったの。ねぇ、サクラ」
「そうだそうだ。全部アタシのもんだ。アケミのやつにもお前たちにも渡すつもりはないっ」
 つんけんとした態度でそれは違うと憤慨するが、カナメは直ぐ様照れ隠しの嘘であると見破った。
 苦いものが嫌いなミキが、ビターチョコのザッハトルテを「自分の食べる分」に入れるはずがないし、サクラにしても大食らいではあるが、決してそれを一人占めするような人間ではない。
 口を開けば喧嘩ばかりのミキとサクラが、二人して彼女たちなりの方法でアケミに歩み寄ろうとしている。円カナメはそのことが嬉しくてたまらなかったのだ。
 しかしこの二人のへそ曲がり具合ときたら相当なもの。一度口にした以上、違うと言い張るつもりらしい。すっかり困り果てたカナメを見かね、今度はユウスケが彼女らの間に割って入った。
「ま。ま。二人とも落ち着いてって。怒り過ぎはお肌に良くないよ」
「お前、さっきの。何で知らないヤツにお肌の心配されなきゃなんねぇんだよ!」
「ご忠告どうも。でもね、あたしたちは十代前半よ、″てぃーん″よ? 心配されなくてもお肌なんてぴっちぴちに決まってるでしょ」
「いや、でも。若いうちからそんなにカリカリしてると……」
「うるせぇな、だいたいなんだよ! アタシたちのお肌が潤ってるかどうかなんか、てめぇにゃ関係ねぇだろうが! はっ倒すぞ」
 ミキとサクラの両方に恐ろしい形相で凄まれたユウスケは、取り付くしまもなく退却し、力なく夏海にすがり付いた。
「夏海ちゃあん、怖えぇよ、最近の女子中学生凄く怖えぇよぉ。助けてくれよ」
「女子中学生相手になんて情けない。今までたくさんの怪人たち相手に臆することなく戦っていたくせに、八代さんが聞いたら悲しみますよ」
「まぁ、お気持ちは分かりますけど……」
 泣かされて帰って来たユウスケを情けないと罵る夏海に、仕方がないと彼に慰めの言葉をかけるカナメ。ユウスケはしょうがないじゃないか、怖いものは怖いんだと泣き言を口にしつつ考える。
 怖いが、確かに情けない。魔法少女として自分たちと同じぐらいの修羅場を経験しているとは言え、相手は女子中学生だ。泣かされてどうする、成すがままにされていてどうする。自分は二十歳の大人だ。こんなところで引き下がれるものか。
 悩みに悩み、持ち物を探りに探って″何か″を思い付いたユウスケは、目を見開き、唇を固く結び、凛とした表情で再び彼女らの前に立ちはだかった。
「なんだよ、まだなんかあるのかよ」
「お説教とかされても聞く気ないんですけどー?」
「いや、いやっ。そういうつもりは一切ないから。でも喧嘩はよくないよ。君たち二人にも、心配しているカナメちゃんにも、この店のお客さんにもさ。仲直りして楽しくやろうぜ。もちろんタダでとは言わないよ。その代わり」
「そのかわり?」
「君たちの買おうとしているそのケーキ、支払いは全部俺がするからさ、な?」
 ″支払いは全部俺がする″。その言葉を耳にしたミキとサクラの目が大きく見開かれた。嘘じゃないかと耳を疑い、聞き返して反芻《はんすう》するが、その言葉に嘘はない。間違いはない。二人は互いに顔を見合わせて嫌らしく口元を歪ませると、肩を組み合ってユウスケに満面の笑顔を見せた。
「あんたの言う通りだ。アタシたちが悪かった、もう喧嘩しないよ」
「あたしたちはきっかりはっきりすっかり仲直りっ。ねっ、さーくらっ」
「そうそう、その笑顔。似合ってるよ二人共」
 楽しそうに肩を組む二人の笑顔を見て、安堵の溜め息を漏らすユウスケ。しかし彼女たちはその笑みを、含みのある嫌味たらしいものに変え、二人してユウスケの肩を鷲掴みにした。
「つーわけで、今からアタシたちが選ぶケーキ、支払いの方宜しく頼むぜ、お節介焼きのおニィさん」
「えっ、ちょ、ちょっと待ってくれよ。買うケーキはこれで最後なんじゃ」
「あぁら何をおっしゃいますやら。あたしたちは『これだけしか買わない』だなんて一言も言ってませんのよぉ。喜びなさいカナメ、今日のティータイムはケーキバイキングよ!」
「ケーキバイキング!? 一体いくつ買うつもりなんだ!」
 約束を交わしてしまった以上、後の祭り。ミキとサクラは自分たちの欲望のままにケーキを次々と選んで行き、夏海とカナメは彼にご愁傷さまと声をかけて慰め、その支払いをする当人は、次々と増えて行くケーキの数を目にしつつ、力なく肩を落とし、絶望し切った表情でその場に膝をついて項垂れた。


◆◆◆

 街中から少し離れた場所にある14階建ての高級マンション。夏海とユウスケは円カナメたちに連れられて、マンションの七階に住む彼女たちの魔法少女の『先輩』麻未トモエの家へ向かっていた。
 ミキとサクラが儲かった、得したと笑い合う中、彼女たちのケーキ全てを自腹で購入した小野寺ユウスケは、大型のケーキの箱を両手で持ち、青い顔をして何かをぶつぶつ呟きながら俯《うつむ》いている。
「冗談だろおい……。35個。さんじゅうごこって……。女子中学生4・5人でそんなに食うわきゃねぇだろ。冗談だろォおい」
「あ、あぁの。大変言いにくいんですけど、ミキちゃんもサクラちゃんもかなりよく食べる子だから、小野寺さんを気遣って、あれでもかなり遠慮してる方だと思います。サクラちゃんに至ってはいつも……」
「あぁあ、やめてくれやめてくれ! ききたくない、聞きたくないッ」
 あれで遠慮していたというのか、冗談じゃないぞ、女子中学生の胃袋は宇宙か何かか。
 ユウスケは女の子たちの胃袋に只ならぬ恐怖を感じ、壁に頭をぐりぐりと押し付けた。
「まぁ、でも良かったんじゃないですか。おかげであの二人、もうすっかり仲直りしてますよ」
「そうなってくれなきゃ困るよ。俺の財布に一足早い冬が訪れちまったんだからさぁ……」
 ユウスケが辛気臭いため息をついて項垂れる中、
今日は豪華なお茶会だ、と楽しげにはしゃぐミキとサクラ。しかしエレベーターを出た先に広がっていた光景が、彼女たちのそんな浮わついた気分を吹き飛ばした。
「ちょっと待て、待てよ。なんなんだよこれは」
「嘘でしょ……。だってこんなの、あり得ないッ!」
 彼女たちの眼前に広がっていたのは、高くて白い壁が迷路のように張り巡らされた不可思議な空間。先程逃がしてしまい、行方を追っていたあの魔女のものだ。
 遠方より何かが来る。大砲のような顔をした足が全て人の腕の、ムカデのようなあの化け物。アケミたちが先程逃がしてしまったあの魔女だ。
 だがそんなことはありえない。家主の麻未トモエが有事に備え、特別強力な結界を張っているし(とはいえ、魔女の標的のほとんどは一般人であり、魔法少女が直接狙われた試しはないのだが)、突破できたとしても、結界の消滅をミキやサクラが感知できない訳が無い。
「わけがわからねぇ……わからねぇけど」
「やるしかない、わね。おにーさんおねーさん、カナメとケーキ、しっかり守っててよッ」
 難しいことを考えるのはやめだ。二人の魔法少女は変身し、カナメたちの前に結界を張ると、各々の武器を構え魔女に向かって飛びかかった。
「まさかトモエさんの家までやってくるなんてね、悪いけどこれからお茶会なの。とっとと決めさせてもらうわよッ」
「飛んで火にいる夏の虫! 今度こそぶちのめしてやるぜェ」
 ミキは疾風のように地を駆けて魔女の”腕”を斬り裂き、サクラは魔女の遥か頭上まで跳び上がると、自慢の”槍”を電柱程の長さまで伸ばし、槍投げの要領で魔女の”節”に突き刺した。
 ”脚”をもがれ、節を貫かれて地面に釘付けとなり、さながら暴風雨のような荒々しい悲鳴を上げる魔女と、本気を出せばこんなものよと、笑顔でハイタッチをする二人の魔法少女。
「ほえーっ。あれで中学二年生かよ。一瞬動きを追えなかったぜ」
「ライダーじゃなくてもあんなに強いなんて……」
 彼女たちの戦う様を目の当たりにし、ユウスケと夏海はただただ圧倒されていた。しかしその中でカナメだけは、その周囲に目をやりつつ複雑な表情を見せている。
「どうしたんだカナメちゃん。あの化け物なら君の友達に任せておけば大丈夫そうだぜ。そんなに暗い顔しなくてもいいんじゃないのか」
「いえ、あの。魔女やミキちゃんたちがというよりも、その周りが……」
「周り? 何かおかしなところでもありましたか」
 カナメの言葉と態度が気になり、結界に顔を近づけて辺りを見回すユウスケと夏海。
 絵具をぐちゃぐちゃにかき混ぜたような気味の悪い色の空の下、飛び越えられそうにないほど高い壁が、迷路のように複雑に入り組んだ空間。ここまでは同じだ。
 その中で、先程までと違うものが一つある。壁に描かれた”動く絵”だ。あの魔女が最初に現れた時のそれは、黒い影が縦横無尽に蠢くだけの簡素なものだった。しかし今はどうだ。そこに写っているのは黒い影などではなく、楽しそうにはしゃぐ”見滝原の制服を着た”女学生の姿だった。顔にだけ黒い影が残され、それが一体誰であるのかは窺い知れないが、不気味なことに変わりはない。
 このことがカナメに新たな疑念と不安を抱かせたが、それも些細な問題であった。何故ならミキが斬り落とした魔女の腕が、まるで沸騰寸前の熱湯のように泡立ち始め、見滝原の女学生の制服を身に纏った、顔がなく手足が″腕″の不気味な怪物へとその姿を変えたのだ。
「ミキちゃん、サクラちゃん、危ないッ!」
 魔女の体から斬り離された化け物は一斉に魔法少女に襲いかかる。カナメの声も虚しく、対応し切れなかったミキとサクラは化け物たちに羽交い締めにされ、自慢の腕で足や手をまるで雑巾でも絞るように締め上げた。
「あぁもうっ、なんつぅ馬鹿力! 手加減しなさいよ手加減」
「魔女の体から直接″使い魔″が出てくるなんて……聞いてねぇぞっ」
 こんな奴らに構っていられるか。サクラは使い魔たちを振り払おうと魔女に突き刺した槍を抜き、手に馴染む大きさに変えて握るが、それがいけなかった。
「馬鹿ッ、何やってるのよサクラ、前、前ッ」
 魔女はその一瞬を見逃さなかった。サクラの手により槍が引き抜かれた瞬間、斬り落とされた腕を再び生やし、その腕で手下の使い魔もろともサクラを、亀裂が走るほどの衝撃を伴って壁に叩きつけたのだ。
 自身に群がる使い魔たちを振り払い、サクラを助けようとミキはひたすら剣を振るい続けるが、魔女の腕から分離したそれは、斬られれば斬られるほど数を増し、彼女が剣を振るえば振るうほど事態はさらに悪化して行った。
 疲れ果てて片膝をつくミキの前に、再生された魔女の腕が迫る。飛び退いてかわそうとするが、増えに増えた使い魔たちが彼女の足を掴む。これでは助けに行くどころか自分の身が危ない。打つ手なし。自分の力ではどうにもならないと悟ったミキは、剣を降ろして目を瞑る。

 ――こんなところで諦めるつもりなの? 情けないわね、彩花ミキ。
 冷淡な中に嫌味が入り混じったその声がミキの耳に届いた瞬間、彼女の周りの景色が一変した。自分やサクラを取り囲み、羽交い締めにする使い魔たちが爆炎の中に呑まれ、ミキを圧し潰さんとしていた魔女の腕は、漫画に出てくる三角チーズのように穴だらけになって動きを止め、彼女の元には届かず崩れ去った。
 辺りを見回すミキの目に、押し潰されて虫の息となったサクラを抱きかかえた『焔アケミ』が止まる。アケミは弱り切ったサクラを彼女の足元にゆっくりと降ろして踵を返し、背後のミキに冷やかな口調で言った。
「杏子サクラはまだ生きている。あいつの相手は私がするから、カナメたちと一緒に結界の中で大人しくしてなさい」
「何よ、こんな時でもあたしたちを馬鹿にしようっての? ふざけるのもいい加減にしなさいよ!」
「戦況というものがまるで見えていないのね。魔女と戦うことは誰にだってできる。けれど、サクラを治療できるのはあなただけなのよ、彩花ミキ。それにあなたたちがやられてしまえば、カナメたちを護る結界が解かれてしまう。復唱の要なし。分かったらとっとと行きなさい」
「……ッ!」彼女の物言いには腹が立つが、言っていることは尤もだ。ミキは舌打ちを一つしてサクラを抱きかかえ、結界の中へと入って行く。
「ミキちゃん! サクラちゃんは大丈夫なの?」
「大丈夫よ、想定内。すぐに治療するから、寝かせるの手伝ってくれる?」
「想定内って……、なんかすげぇ血が出てるぜ……大丈夫なのかよ、これ」
 肺を傷つけられ、見ているこっちがもよおしてしまいそうなほどに血を噴くサクラ。
 ユウスケは大丈夫なのかと彼女の体を揺するが、ミキは邪魔だとその手を払いのける。少し渋い表情を見せるユウスケに対し、横から割って入ってきたカナメがすみませんと一礼を入れた。
「サクラちゃんのことなら大丈夫。ミキちゃんは”癒し”の祈りを捧げて生まれた魔法少女。自分だけでなく、人の怪我を治すのだってお手の物なんです」
 そんな馬鹿な。命にかかわる大怪我をしているのに、やっていることはただ患部に手を乗せているだけのミキの姿を、ユウスケは訝しげに見つめた。しかしどうだろう。ただ手を乗せているだけだと言うのに、サクラの出血は瞬く間に治まり、苦悶に歪み蒼い顔だったものが、徐々に血色を取り戻してきている。
 カナメの言っていることは本当らしい。ユウスケは驚嘆の声を上げると同時に、ミキとカナメに対しすまないと頭を下げた。
「しかしすごいな、魔法少女ってのは。こんなことまで出来るの?」
「怪我の方はミキちゃんに任せておけば大丈夫ですけど、あっちの方は……」
 不安げな表情で結界の外、魔女と戦うアケミの方へと目を向けるカナメ。
 誰にも捉えきれないほどの速さで地を駆け、右手の手盾から取りだした拳銃や手榴弾など、おおよそ魔法少女らしからぬ武器を用いて果敢に魔女に挑むアケミだが、(自身の魔力で強化されているとはいえ)拳銃や手榴弾程度では硬い外殻に覆われた魔女の鎧を砕くことはできず、戦いは平行線の一途を辿っていた。
 このまま戦っていては自分の体力も魔力も持たない。根負けしてしまうのは目に見えている。そのことを誰よりも痛感していたアケミは、振り下ろされる魔女の腕を巧みにかわしつつ、手盾の中から一抱えもある大口径大筒のグレネードガンを取り出して弾を込める。
 しかし相手もそう易々と撃たせてはくれない。アケミがグレネードの砲口を標的に向けるよりも早く、彼女に向かって腕を伸ばす魔女。アケミは掌の中から腕が生え、その掌の中からさらに腕が伸びて行く不気味な光景に物怖じすることなく「でしょうね」と呟き、その場から消え去った。

「弾さえ込められればこちらのものよ。消えなさい」
 アケミの姿は魔女の遥か頭上へと移っていた。重力に従って落ち行く中、硬い外殻を持った魔女の唯一弱い部分である”節”に照準を合わせ、引き金を引く。
 風を突き抜けて飛んだそれは魔女の頭から四番目の節に突き刺さり、轟音と爆風、狂った雄牛のような猛々しくも気味の悪い悲鳴を上げて破裂した、筈だったのだが。爆発に巻き込まれ悲鳴を上げて地面に叩きつけられたのは、どういうわけかアケミの方であった。
「爆弾を投げ返してくる……なんて、一体、どういうことなの」
 爆発の衝撃で体からはみ出た臓器を押し戻し、欠損した体の部品を魔力で補いつつ、自身の目に映った光景を反芻するアケミ。自分が狙ったのは人間でいう後頭部。視覚野から完全に外れた場所のはずだ。気付いて咄嗟に反応できるはずがない。
 ならば何故こうなったのか。アケミの出てくる位置を予め予測していたとしか考えられない。言葉を用い、魔法少女の結界を易々と越え、こちらの行動を予測したとしたとしか思えない行動を取る。あらゆる意味で規格外だ。負傷によって殆んど身動きが取れない自分に向かって襲い来るこの魔女に、アケミは今までにない、心の底からの恐怖を感じた。
 そしてそれは、結界の中で見ていたカナメたちも同じであった。
「このままじゃアケミちゃんが……! ミキちゃん、どうにかならないの!?」
「助けたいけど、今あたしがここを離れたらサクラが……。ああんもう、なんて時に怪我してんのよあんたはッ」
 助けたくないわけがない。しかし治療中のサクラを放ってはおけない。ミキは二者択一に思い悩み、カナメは彼女たちに何もしてあげられない非力な自分を恨み、悲しみと悔しさに涙を溢《こぼ》した。
「このままじゃあの子が……。何やっているんですかユウスケ、助けてあげないと」
 夏海はアケミを助けるようユウスケに促すが、当の本人は空を見上げてその必要はないよと言い、泣きじゃくるまどかの頭を撫でた。
「いっつもいい所で出てきて、おいしい所を全部かっさらうんだから。大丈夫だよカナメちゃん、あいつが来た」
「あいつ……?」
 ————FINAL ATTACK RIDE 「De-De-De-DECADE」
 アケミに襲いかからんとする魔女の頭上に、突如金色に縁取られた畳程の大きさのカードが幾重にも降り注いだ。そのカードの先にはピンク色の何かがおり、まるで流星のように魔女の外殻に激突したそれは、魔女を地面に叩きつけ周囲に砂埃を舞わせた。
「ろくに説明もしねぇで置いて行きやがって。場所ぐらい教えておけってんだ」
 仮面ライダーディケイドは必殺のディメンジョンキックで魔女を蹴り飛ばした後、血だらけになってその場に突っ伏すアケミに手を伸べる。魔女でも使い魔でも、ましてや魔法少女でもないそれに身震いするアケミだが、それが士の声であることを知り、伸べられた手をゆっくりと握った。
「なんでこの場所が……いや、そうじゃなくて、どうしてここに入り込めたの。魔女の結界は人間が自発的に入り込めるような場所じゃないのに」
「俺は世界の破壊者だ。めんどくせぇ理《ことわり》には縛られねぇのさ。行くぞ!」
「待って。まだ終わりじゃないわ。後ろッ」
 立ち上がることのできないアケミをおぶってその場から立ち去ろうとしたディケイドに、背後から蹴りつけられて怒りに燃える魔女が迫る。ライダーキックの力を持ってしても破れない頑強な外殻に、ディケイドは呆れ、アケミは恐怖に顔を引き攣《つ》らせた。
「普通にやっても倒せないってタイプか。だったらこっちにも考えがある」
 ディケイドは背負ったアケミを壁にやさしくもたれかけさせると、ライドブッカーから一枚のカードを取り出してディケイドライバーに装填し、バックルを閉じた。
「デカブツの化けもん相手なら、こっちはそいつら退治の専門家だ」
 ————KAMEN RIDE 「HI-BI-KI」
 バックルにカードを装填し、御魂のようなものが現れるのと同時に、青い炎に包まれるディケイド。
 体を覆う炎が描き消えると同時に彼は、紫色の筋骨隆々とした体躯に、二本角に隈取りだけで示された不気味な顔の『鬼』、”仮面ライダー響鬼”が立っていた。
「オニゴッコは終いだぜムカデ野郎。あぁ、”鬼”は俺か。こりゃ失礼」
 ディケイドは一歩も退くことなく、腕から飛び出した鋭利な爪で襲い来る魔女を抑え込み、その場に押し留める。人間離れした凄まじい力に、その場にいた誰もが息を呑んだ。
 力づくで魔女の体を押し上げて海老反りの体制に持ち込むと同時に、腕の猛攻を振り払って魔女の腹側に潜り込み、”ファイナルアタックライド”のカードをバックルに装填。三つの御霊が彫り込まれた太鼓が魔女の腹にくっついて数倍の大きさに巨大化し、仁王像の顔を模ったと思しき不気味な石のついた撥《ばち》がひとりでに現れ、ディケイドの両手へと収まった。
 ————FINAL ATTACK RIDE 「Hi-Hi-Hi-HIBIKI」
「んじゃ、一気に決めさせてもらうぜ。『音撃打・火炎連打の型』ッ」
 そう叫ぶと同時に手にした左右の撥《ばち》で、太鼓をリズミカルかつ威勢良く叩くディケイド。腹の底まで響く豪快さと、聴く者に安心感を抱かせる涼やかな音色が合わさった”音撃”は、魔女の体に確かなダメージを与えていく。
「鬼ゴッコも弱い者いじめもこれで終いにしようぜ、なぁ! そぉらよっ」
 清めの音撃を浴び続け、聴くも無残な悲鳴を上げ続ける魔女に、ディケイドはとどめの一発を叩き込む。魔女の体全体に有明の干拓地のようなひび割れと亀裂が走り、程無くして黄色い体液を噴出して吹き飛んだ。
 魔女が倒されたことでこの異様な空間は煙のように消え失せ、彼らは皆現実世界のマンション前へと戻っていった。

「んで……、なんだこいつは」
 変身を解いて元の姿に戻った士は、自分の足元に転がっていたものに目を向ける。
 彼が拾い上げたのは黒い枠のようなもので縁取られた、掌にすっぽりと収まるほど小さな黄色い(と呼ぶにはかなりくすんだ)宝石。魔女の破片も体液も、倒したことであの異空間ごと消え去ったはずだ。なのにこれだけはその影響を受けず、「こちらの世界」に転がって来ている。何か重要なものであることは間違いない。
 士はそれを拾い上げ、アケミとサクラの治療を続けるミキの方へと歩を進めた。
「おぉい、なんだこの宝石みたいなものは。お前らにとって大事なものなんじゃないのか?」
「あぁ、”グリーフシード”ね。ちょうど魔力が減ってて困ってたの。ありがと」
「ぐりーふしーど? この”宝石”みたいなやつのことか。なんなんだこれは」
 負傷者の治療に必死で、それが何であるか確認せずに受け取ったミキに代わり、カナメが士の前に立って口を開いた。
「あっ、グリーフシードって言うのはですね。戦いや魔力の消費で穢《けが》れてしまったソウルジェムを浄化するためのものです。
 ソウルジェムは魔法少女になった女の子が生み出す宝石で、魔力の源。穢れて澱んでしまうと魔力をうまく引き出せなくなってしまうから、こうして魔女を退治して手に入れるんです。全部、麻未先輩の受け売りなんですけどね」
「なるほどね。それがお前たち魔法少女が魔女を狩る理由、ってわけか。しかしそのソウルジェムってのが穢れ切ったらどうなるんだ?」
「それは……見たことがないので、ちょっと」
「中途半端な知識だな。知らねぇものはしょうがないが……」
 説明されたが、肝心なところは分からず仕舞い。もやもやとした気分でため息をつく士に対し、彼から渡されたものを見込んだミキは、目を血走らせ士の首根っこを掴み怒りに任せて激しく振った。
「あんたちょっと……これは一体どういうことよ!」
「な、何だ。息が出来ねぇ。離せ、離せっての」
「いきなりどうしたのミキちゃん! 士さんにひどいことしちゃだめだよ!」
「カナメは黙ってて、あんた、これを見てもそんなこと言ってられる!?」
 仲裁に入ったカナメを押し退けてなお士への怒りを露わにするミキ。なんでと問うカナメに対し、ミキは先程士から受け取った宝石を彼女と士に見せた。
「どうしてよ、なんでなのよ! なんであんたがトモエさんの『ソウルジェム』を持ってるのッ」
「あァ? んなもの俺が知るかっての。この宝石はお前らにとって大事なものなんだろう? どうして化け物の腹の中から出てくるんだよ」
「そんなのあたしが聞きたいぐらいよ! あんた一体何をしたの、トモエさんに何をしたってのよ! 返してよ、トモエさんを返しなさいよ!」
 ″なんで″と士を問い詰めてはいるものの、その理由にミキも薄々感付いていた。
 魔法少女がソウルジェムを手離すはずがない。手離して無事なわけがない。そうなると答えは限られてくる。手離さざるを得ない状況に追い込まれたか、もしくはソウルジェムごと『喰われた』か。
 しかしそれを認めるわけにはいかない、麻未トモエは自分たちよりずっと優秀な魔法少女。憧れの先輩なのだ。魔女に喰われて死んだなど、信じられるはずがない。彼女はただ、その苛立ちを士にぶつけているだけなのだ。
「落ち着けよ。お前がいくら騒いだところで、そいつが戻って来るわけじゃないだろう。それよりもだ、結局これは何なんだ。何故そうも取り乱す必要がある」
 肌身離さず持ち歩くほど、この宝石は彼女たちにとって大事なものであることは士にも理解できた。とはいえミキのこの取り乱し様はなんだ。これが今自分の手の中にある。それが意味することとは何なのか。彼にはさっぱり分からなかった。
 そしてその問いに答えたのは自分を糾弾するミキでも、満身創痍のアケミでも、ましてやただの女子中学生のカナメでもなく、何処からともなく聞こえてきた謎の声であった。

 ————魔法少女の文字通りの″魂″。そしていずれ『魔女』と言う名の蝶になる前の蛹《サナギ》……。それがソウルジェムよ、ディケイド。
 不意に士の耳に届いた謎の声。不気味なほど妖艶《ようえん》な声に、頭ではなく直接耳に響くこの感触。あの『キュゥべえ』のものではないことは明らかだ。
 一体何だと振り返った士の眼前に、薔薇の花のような頭に妙齢の女性の顔が貼り付いたかのような奇妙な顔をし、全身朱色で体の線がはっきり浮き出るほどぴっちりとしたタイツを纏い、背中に蛇と何かが絡まったかのような不気味な紋章の刺繍の入ったマントをはためかせた、士たちと同じぐらいの背丈の、不気味な怪人が立っていた。
 その不気味な風貌に誰もが驚いて声も出ない中、怪人は変わった形のソウルジェムを持つ士に手を伸べた。
「私は『大ショッカー』科学技術研究班主任″ドクター・ケイト″。そのソウルジェムはまだ本採用前の試作品なの。悪いけど返していただけないかしら?」
「悪いけど聞いたことねぇな。この世界限定の組織のくせして、何故俺の名前を知っている」
 士の問いに、ドクター・ケイトは人差し指を突き立て軽く振って、彼をやや小馬鹿にしたような口調で答える。
「何を馬鹿なことを。今やこの世界どころかあの世界もその世界も大ショッカーの支配圏にあるというのに。もしかして、知らなかったのかしら?」
「ごちゃごちゃうるせぇ。喧嘩を売りてぇってんなら喜んで相手になるぜ」
 彼女の言葉に苛立ち、ディケイドライバーを腹部の前に構える士。しかしそんな彼らの間に彩花ミキが割って入り、ケイトに剣を向けた。
「世界がどうとか組織がどうとかは知らない。けどアンタ、そのソウルジェムを……トモエさんをどうしようっての?」
「あらあら。私は今、ディケイドと話をしているの。邪魔しないでいただけるかしら、お尻の青いお嬢さん」
「質問しているのはあたしよ、斬り刻まれて青菜の塩漬けになりたくなかったら、ちゃんと答えなさい」
「血の気の多い野蛮な魔法少女さんだこと。まぁいいわ。どうするかって、決まっているじゃない。″研究″よ。魔法少女を魔女に『変える』には穢《けが》れが足りない。だから研究所に戻すの。たーっぷり穢れを吸わせて、その子を完全な魔女にするのよ。お分かりいただけた?」
「理解はできたよ。けど! そんなの、あたしが許さないッ」
 魔法少女を魔女にする。そんなことできるものか。わけが分からない。しかし、この怪物は麻未トモエのソウルジェムを使って何か善からぬことを企んでいる。それがなんであろうと許しておいていいわけがない。ミキは怒りと苛立ちを剣に込めて思い切り振るった。
 しかし激情に任せた太刀筋ほど先の読みやすいものはない。ケイトは右に左に体を捻り、ミキの必死な様子を嘲笑いつつ易々とかわしていった。
「単調な剣捌きね。欠伸が出てしまいそうだわ。お節介かもしれないけど、そんなにかりかりしてちゃお肌に悪いわよ」
「黙れ、黙れ、黙れッ! お前、お前ェ……トモエさんに、何をしたんだ!」
「飲み込みが悪いわね。私が魔女にしてあげたのよ。たぁっぷりと穢れを与えて、この世の何もかもに絶望させて、ね。よく見るとあなたもなかなかいい目をしているじゃない。口で言って分からないと言うなら、貴女もなってみる? 魔女に」
 そう言って、背中に提げた薔薇の花がついた長尺の杖を構えるドクター・ケイト。何をするかは分からない。しかしその口振りから何か恐ろしい何かを仕出かすであろうことだけは読み取れた。
「ヤバい、何かヤバいぞ。ユウスケ、手伝えッ」
「あ、あぁ」
 士は結界の中にいるユウスケに協力を仰ぎ、自身もバックルにライダーカードを装填してディケイドに変身。ミキに何かしようとするドクター・ケイトを止めようとしたのだが、ケイトは想定の範囲内だと不気味ににやりと笑い、左手をさっと振り上げた。
「出でよ、ケイト親衛部隊! 仮面ライダーを叩き潰しなさい!」
 振り上げられた左手とケイトの掛け声に応じ、彼女の影の中、脇の螺旋階段、降りてきたエレベーター内部から、薔薇の花を象った不気味な面をつけた全身タイツの″戦闘員″が山のように押し寄せ、変身したディケイドとクウガに襲い掛かる。一体一体の力は大したことはないのだが、ロビー内を埋め尽くす程の数となると、さしものライダーも身動き一つ取ることができない。
「ちきしょう、邪魔だ、どけッ、どけッ!」
「あぁくそっ、どうすればいいんだ……このままじゃ」
 戦闘員たちによる足止めにより、ディケイドとクウガは一切手を出せない。ケイトはそれを見計らい、振り上げた右手の杖を振り下ろして叫んだ。
「未来を捨てよ、希望を棄てよ、絶望の闇に身を委ねるがいい! 喰らえッ『魔女の口付け』!」
 魔女・ドクターケイトの叫びと共に、杖から放たれた黒々とした光線は、円状の塊となってミキの首をまるで雑巾を硬く絞るかのように絞め始めた。彼女は両手を使って引き剥がそうとするが、力を込めれば込めるほど、刺々しい形に変化し、自分の手に喰い込んで行く。
「何よ、これっ……力が、力が吸い取られてく……」
 首に纏わりついたそれはミキに痛みを与えるだけでなく、魔力までも吸い取っていた。彼女の体から魔力を吸収すると共に徐々に形を成して行き、力を丸ごと吸い取られてミキが元の制服姿に戻る頃には、光線はケイトの元を離れ、くすんだ銅の首輪となって彼女の首に嵌っていた。
「ミキちゃん! どうしたの!? 返事を、返事をしてよミキちゃん!」
「一体何が、何が起こったんですか」
 カナメの言葉に答えることなく、ミキは意識を喪失してその場に突っ伏してしまう。ミキのことは気がかりだが、今はそれどころではない。ミキとサクラ、二人の魔法少女が同時に倒れたことで、カナメたちを守る結界は完全に消失してしまったのだ。そしてそれをドクター・ケイトが見逃すはずがない。
「あらまぁ。まだこの街に魔法少女がいるなんて。今日はツイてるわ。実験材料をこんなにもたくさん手に入れられるなんてねぇ。さぁ、あなたたちも喰らいなさいッ!」
 ケイトは先程以上に力を溜め、杖を振り下ろしてかの光線を照射した。あれが一体何なのか、それは分からない。しかしミキのあの苦しみ様からして、魔法少女はおろか常人が喰らって無事で済むような代物ではないことだけは理解できた。
 狭いエレベーターの中では避けようがなく、仮面ライダーの助けも期待できそうにない。このままでは全員がやられてしまう。カナメは三人の身を案じ、皆を守るべく一人光線の前に立ちはだかったのだが、サクラに足を引っ張られて転ばされ、彼女を押し退けて前に出た夏海によって阻止された。
「逃げて……逃げてくださいカナメちゃん、アケミちゃん!」
「この化け物に捕まンのはアタシたちだけで十分だ。カナメ連れてとっとと逃げろ、アケミ!」
「夏海さん! サクラちゃん!」

「二人の言う通りよ。逃げましょう、カナメ」
「待って、待ってよアケミちゃん……、夏海さんは、サクラちゃんは、ミキちゃんはどうするの!」
「今の私たちじゃあいつには勝てない。ここで全滅してしまっては元も子もないわ」
「でも、でもッ」
 そんなことは分かっている。だが痛みを圧して立っているのがやっとの自分にはどうすることも出来ない。アケミは自分の非力さに唇を噛み締め、カナメの言葉も聞かずに彼女を連れてエレベーターの中から姿を消した。
「消えた? あの黒髪の子は一体どこに……」
 自分の視界から忽然と消え失せたアケミを、戦闘員たちがひしめき合うこの空間を見回して探すケイト。焔アケミはその戦闘員たちの中にいた。最後の力を振り絞って戦闘員たちを引き剥がし、ディケイドとクウガの手を握った。
「おい、一体どうなってやがる。夏海は、お前の仲間たちはどうするんだ」
「助かりたかったら黙りなさい。舌を噛むわよ」
「いや、そうじゃなくて! 君の仲間も夏海ちゃんもあそこにッ」
 アケミは二人の言葉を無視して能力を解放し、この場から消え去った。ケイトもその部下の戦闘員も、行方を追おうと周囲を見回すが、彼女たちの姿はマンションのどこにも見当たらなかった。
 見たことも聞いたこともない能力に脅威を覚えたケイトだったが、通路前に横たわるミキと、エレベーターの中で気を失っている夏海とサクラを目にし、にんまりと笑みを浮かべる。
「サンプルが三つも手に入ったし、良しとしましょう。この世界の魔法少女たちが持つ”力”。もうじきそれが私の……いえ、偉大なる大ショッカーの物となる。もうすぐ。ふふふ、もうすぐ……」
 ケイトは不気味な含み笑いを顔に浮かべると、夏海と二人の魔法少女を部下に運ばせ、戦闘員共々”光のオーロラ”の中へと去って行った。




・「虫」の魔女
 その性質は”渇望”。埋まることのない寂しさを癒すべく、その腕で人を片っ端から捕らえて自分の結界の中に閉じ込める魔女。捕らえられた人間は魔女の体の中に取り込まれ、使い魔となって魔女の中で永遠に生き続ける。
 ”人”だった頃の記憶もおぼろげに残ってはいるが、そのことを語る口も、外界の物音を聞く耳も、物を見る目もこの魔女は持ち合わせていない。
 結界の中の壁に描かれた画は、魔女の持つ数少ない”幸せだったころの想い出”。格好までは再現できても、顔まで再現することはできなかった。
 この魔女を倒すためには、その寂しさを取り除き、癒すしかない。

・「虫」の魔女の使い魔
 顔と足に相当する部分が腕になっている、見滝原中学校の制服を着た使い魔。その役割は”捕獲”。
 こいつに捕まった人間は魔女の体の中に取り込まれ、魂を喰われこの使い魔へと姿を変えられる。使い魔たちに意思はなく、ただ魔女のために人間を捕獲するのみ。
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