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 ←Journey through the Decade Re-mix 第七話 「覚醒、魂のトルネード」 A-part →Journey through the Decade Re-mix 第七話 「覚醒、魂のトルネード」 C-part
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「Journey through the Decade Re-mix」
Journey through the Decade Re-mix(2)

Journey through the Decade Re-mix 第七話 「覚醒、魂のトルネード」 B-part

 ←Journey through the Decade Re-mix 第七話 「覚醒、魂のトルネード」 A-part →Journey through the Decade Re-mix 第七話 「覚醒、魂のトルネード」 C-part
 ※一部、お食事中の方に宜しくない描写がございます。あらかじめご了承ください。



 一日中光耀き、眠ることを知らない都会の一角。光に群がる虫のように集まる若者たち。親の心配をよそに、何をするでもなく街を徘徊する彼らは、未確認生命体の格好の的だ。
 海東大樹は未確認出現の報を受け、G3-Xを装着し、常用バイク・ガードチェイサーを駆って、とあるビル前の広場へやって来ていた。仮面に備え付けられた無線とビデオカメラを操作し、遅れて「Gトレーラー」で現場に向かう八代に連絡を入れる。
「G3-X、海東大樹。現場へ到着しました。映像を送ります」
「――感度良好。まだ逃げていないとは……、舐めてくれるじゃないの」
 通報が入ってから出動した以上、仕方がないことなのだが、被害者は既に事切れていた。
 事切れた男の前に立っていたのは、茸に人の顔が貼り付いたような者と、鳥のような顔をし、そろばんに似た計測器のようなものを手にした異形の二人。
 鳥の未確認は、そろばんの玉を弾くように計測器を動かし、茸顔の未確認にそれを見せて言った。
「ボセゼ《これで》”バギング ドググド ゲズン” ビンレザ《人目だ》、『ギノガ』」
「ギガガシパ《仕上がりは》ジョグジョグザバ《上々だな》。ヅギンバシダビギブゾ《次の狩場に行くぞ》。ヅギデボギ《ついて来い》、『ドルト』」
 茸の異形に従い、頷いて踵を返す鳥の異形。Gトレーラー内のユウスケには、彼らが今何をし、そして次に何をせんとしているのか、さっぱり分からない。

「ばぎんぐ? どぐくど……? こいつら、何を言ってるんだ?」
「バギング・ドググド・ゲズン。彼らなりの数の数え方ですよ。あの茸の未確認は一般人を”25人”も殺した……、そう言っています」
 言い淀みなく、聞き取り易い発音で、茸頭が何を言ったのか説明して見せる一条。
 自分の世界の住人はおろか、この世界の住人ですら何を言っているのか分からない未確認たちの言葉を自在に操る一条に、ユウスケは感嘆の声を上げた。
「すごいですね一条さん。何で分かるんです?」
「貴方は私を馬鹿にしているんですか? ”ゲゲリンガル”の言語システムを作成したのは私です。分からない訳がないでしょう」
「そんなすごい人だったんですか!? いやぁ人は見かけに依らないもんなんだなあ」
「一言余計ですよ、一言」
 馬鹿にするなと怒りつつ、一方で誇らしげに鼻を鳴らす一条。形はどうあれ、自分の仕事を褒められて嬉しかったようだ。そんな一条に対し、八代はモニターを見たまま話の中に入る。
「ま、日常生活には全く役に立たないけどね。未確認も大分減ってきてるし」
 褒められて浮いた心を叩き落とす八代の一言。
 頭を抱えて項垂れる一条の姿を見て、ユウスケは「頑張ってください」とだけ呟いた。それ以外に彼に掛けるべき言葉は見付からなかったのだ。
 八代はそんな二人を無視して現場の海東に攻撃準備を促した。
「――敵はまだこちらに気付いていないわ。”GG-02”、アクティブ。二体とも一気に吹き飛ばしちゃいなさい」
「お言葉ですが八代班長、それでは物的被害が大きくなりすぎます。これ以上バッシングを受けるのは、僕にとってもあなたにとっても、非常に都合が悪いんじゃないですか」
「――ならどうしろっていうのよ。あなたに何か、考えがあるとでも?」
 八代の問いに海東は軽く頷き、「提案があります」と言葉を返した。
「G3-Xの武装、その全ての解放権を僕に譲渡してもらいたい。さすれば二体の未確認、人的被害も物的被害も最小限に留めて、かつ”2分以内”に始末して見せますが……如何でしょう」
 被害を最小限に留め、二分以内に未確認を仕留める。ユウスケと一条は「できるものか」と非難するが、八代は腕を組み目を閉じて少し考え、備え付けられた武装ロックのスイッチを切った。
「うぇぇっ! あね……八代さん、何でッ」
「八代淘子さん、御自分が何をしたのかお分かりですか! 武装を解放したと言うことは、現場の装着員に、G3-Xのあの武装を好きにさせるということなんですよ!?」
 驚き、慌てふためく二人の言葉を、八代は「やかましい」の一言で遮る。
「――この仕事は結果が全てよ。そんな大口叩くってことは、当然自信があるのよね? 海東君」
「勿論」
「――なら任せるわ。仕損じたらどうなるか、分かっているんでしょうね」
「その必要はありません。すぐに終わります」
 言い終わるが早いか、海東はガードチェイサーからチェーンソーの様な形状の剣、GS-03を取り出し、二体の未確認に向かい駆け出した。
 その日の朝、剣の重さに脂汗をかいていた警察官とは違い、海東はそれを軽々と振り回し、茸頭と鳥頭の体を斬り付ける。斬られ、茸頭が口に何か含んだのを見た海東は、奴の腹を蹴り付け、自身の射程から引き剥がす。
 蹴りつけられてよろけた茸頭は、遅れて口から紫色に淀んだ霧のような何かを吐き出したのだ。行き場をなくして周囲に飛び散ったそれは、コンクリートの床をどろどろに溶かし、地面を数センチほど陥没させて行く。
 海東もうち数滴を浴びたらしく、負傷こそなかったものの、G3-Xの右肩のアーマーが溶け、歪な形に変わった。

 地面に飛び散る毒霧を目にし、「おかしいな」と海東は思う。
 体内で精製された毒物を相手に送り込み、毒殺する。これが茸頭の能力、殺しの方法なのだろう。それは理解した。しかし、そうなると説明がつかない事柄が一つある。彼らの周囲で風に舞っているあの「灰」は何だ。あの毒を喰らえば、ヒトやモノは腐り落ち、地面やその他は溶けてなくなるが、灰には変わらない。
 とすれば、隣の鳥の未確認の能力か。いや、違う。無線口の一条の話から察するに、おそらく彼は、茸頭の”ゲゲル”の殺害数を計測していただけだ。殺しには直接関わっていないと見える。
 未確認生命体のゲゲルは原則一体のみで行われる。誰かと協力し合うはずがない。これは一体、誰の能力なのか?

「――海東君、返事をしなさい! 海東君!」
 冷静に状況を分析する海東の耳に、無線口から慌てふためいた八代の声が響く。
 軽度とはいえ、アーマーを破損させ、全く応答しないことに焦りを感じたのだろう。海東は落ち着いた口調で「ご安心ください」と返し、頭の中でまとめた分析結果を口にした。
「アーマーをも溶かす強酸の液、それが奴の能力のようですね。毒性も強そうだ。ですがご心配なく。それならそれで、やりようは幾らでもある」
 そう言って、二体の未確認に背を向け、ガードチェイサーの元へと戻る。鳥の未確認が彼に向かい、右手の鋭い鉤爪を放ったが、海東は一瞬だけ体を捻り、右手の剣でそれを振り払った。
 ガードチェイサーの元に辿り着いた海東は、右手に嵌った剣を外してその場に放り、右足から小銃「GM-01」を抜き、ガードチェイサーの荷台に準備されていた強力な炸薬、「GG-02」を銃口に取り付けて構えた。
「ビガラゼ《貴様で》バギング・ドググド・ゲギド《26》 ビンレザ《人目だ》! ギベ《死ね》!」
「死ぬ? 死ぬのは果たして……どちらかな」
 茸頭の未確認が、口を大きく開けて、海東目掛け飛びかかる。自身の毒が、G3-Xを倒すのに有効であると学習したのだろう。
 海東は逃げることなく銃を構え、今まさに毒を放たんとする茸頭の口目掛け、引き金を引いて炸薬を放った。
 不意を突かれ、それを飲み込んでしまう茸頭。彼らの掌に収まり切らないほど大きな炸薬は、茸頭の口を通って喉元に達したところで弾け飛ぶ。
 茸頭が毒の代わりに火を噴いた。体内で精製されていた危険物が、炸薬の火力で全て消し炭と化し、体の中に溜まった炎を吐き出しているのだ。
 だが、それだけで済むはずがない。喉元から出火した炎はやがて肺を伝い胃を燃やし、茸頭の全身を丸焼きにしてしまった。

「すごい……。未確認を一分もかからないで仕留めるなんて」
「癪ですが、認めざるを得ませんね。海東大樹、あなたがG3-Xの装着員に、最も相応しいと」
 海東の鮮やかな手並みに、手を叩いて感服する一条とユウスケ。
 八代はそんな二人に「浮かれないで」と一喝し、モニターを見つつ現場の海東に指示を飛ばす。
「――もう一体が空に逃げるわ。撃ち落としなさい」
「言われなくとも」
 勝てないと恐れをなして空に逃げた鳥頭の背中目掛け、グレネード弾GG-02を込めて構え、発射する海東。
 空を裂いてグレネード弾が飛んでくる音を耳にした鳥頭は、空中で体を捻って直撃を避けたが、かわしきるとまでは行かず、左翼に被弾してバランスを崩して落ちていく。
 海東はよしと呟き、鳥頭の墜落地点へと向かうが、鳥頭は落下して地面に叩きつけられることなく、何かの触手に絡め取られ、ビルとにビルの間に消えた。

「あれ……あれれっ!? 未確認は、未確認はどこへ消えたんだっ?」
「何かに絡め取られたように……見えましたが」
「何だっていいわよ。大事なのは、さっきの二体以外の未確認が近くにいるってこと。海東君、十分注意して」
「了解」
 命令に従って歩を進めつつ、先ほど感じた疑問を基に思案を巡らせる海東。
 暗がりの中で目にしたあの触手。あんなものを扱う未確認生命体などいただろうか。もしかしたら、敵は未確認ではないんじゃないか。
 彼の疑念は確信に変わる。鳥頭の未確認が触手に絡め取られて消えたビルの先から、梟を模した灰色の怪物が、似たような姿の仲間を引き連れて、海東の前に姿を現したのだ。
 死んだ人間から覚醒し、体内からエネルギーを送り込んで、自分たちと同じ存在に変えて仲間を増やす超生物・オルフェノクだ。
 しかしユウスケは同時に思う。オルフェノクなら、先のファイズの世界で嫌と言うほど倒し尽くした筈だ。八代たちの話を聞くに、元々この世界にいたわけでもないらしい。
 そんな奴らが何故、この世界で暴れているのだろう。

 現場の海東も同じ疑問を抱いたが、それならそれで別に良いと頭を切り替えて、GM-01を片手に一団の中に潜り込む。拳を堅く握り、一団の中の一体に見舞うが、残りのオルフェノクに阻まれ、ダメージには至らない。蹴りも同じだ。
 それならばと飛び退き、GM-01を撃ち込んでみるも、効果無し。G3-Xの武装は強力だが、多人数を相手取った戦いでは、決定打を与えることが出来ないようだ。
 海東は溜息をついて更に距離を取ると、顎に指を載せて思案を巡らせると、両手でマスクの後頭部を掴み、ロックを外して取り外し、地面の上にゆっくりと下ろす。それに続き、両肩、両足、胸のアーマーを外し、次々と地面に置いて行く。程無くして彼の体は、黒いアンダースーツを纏っただけとなった。
 海東は軽く伸びをして息を吐くと、ディエンドライバーにカードを装填して空に掲げた。
 ――変身
 ――KAMEN RIDE「DI-END」!!

 ディエンドに変身した海東は、素早く軽やかな動きでオルフェノクたちを蹴散らす。腰の動きだけで襲い来るオルフェノクたちをかわし、横回し蹴りを入れ、空振らせて同士打ちを誘発させる。G3-Xのアーマーが、彼にとって足枷でしかなかったかのようだ。
 しかしこうも数が多くては、ダメージを負わせることは出来ても、倒しきるとまでは行かない。
 ディエンドは腰のカードホルダーから二枚のカードを取り出してドライバーに装填。オルフェノクの一団に向けて引き金を引いた。
 ――KAMEN RIDE「DRAKE」
 ――KAMEN RIDE「DE-L-TA」

 ディエンドライバーの銃口からトンボの形と、ギリシャ文字のΔ《デルタ》を模した二つの紋章が現れ、一瞬で人の形を成し、ディエンドの前に並び立った。
 トンボを模した青色の仮面ライダー「ドレイク」と、黒のボディに銀のライン、オレンジ色の複眼の仮面ライダー「デルタ」。いずれもディエンドと同じく、銃器を扱うライダーだ。
 二体のライダーはディエンドの求めに応じ、オルフェノクの一団に向かい、銃弾を発射する。
 オルフェノクたちの大群、その塊が徐々にばらけていった。

「――どういうことなの……? 映像が来ない! 海東君、応答しなさい、海東君ッ!」
「一体何があったのでしょう。やられたのならまだしも、突然映像が消えるとは」
 通信を切られ一切の情報が届かないGトレーラーの方は大騒ぎだ。
 海東の声はするが、映像は届かない。やられたわけではなさそうだが、現場で何が起こっているのか。
 何か不穏なものを感じたユウスケは、ガードチェイサーと共にトレーラー内に収納された愛機・トライチェイサー2009に跨がってエンジンキーを回した。
「俺、先に現場に行って様子見てきます」
「ちょっと待って小野寺君、気持ちは分かるけど、危険すぎるわ」
「あいつらのことならよく知ってます。下手は打ちませんから」
 危険なのは両者共に重々承知だ。事態の把握も必要であることは変わりない。八代はユウスケの曇りのない瞳を信じ、トレーラーのハッチを開き、一丁の拳銃を手渡した。
「あの、これは」
「神経断裂弾が込められているわ。もしもの時のために、ね」
 ユウスケは八代の言わんとしていることを読み取り、拳銃を腰に提げて再度バイクに跨がる。
 目と目で合図を交わした後、トレーラーのハッチが開くと共に、ユウスケはバイクを駆って夜の街へと消えて行った。

 仮面ライダーとオルフェノクの一団との争いは、ディエンド優勢に傾いていた。
 ドレイクとデルタという二体の後方支援を得たディエンドは、並み居るオルフェノクたちを蹴りで怯ませ、銃弾の雨でことごとく散らして行く。
 対するオルフェノクたちは、ただただディエンドたちに突っ込んでくるばかりで、銃弾の雨を掻い潜るどころか、さしたる反撃もできず、撃ち抜かれて灰の塊へと変わって行く一方だ。
「さてと、そろそろ決めようかな」
 ――ATTACK RIDE 「CROSS ATTACK」
 ――ATTACK RIDE 「BLAST」
 ディエンドは、自分と別の二人が描かれたカード「クロスアタック」と、ブラストのカードをドライバーに挿入し、引き金を引いた。召喚された二人のライダーは、装填されたカードの効力に従い、手にした銃器にエネルギーを充実させる。
 ドレイクの銃器・ドレイクゼクターの銃口からは、大きな青色のエネルギー光弾が放たれ、デルタの銃器・デルタムーバーからは△の記号を二つ重ねたポインターが発射され、オルフェノクの腹に突き刺さる。
 ドレイクゼクターから発射された青色の光弾は、撃ち抜いたオルフェノクとその周囲にいた者たちを巻き込んで吹き飛ばし、ポインターを潜り抜けつつ放たれた強烈な飛び蹴りは、縦並びになっていたオルフェノクたちを巻き込んで根こそぎ蹴散らし、赤い△の記号を残して灰へと変える。
 それに続いて、空中から雨のように降り注ぐディエンドのエネルギー光弾。
 直撃したオルフェノクは即座に灰となって消滅し、かすっただけでも体から灰が漏れ出す。彼らの動きが格段に鈍くなった。
「いやはや……、参ったね。これだけやっても、まだ増えるのかい」
 三体のライダーの攻撃により、十数体近いオルフェノクを灰に変えた。それでもなお、広場に群がるオルフェノクの数は増え行くばかり。砂糖に群がる蟻のように湧いてくる灰色の怪物たちを前にし、ディエンドはどうしたものかと首を傾げた。

「な……なんなんだこりゃあ! 海東さん、これは一体どういうことです」
「あぁ、小野寺君か。どういうことって、緊急事態だよ」
 遅れて、トライチェイサーを駆った小野寺ユウスケが現場に到着。
 彼は無造作に脱ぎ散らかされたG3-Xのアーマーを目にし、これは何だとディエンドに詰め寄るが、当の本人は、興味なさげにユウスケをあしらい、近付いてきたオルフェノクに対し、体重の乗った横蹴りを叩き込む。
「G3-Xの装備じゃあ、群れたオルフェノクを蹴散らすには不相応だったのでね。手に慣れたもので仕留めようと思っただけさ。他意はないよ」
「他意はないって……G3-Xを、あねさんの開発したものを馬鹿にしてるんですか?」
「さぁね。僕にとってはどうでもいいことだ」
 ディエンドは自分が召喚した二体の仮面ライダーと、それに群がるオルフェノクたちを指してうんざりとした顔し、ユウスケに対し「そんなことより」と話を振った。
「妙だとは思わないかい? やつらは、こちらから攻撃しない限り、僕たちには無関心だ。僕や未確認が標的じゃないとしたら、彼らは何をしに、これだけの数で攻めてきたと思う?」
「それは……」
 そう言えばそうだと、改めて疑問に思う。敵はディエンドを襲ってはいるものの、それは彼が一団に攻撃を仕掛けたからであり、あちらから襲ってきたわけではない。ならば、彼らは何をしに、このような途方もない数で攻めてきたのだろう。
 訳が分からないと首を傾げるユウスケの隣で、ディエンドは成る程と唸り、仮面の下でにやりと笑った。
「なるほどって、何が”なるほど”なんです」
「分かったのさ。オルフェノクがこんなところで何をしているのかにね。見たまえ小野寺君」
 どういうことだと、ディエンドの差した方向に目を向けるユウスケ。
 視界を埋め尽くすほど多くのオルフェノクがいる中で、その場所だけ妙に陣の密度が減っている。何故なのかと注意深く見回すと、奴らを蹴散らす緑の獣が紛れているのに気が付いた。
 緑の獣は竦み上がるほど恐ろしい雄叫びを上げ、自分に群がるオルフェノクたちの喉笛を裂き、力任せに手足をもぎ、次々と灰に変えて行く。
 未確認生命体ともオルフェノクとも違うその異形に、ユウスケは恐れを抱き、あれは何だと困惑した。
「オルフェノクを倒してるってことは、味方……なのか?」
「さあね。あれは『ギルス』。”アギト”の出来損ないさ」
「……と、言われても、俺には何がなんだか」
 ”ギルス”に”アギト”。訳の分からない単語ばかりに首を傾げるユウスケ。
 だが、冷静に考えているだけの時間はない。ギルスと呼ばれた緑の獣は、オルフェノクの一団を蹴散らして飛び出し、自分たちを敵だと認識して襲い掛かってきたのだ。
 即座に対応したディエンドによって撃ち落とされはしたものの、数刻後に何事もなかったかのように立ち上がり、不気味な唸り声を上げる。只者で無いのは確かだ。
「何だ! やっぱりこいつ、敵なのかッ!?」
「さぁね、としか言いようがないな」
 彼を敵だと認識したユウスケは、低い唸り声を上げてこちらの様子を伺うギルスに、八代から渡された神経断裂弾の込められた銃口を向ける。
 その動作が意図するものを本能的に感じ取ったのか、ギルスは姿勢を低く保ったまま、じりじりと迫って来た。
「おいやめろ、お前が何もしなけりゃ、俺だって何もしないんだからなっ、なッ!」
 ユウスケの制止も虚しく、ギルスは大口を開けて飛びかかってきた。
 飛びかかるギルスに怯え、ユウスケは引き金に指を掛け、咄嗟に発砲してしまう。放たれた弾丸はギルスに向かって一直線に飛ぶが、彼らの間に割って入った一台のバイクに弾かれ、被弾せずに終わった。
「あっぶねぇなぁ。当たったらどうするつもりだユウスケ。殺人罪でめでたくムショ入りだぜ」
「余計なお世話だ……って、士ァ!?」
 ユウスケたちの間に割って入ったのは、ピンクの体に緑の複眼、世界の破壊者・仮面ライダーディケイド。いずこかへと消え去った芦河ショウイチ——ギルスを追って、ここに辿り着いたのだろう。
 何でお前がここにいる。人殺しとはどういうことだ。聞きたいことは多々あるが、彼の後ろから出てきたディエンドが、ユウスケの言葉を遮った。
「こんばんは。まさかこんな所で出会うとはねぇ。歓迎するよ、士」
「何が歓迎するだ。窃盗がバレて、オルフェノク共に追われてるってか。コソ泥のお前らしいな」
「相変わらず口が悪いね君は。友達なくすよ?」
「だから何だって言うんだよ。そもそも、こいつは一体何の騒ぎだ」
 ディケイドの問いに対し、「僕にだって分かるものか」と冷たく切り返すディエンド。
 彼の物言いに腹を立て、ディケイドはバイクから降りて胸ぐらを掴もうとするが、オルフェノクたちが自分の方をじっと見つめていることに気付き、伸ばした手を引っ込めた。
「何だ何だ。ガン飛ばしやがって、喧嘩売ってンのか?」
 狙いは俺かと、拳を鳴らして近付いてみる。敵は口々にディケイドと呟くが、自分から近付こうとする者はおらず、戦う意思は感じられない。
 それどころか、ディケイドが自分たちに人二人分くらいの距離まで近付いたその瞬間、オルフェノクたちは皆、蜘蛛の子を散らしまかのように逃げ出したのだ。
 これは一体どういうことなのか。ディケイドは訳の分からなさに頭を掻き、怪人たちが皆姿を消したのを見計らって、バックルからディケイドのカードを引き抜いた。
「なんなんだありゃあ。俺の強さに恐れをなしたってか?」
「だとしたら、僕が現れた時点でやつらは逃げていると思うよ。大方、君のその不気味でド派手な顔にビビったんじゃないかな」
「同じような顔したてめぇが言えた義理かよ。喧嘩売ってンのか」
「ははは、それも一興だね」
 士の言葉に一々食ってかかり、彼を苛立たせるディエンド。喧嘩は買ったとディエンドに掴みかかる士だったが、遠方より聞こえてきたGトレーラーのサイレンを耳にしたディエンドは、すぐさま彼を引き剥がし、面倒臭そうにため息をついた。
「やれやれ、もう来たのか。後は君たちに任せるよ。じゃね」
 ――ATTACK RIDE「INVISIBLE」
 面倒は嫌いだからと、「インビジブル」のカードをドライバーに装填して放ち、姿を消したディエンド。
 残された士は辺りを見回し、オルフェノクたちと共にギルスまでもが消えていたことに気がついた。
「あの野郎、どこ行きやがった! せっかく見つけたってのに……」
 またやり直しかと、乗ってきたマシンディケイダーに跨る士。
 ヘルメットを被り、エンジンキーを回した所で、士は地面に無造作に残されたG3-Xのアーマーを拾い集めているユウスケに声をかけた。
「ここに……、残るのか?」
「当然だ。この世界だのあの世界だのってやつは言わないでくれよ。んなことは俺だって分かってる。ここが終点。俺の居るべき場所なんだから」
「そうかい。ならもう何も言わねェ」
 声は穏やかだが、ヘルメット越しからでは士の表情は窺い知れない。怒っているのか悲しんでいるのか……。それ以上何も言わないところが不気味であり、不安でもあった。
 複雑な面持ちでそれを見つめるユウスケの後ろから、ようやく現場に到着した八代と一条が声をかける。
「小野寺君、これは一体どういうことなの!? 海東君は? なんであなたがG3-Xのアーマーを」
「事と次第によってはあなたも……」
 済んだことは済んだこと。悩んでいても仕方がない。
 頭の中でそう結論づけたユウスケは、士たちの方をじっと見つめた上で、踵を返しGトレーラーの方へと戻って行く。
 士は彼の姿が見えなくなるまで無言で立ち続け、トレーラーとは逆の方向へとバイクを走らせた。

「いいんですか? 一言、戻ってこいって言えば……」
「さっきも言っただろう。あいつの物語はあいつだけのもんだ。俺たちが口を挟むべきじゃあねぇ」
 夏海の言葉に返事を返しつつ、士はディケイダーを道路脇のガードレール近くに停めて、ポケットからショウイチに渡すはずだった手紙を取り出した。
「ちょ、ちょっと……それはあのひげの人の」
「あいつは受け取りを拒否したんだ。別に構わねぇだろ」
 封を切り、街頭の淡い光に照らしつつ、一行一行を舐めるように読んで行く。
 その全てを読み終えた士は、いつものように「だいたい分かった」と呟くと、郵便局本局で貰った周辺地図を取り出して、光写真館が建っている場所に丸をつけて、ディケイダーの荷物入れに押し込んだ。
「夏ミカン、お前は先に戻ってろ。ショウイチの野郎は俺一人で捜す」
「どうしたんですかいきなり。夜も更けて来ましたし、今日は休んだ方が……」
「あんな化け物が街を彷徨いてんだ。お前を庇いながらじゃ時間がかかってしようがないんだよ。しっかり捕まってろ」
 夏海の制止も聞かず、写真館へ向かいディケイダーを走らせる士。手紙には一体何と書いてあったのか。気にはなったが、問い質しても答えが返ってくることはなかった。

◆◆◆

 さらに夜も更け、誰も居ない警察署の一室。
 無機質な駆動音を立てて蠢《うごめ》く監視カメラの合間を縫い、対策班の男子ロッカーに何者かが侵入していた。
 ”彼”は難なく部屋の隅のロッカーに辿り着き、曲げた針金だけで器用にドアを開け、中にある何かに手を伸ばす。しかし、遠方より放たれた一発の銃弾によって阻まれ、それを手にすることは叶わなかった。
 拳銃を構え、ロッカー内に女性警官が押し入る。班長の八代だ。
「動かないで。今のは威嚇、抵抗したら次はあなたの腕にぶち込むわよ、“海東君“」
 懐中電灯の光に照らされ、闖入者の姿が顕わとなる。
 G3-Xを脱ぎ捨てて戦線を離脱し、夜の闇の中に去って行った海東大樹の姿がそこにあった。
「これが威嚇だって? 標的に直撃したものを威嚇とは言わないよ」
「一発目はゴム弾で、二発目は実弾。これが私の威嚇なの、知らなかったかしら?」
「随分と暴力的な威嚇ですね。まさかあなたが嗅ぎ付けてくるとは。完全に計算外でしたよ」
「いいえ。気付いたのは、彼よ」
 そう言って横にずれ、八代の背後に立っていた人物が姿を見せる。G3-Xの補欠装着員・小野寺ユウスケだ。
「このロッカーを開けた時、扉の奥に何か光るものが見えて、あんたの視線が一瞬そこに集中するのが見えたんだ。
 あんたはG3-Xのことを”どうでもいい”と言っていた。お宝にしか興味のないあんたが狙うとしたら、ここしかないと踏んだのさ」
 ユウスケの推理を聞いた海東は、素晴らしい洞察力だと手を叩いて笑い出す。
「賑やかしの三枚目だと思っていたが、なかなか……。どうやら君を見くびっていたようだ。謝るよ」
 その言葉にユウスケは何も答えず、代わりに拳銃の引き金に指をかけた八代が言った。
「今日のことは不問にしてあげる。手を床につけて伏せなさい」
「意外だね。僕を許してくれるのかい?」
「装着員で居てくれるならね。替えを探すのが面倒なのよ」
 感情を込めずそう言い放つ。海東がどのような人間であれ、装着者として優秀なのは事実だからだ。
 海東はその言葉を聞いた上で、ロッカーの方に伸ばした手をゆっくりと降ろしつつ、「それは光栄だ」と言葉を返した。
「でもね、装着員なんてものに興味はない。僕が欲しかったのはその”肩書き”と、このIDカードだけさ」
 言い終わるが早いか、降ろしかけた海東の右腕が、床でなく、腰に提げられたディエンドライバーに伸びる。それを見越していたのか、八代は彼よりも早く、躊躇うことなく引き金を引き、ロッカーの扉裏にあった”光る何か”を容赦なく撃ち抜いた。
 全く予想だにしなかったその行動に、海東は柄にもなく声を上げる。
「なんてことをするんだ! こいつが一体何なのか、分かっているのか!?」
「えぇ、分かっているわ。それはG3-Xの機能を拡張する強化チップ。それを装着したG3は今までの十数倍の力を発揮できるでしょうね。だからこそ、壊さなきゃいけないのよ」
 何が「だからこそ」なのか、海東には分からない。しかし銃口が自分の体を狙っている以上、ここに留まってその理由を考えることは出来なかった。
「仕方がない。少々不本意だが、お宝は”一つ”で我慢するとしよう。さらばだ、諸君」
 瞬間、海東は目にも止まらぬ早さでディエンドライバーを抜き、八代たちの足元を撃って怯ませ、その隙に窓から飛び降りて更衣室から逃げ出した。
 こんな距離から飛び降りて大丈夫なのかと窓の下から覗き込むが、そこにはガードチェイサーに乗って夜の闇に消えて行く海東の姿があった。
 ガードチェイサーの荒々しい駆動音が周囲に響く。今からトレーラーを飛ばしても追い付けないだろう。
「やられたわ。肩書きとIDカードが必要って、そういうことだったのね……」
 成る程。その二つがあれば、怪しまれることなくGトレーラーの中に侵入出来る。出し抜いたつもりが逆に出し抜かれていたことに気付き、八代は悔しさに唇を噛み締めた。

「すみません、俺の読みが甘かったせいで……」
「いいのよ。G4チップは確かにG3-Xの機能を強化する。けれど、強化されたG3-Xの性能に、装着者はきっと耐えられない。これで、よかったのよ」
 遠い目をして呆然と立ち尽くす八代を、ユウスケは優しく抱き寄せる。
 彼女も自分のことを想っていてくれたなら、どれだけ良かったことだろう。しかし今の八代は心ここに在らず。どんな言葉で自分の気持ちを打ち明けようとも、それが彼女に届くことはない。
 それを踏まえ、これまで言い出せなかった疑問を口にした。
「そろそろ、話してくださいよ。あの制服の持ち主、一体何者なんですか?」
「……あなたには関係ないわ。夜も遅いし、いい加減休みなさい」
 余程聞かれたくないことなのか、八代は踵を返して足早に更衣室を去ろうとする。ユウスケはそうはいかないと、彼女の肩を掴んで止めた。
「はぐらかさないでくださいよ。俺だってもう関係者なんだ、知る権利はあるはずです」
 怒気を強め、八代の目を真正面から見据えるユウスケ。話さなければ梃子《テコ》でも動かないとでも言いたげな目に、八代もとうとう折れ、彼の手をそっと引き剥がした。
「分かった……、分かったわ。教えてあげる。立ち話も何だから、奥の待合室に行きましょう」
 その言葉にユウスケは黙って頷き、八代に続いて更衣室を後にする。

 蛍光灯も点かない暗がりの中、真夜中の蛍火のように辺りを淡く照らす、一台の紙コップ式自販機。
 飾り気のない白い紙コップに注がれたコーヒーを、ユウスケは一口一口、噛み締めるようにして飲み込む。
「このコーヒー……凄くうまいっす! 自販機のコーヒーなのに、何で」
「業者に頼んで豆の配合を変えてもらったのよ。ブルーマウンテン4、ブラジル5、モカ1の混合豆。”彼”のお気に入りなの」
 彼、という単語を聞いた途端、ユウスケの手が動揺で強張り、カップの中に波紋を広げる。動揺を必死に抑えつつ、努めて冷静に言葉を返す。
「か、彼っていうと、ロッカーの中の……」
 ユウスケの動揺を知ってか知らずか、八代は紙コップを両手で握って目を伏せた。
「あれは、そうね……”未確認生命体第四号”が、長野の山中で『究極の闇』と呼ばれた未確認を抹殺した後だから……」
「ちょ、ちょっと待ってください。いたんですか? 四号が、この……」
 この世界にも、と言いかけユウスケは咄嗟に口をつぐむ。八代淘子にとってはこの世界こそ世界の全て。余計な混乱は無用だと考えたからだ。
 八代はユウスケの不可思議な言動に疑問を抱くも、聞いても無駄かと理解し、「以前はね」と言葉を継いだ。
「それ以後全く姿を見せなくなったから、今頃どうしているのやら。あぁっと、脱線しちゃったわね。それで、四号無しでも未確認と戦えるようにと開発されたのが、榎田《えのきだ》博士謹製の神経断裂弾と、私の開発したG3だったってわけ」
 渇いた喉をコーヒーで潤し、八代の話は続く。
「芦河ショウイチ。G3の初代装着員の名前よ。人でありながら十数体もの未確認を撃破し、数百人もの命を救った。強かったし、誰からも尊敬される素晴らしい男だった。あんな事故に……巻き込まれるまでは」
 八代は遠い目をして、コーヒーの中に広がる黒い闇を見つめると、備え付けられていたミルクを注ぎ、音を立ててかき混ぜる。
 ミルクの白とコーヒーの黒が混ざって一つに成り行くの見つつ、ゆっくりと口を開く。
「もう一年くらいになるかしら。ある時、沖縄の離島に見たことのない金属で出来た、不思議な機械が浜に打ち上げられたの。
 未確認生命体と何か関係があるんじゃないかってことで、調査のために本土に輸送することとなった。輸送にはショウイチも立ち会ったわ。伝説の刑事に次ぐ警視庁の英雄がいれば安心だってね」
 コーヒーのコップを握り潰さん勢いで拳に力を込め、八代は言葉を続ける。
「断ればよかったのよ、あんなもの。ショウイチがいなくたってやれるでしょう、って」
「それってもしかして、船が難破したとか……」
「違うわ。乗員20人、みんな無事に生還してる。ただ一人、ショウイチを除いてね」
「そんな馬鹿な。皆無事ならショウイチさんだって!」
「理由があるなら私が聞きたいくらいよ。生還者一人一人に話を聞いたけど、眩い光に包まれたってこと以外は、話すことに脈絡が無いのよ。彼は光に包まれて消えただの、未確認みたいな牛の化物に胸を刺されただの……」
 話しているうちに不安になってきたのか、蒼い顔で小刻みに震える八代。そんな不安を払拭せんと、声を大にして「でもね」と叫ぶ。
「私は諦めない。ショウイチはきっと生きている。今の私にできることは、あの人が帰る場所を残しておくことだけ。……G3-Xが過剰装備だってことは分かってる。あぁでもしないと、この部署はお役御免で解体されそう、だったから……」
 再び不安が振り返したのか、押し黙り、俯いて下を向く八代。芦河ショウイチが生死不明のまま行方を絶って一年近くの間、ずっと悩み苦しみ抜いてきたのだろう。
 俯く八代を見つつユウスケは思う。彼女は何故、そこまで芦河ショウイチという男を信じられるのだろう。手がかりも希望も何もないのに、生きて帰って来ることを信じて疑わない。どうしてそんなに強いのか。

 八代がショウイチの無事を願い、信じ続けられる理由。ユウスケも薄々分かり始めていた。
 かつて、八代藍が致命傷を負った時、彼も同じようなことを考えていたからだ。
 彼女は強くなんてない。恋人を失った悲しみをひた隠し、再び帰って来ることを願って空元気を続けているだけだ。彼と再び笑い合うために。

 ユウスケの心に迷いが生じる。八代淘子を守りたい、支えになりたい。それは本心だ。自分が好きだった”八代藍”とは違う人間だということを理解した上でだ。
 芦河ショウイチという人物が如何なる男なのかは分からない。いざとなれば、彼がいなくとも八代を護る覚悟と自信はある。だが、彼女はそれに納得するだろうか。ショウイチの代わりに自分が傍にいることを、八代は喜んで迎えてくれるだろうか。
 答えは否。断じて否だ。大切な誰かの代わりなど、誰にも務まるはずがない。人は人、自分は自分。芦河ショウイチの代わりとしてではなく、小野寺ユウスケとして見てほしい。
 だからこそ彼は声を上げた。それが、自分にとって損にしかならない行為であると分かっていながら。

「あね……いや、八代さん。俺に、俺に任せてください。八代さんを悲しませる芦河ショウイチって男。草の根分けても見つけ出して、八代さんの前に連れてきて見せます!」
「はぁ……あっ!?」
 あまりに唐突なその言葉に、八代は目を見開いて驚いた。同時に、自身が今まで行ってきた捜索活動のことを思い返し、「無駄よ」とユウスケを一蹴する。
 彼はそれに怯まず、八代の顔を真正面から見つめ、彼女の両手を強く握り締めた。
「それがどんなに難しいことか、分かっているつもりです。けど、八代さんにはずっと笑顔でいてほしい。こんなこと、ずっと引きずるべきじゃないと思うんです。それに……」
 ――思いの丈を綴るのは結構ですがね、そこまでにしていただけませんか、小野寺ユウスケ君。
『俺だって、あなたの傍にいたいから』という言葉を持って話を締めようとしていたのだが、背後から現れた人物の鉄拳を喰い、話は途中で打ち切られてしまう。
「痛てッ! いきなり出てきて何なんすか、あんたは!」
「人の許嫁に色目を使っておいて”あんた”とは……、品がないにも程がありますよ、小野寺ユウスケ君」
 二人に声をかけてきたのは、言語解析課の一条刑事。彼の唐突かつ聞き流してしまいそうな一言に、八代はふざけないでと即座に切り返す。
「誰が許嫁よ誰が。というより、こんな夜更けに何をしてるのよ、何を!」
「それは此方の台詞ですよ、八代淘子さん。何度コールしても応答がなかったのはそちらでしょう」
 何のことだと首を傾げ、八代はポケットの中を探って携帯電話を取り出す。
 ディスプレイには『着信あり』の項目の中で、一条トオルの名前が嫌と言うほど並んでいた。
「……あぁ、ごめんなさい。マナーモードだったみたい」
「周囲に配慮するのは結構ですがね、電話はすぐに取れるようにしていただけませんか。”非常時”なんですよ」
 非常時、という単語を聞いた瞬間、八代の眉がつり上がった。
 一条トオルは(八代にとって)行け好かない男だが、求愛のために悪戯電話をかけるような輩ではない。
 そんな彼が自分宛てに何度も電話をかけてきている。そのことが示す意味を、八代はようやく理解した。
「……大事、なの?」
「小野寺ユウスケ君が目撃したという、未確認とは違う白い怪物――件の奴らが群れを成して、県境の廃工場に集結しているとの通報が入りました。暴走族や長距離トラックの運転手、夜行バスの乗客たちが次々と犠牲になっているようです。対策班が鎮圧に向かいましたが、彼らだけでは……。今すぐG3-Xを出動させてください」
「分かったわ。すぐに出動を……」
 トレーラーのある地下駐車場に向かおうと踵を返した八代だったが、彼女は途中であることに気付いて立ち止まる。海東大樹はもう居ない。G4チップを盗むのに失敗し、ガードチェイサーを駆って逃げ去ってしまったのだと。
  装着員がいなくてはG3-Xは動かせない。どうすればいいんだと頭を抱える八代の隣で、小野寺ユウスケが高らかに手を上げた。
「装着員ならここにいます。俺に……やらせてくださいッ!」
「なッ! 馬鹿馬鹿しい、装着して殆ど動けなかった君に何が出来るというのです。事態は一刻を争います。早く海東大樹に連絡を……」
「その海東さんがいないんだから、補欠の俺がやるしかない。今から代わりを探している暇はないはずだ!」
「海東大樹が……いない? 一体どういうことです」
 二人は事情を知らない一条に、先程ここで起きた一件を簡単に説明する。
 説明を聞き終えた一条は逃げ去った海東に対し「それでも装着員か」と憤慨するが、八代に放っておきなさいと宥められた。
「それよりも、やれるのね? 小野寺君」
「やります……あぁいや、やらせてください! オルフェノクも未確認も、俺がぶっ潰して見せます」
 ユウスケの言葉を聞き、顎に指を乗せて思案を巡らせる。正直な所、不安の方が大きい。動かせるとは言うが、それは負荷の少ない試験機での話。その数倍近い負荷がかかるG3-Xを運用してどうなるかは未知数なのだ。
 未知の敵を相手に、何もかもが未知数の装着員をぶつける。明らかな自殺行為だ。技術屋の観点から言えば何としても止めるべきだろう。
 だが八代は、同時に信じたいとも思っていた。この青年の真っ直ぐな目を、その心意気を。
 芦河ショウイチとコンビを組んでいた彼女は知っていた。科学だの人体の限界だのは、人の思い一つで簡単に乗り越えられるのだと。八代は凛とした表情でユウスケの顔を見つめ、彼の手を握って頷いた。
「血ヘド、吐くことになるわよ」
「望むところです」
「よろしい。先にトレーラーの中で準備していなさい。10分で調整を終わらせるから」
 八代の言葉に黙って頷き、トレーラーに向かうユウスケ。何らかの準備のため彼とは別の方へと向かおうとする八代を、一条は慌てた様子で呼び止めた。
「待ってください。他に方法がないのは分かりますが、やはり無茶ですよ、八代淘子さん」
「無茶は重々承知よ。それでも私は小野寺君に任せると決めたの。邪魔しないでもらえるかしら」
「そうではありません。やつらと戦うための”武器”の話をしているんですよ、私は。ガードチェイサーは海東大樹に奪われてしまったのでしょう?」
 一条の懸念は尤もだ。
 G3-Xの携行する重火器の殆どは、常用マシンであるガードチェイサーに積まれたもの。それがないとなると、ユウスケは大型の拳銃と、腿に装備されたナイフだけで戦わなければならない。
 単体の未確認ならば兎も角、群れを成して襲い来るオルフェノクたち相手に、その程度ではあまりにも心許ない。
 それを理解しているのだろうか、八代は炯炯とした目付きで口元を歪ませる。
「それならそれで考えがあるわ。すぐにそちらに向かうから、小野寺君の方を手伝ってあげて」
「いや、あのですね。私は……」
 対策班でない自分に手伝う義務はないのでは。一条はそう反論しようとしたが、八代は聞く耳持たず走り去ってしまう。
 ユウスケに対して手伝う義務も義理もないが、許嫁である八代たっての頼みであり、あのアーマーを一人で脱ぎ着するのは無理だと思い返し、溜め息を一つしてトレーラーの方へと向かって行った。

◆◆◆

 海東大樹が警察署に盗みに入る少し前。県境にある高速道路を外れ、人の目に付かずひっそりと佇む廃工場に、芦河ショウイチは身を寄せていた。
 緑の獣——ギルスに変身していた際の記憶は彼にはない。得体の知れない怪物に追われていることを何となく察したショウイチは、疲労困憊の体を圧して隠れ家を探し回り、この工場に逃げ込んだと言うわけだ。
 元々加工食品の工場だったらしく、そこらかしこに賞味期限切れの缶詰が転がっている。うち一つを手に取ると、歯で強引に缶を切って、詰まっていた秋刀魚の煮付けを口の中に放り込む。
 腐りかけで臭いがきつく、決して美味いとは言えない代物だったが、食えるだけありがたいと、汁の一滴も残さず、缶詰の中身を胃の腑に落とし込む。
 空腹を紛らわせたショウイチは、いつでも逃げられるようにと、外の様子が見える場所を探して腰を下ろす。変な物を口にしてどこかおかしくなったのだろうか。ショウイチは硝子戸に映る自分の姿が、まるで波紋の広がった水面を通して見たかのように、酷く歪んでいることに気付く。
 どうしたことかと顔を近付けたその瞬間、銀の鉄仮面を被った赤き戦士が眼前に現れ、ショウイチの体を突き飛ばした。
「な……ななな、何なんだお前は! 敵か、敵なのかッ」
「”敵です”って言って襲ってくる敵が何処にいる。俺だよ、俺」
 驚き狼狽えるショウイチを尻目に、鉄仮面の戦士はバックルからカードを引き抜いて変身を解き、落ち着けよと肩を軽く叩いて促す。
 その声に聞き覚えを感じ、改めて眼前の顔を見る。先程いざこざを起こした郵便配達員の姿がそこにあった。
「お前、夕方の。いや、そんなことなどどうでもいい。今のは何のトリックだ」
「うるさいな。こちとら街中の”鏡”を探し回って疲れてんだよ、後にしろ」
 通りすがりの郵便配達員――門矢士は、困惑するショウイチの言葉を遮って彼の隣に腰を下ろすと、辺りに転がっていた缶詰の中から『ゆであずき』の缶を手に取り、プルタブを開けて中のあずきを口の中に流し込んだ。
「お前、それは……」
「なんだよ、金を払わねぇのがご不満だってか? ここに百五十円ある。これで文句ねぇだろ」
「そうじゃない。周りを見ろ、ここは廃工場だぞ。まともな食材であるはずがないだろう」
「問題ねぇよ。こういうもんにゃあ慣れてる」
 缶の底を叩いて一粒残らず口に運ぶと、咀嚼して飲み込み、げっぷを一つ。腹も膨れた所で、士は隣に座るショウイチに話を切り出した。
「結局のところ、お前は何なんだ? 未確認の仲間か、それともオルフェノクか?」
「待て、待て。質問しているのは俺だぞ。お前こそ何なんだ、郵便配達員」
「質問を質問で返すな……と言いたいところだが、俺も化け物だってことだよ。お前も似たようなもんだ」
「”俺も”?」
 何気なく発せられたその言葉に、ショウイチの右眉がぴくりと動く。士はそれを見逃さず、間髪入れずに言葉を継いだ。
「そうだ、俺もだ。もう一度聞くぞ。お前は一体何……」
「皆まで言うな。俺は違う、化け物なんかじゃない。俺はただの人間だ、人間なんだッ」
 語気を強め、自分は化け物ではないと言い張るショウイチ。士に言って聞かせるというよりも、自分自身に言い聞かせるように聞こえた。
 その叫びに並々ならぬ思いを感じ取った士は、ショウイチの顔をこちらに向けさせ「続けろ」と促す。
 慰めも訂正もなしに湧いて出たその言葉に、ショウイチはふざけるなと切り返すが、士の頑なな姿勢と態度にとうとう折れ、ゆっくりと口を開く。
「もう一年も前になる。俺はあの時、沖縄で発見された”あるもの”を東京に運ぶ任を受けて、警察の輸送船に乗っていた。雲一つない晴天で波も穏やか。航海は順調だった。
 しかし、しかしだ。突然何の前触れもなく、船の周囲を転覆せんばかりの高波が襲った。操縦士たちが大慌ての中、”あるもの”の警護を任されていた俺は、ソイツが発した強烈な光を浴びて気を失った。目覚めた俺が最初に見たものは、俺を殺さんと槍を振るう”牛”の顔をした未確認と、人とも虫ともつかない緑の化け物に変わった自分の姿だった。
 ……そこから先のことはよく覚えていない。辛うじて記憶の片隅にあるのは、牛の未確認には全く歯が立たなかったことと、船員たちを護るために、あえて自ら海の中に飛び込んだこと、だけだ」

 話はここで一旦途切れる。話し続けて喉が渇いたらしく、一息ついて口を閉ざしてしまったのだ。士はここで止まられては困ると、辺りを見回して「さんぴん茶」とラベルの貼られたペットボトル飲料を見つけ、彼に手渡す。ショウイチは飲み物の後味に辟易としつつも、背に腹は変えられないとその全てを飲み干した。
「それで、その後何があったんだ?」
「どこかの浜に打ち上げられて命は拾ったが、事あるごとに牛の未確認の仲間に襲われるようになってな。辛かったが、身元を明かして応援を呼ぶわけにはいかなかった。
 お前は人を喰ったことがあるか? どいつもこいつも油ぎっていて腹の足しにならん。空腹だから食べたんじゃない、全て、護ろうとした奴らの“死骸”だよ。戦っている最中に敵と間違えて喰っちまったらしい。そんなことすら分からなくなるんだよ、あの獣になっている間はな!
 俺は人間だ。あぁそうだ、人間だ! そう思わなければ、俺は未確認たちと同じになってしまうんだよ」
 言い終え、ショウイチは頭を抱えて口をつぐむ。喉が渇いたからではない。これまでの辛い境遇を思い返し、話せなくなってしまったのだ。今の話はほんの一部。彼はそれほど悲惨な境遇に立たされていたのだろう。
 これ以上詮索するのは酷だと思い、士は「もういい」と話を切り上げた。
「……だから人里を離れて、仙人みたいな生活をしていたわけか。腑に落ちねぇな。だったら何故、今更この街に戻ってきた」
「これまでずっと、奴らを退けながら逃げてきたんだぞ。俺に行き先を決められるわけがないだろう」
 怒気を強めてそう言うと、ショウイチは再び目を伏せる。彼の境遇はだいたいわかった。彼が辛い境遇に立たされていることも理解できる。しかし、それでもなお、士は彼のことが気に食わなくてしようがなかった。
「気に入らねェな、被害者面したその態度がよ。てめぇが可哀そうな奴だってのはよぉく分かった。分かったがよ、それに胡坐かいて何もしないってのはどういう了見だ、あァ?」
「何もしないんじゃあない、何も出来ないんだ。さっきからそう言っているだろう」
「関係ないね。出所はどうあれ、力や本能なんてもんは、心持ち一つでどうにだって出来るんだよ。だからこそ人間はこの星で覇権握って食物連鎖の頂点に君臨してるんだろうが。
 大切なのは自分が人間かどうかなんかじゃねぇ。与えられた”力”とどう向き合っていくかだ。いつまでも下向いてねぇで上を向け、上を」
 ショウイチの情けない態度に腹を立て、ふざけるなと一喝する士。
「破壊者」と呼ばれ、他者や他の世界から拒絶されようとも、それでもなんとか生きている。自分と同じ生き方をしろとは言わないが、逃げているだけでは何も解決しないのだ。

 力説しては見たが、ショウイチの態度は相変わらず暗い。士はそれならそれで仕方がないと溜め息をつき、先程渡そうとしていたあの手紙を取り出して、彼に手渡した。
「お前……こいつは」
「人のものを勝手に読むなってか? いらねぇって言ったのはお前だぜ。どうしようが俺の勝手だろ。ンなことより読め、読め」
 促され、封筒に包まれた便箋に目を通すショウイチ。可愛らしく丸まった文字が躍り、便箋の所々に、涙の滴で滲んだ跡が残っていた。

 ――あなたが私の元を去ってから、もう一年が経ちました。
 ――誰も彼もがあなたは死んだと言っていましたが、未だにそれが信じられません。
 ――傷だらけになりながらも、あの屈託のない笑顔で「ただいま」と言って戻って来てくれると、今でも思っています。
 ――あなたの身に何が起こったのか、それは分かりません。しかし、相談に乗ることぐらいは私にだってできるはずです。

 ――もしかしたら前の家に戻っているかも、と期待してこの手紙を出します。
 ――芦河ショウイチ、私の大切な人。どうか、もう一度帰ってきてください。私には、私たちにはあなたが必要です。
 ――「あの場所」でずっと、ずっと待っています。
 ――――八代 淘子

 手紙を読み終えたショウイチは、はっとした顔でそれを握り潰す。そうだ、自分にはまだ戻るべき場所がある。それを待つ人が居る。
 化け物となった自分に、彼女の傍にいる資格があるのか、守ることができるのか。それは分からない。だが、自分だけの都合で彼女を悲しませたくはない。帰るべきかこのまま去るべきか。その狭間で揺れていた。
 苦悶の表情を浮かべて俯くショウイチを見、士は彼の肩を叩いて言った。
「いちいち迷ってンじゃねぇよ。男なら抗え、戦い続けろ。その力が自分を不幸にするのなら、抑えつけて自分のものにすりゃあいい」
「そんなこと、できる……のか?」
「出来るに決まってンだろ。だからこそ、人間はこの星で繁栄を謳歌しているんだぜ。やる前から無理だの無駄だのと言わなければな」
 彼の言葉に根拠は無い。口から出まかせを言っているだけかもしれない。しかし、自分のように与えられた力に苦悩し、ひたすら逃げ続けている者もいれば、士のように己の力を肯定的に受け入れ、自分のものとして扱っている奴もいる。
 物は考えようなのだ。似たような境遇に立っていても、考え方次第で状況は良くも悪くも変えられる。
 それを理解したショウイチは、今までのことを思い返して嘲る様に笑うと、壁に寄りかかりながらゆっくりと立ち上がった。

「お前の、言う通りかもしれんな。それは理解した。しかし、お前は何故……俺にそうも構う。似たような境遇だからか?」
「別に。お前に興味があるのは俺じゃあない。そいつは俺の……」
 士が”友達だ”と言いかけたその時、ショウイチは微かな物音を聞き付け、辺りを見回し身構えた。
「どうしたんだ、そんなにきょろきょろして」
「まったく、余計なことをしてくれたな。囲まれているぞ」
 何を馬鹿なと続いて辺りを見回す士。ショウイチの言う通り、工場の周りは、数えるのが億劫になるほど多数のオルフェノクに囲まれており、突入するのを息を潜めて待っていた。
「馬鹿言ってんじゃねえ、俺が見付かる訳がないだろう。尾けられていたのはアンタだ」
「お前以外に誰がいる。見苦しい責任逃れだ」
 お前のせいだ、俺のせいじゃないと、責任の擦り合いを行う二人の男。
 彼らが不毛な争いを繰り返している間に、外で待機していた多数のオルフェノクたちが、二人をぐるりと取り囲む。
 彼らの言い争いを止めたのは、士にとって聞き覚えのある男の声だった。

「そのぐらいにしたまえよ。どうせ君たちは死ぬんだ。あぁいや、厳密に言うとだね……僕の兵隊たちが、君たちを殺すことになるのだが」
 聞き覚えのあるその声に、思わずそちらの方へと目を向ける。士が目を向けた先、工場内の高台には、汚れてぼろぼろになった詰襟の制服を身に纏い、手入れが行き届いておらず、金色というよりもくすんだ銅色の髪をし、目付きばかりがぎらぎらとしている青年の姿があった。
「久しぶりだね門矢君。僕のこと、覚えているかな」
「人の出会いは一期一会。顔なんか一々覚えていられるか。自己紹介がしたいなら勝手にやれよ」
 親しげに接する詰襟の青年に対し、辛辣な言葉で切り返す士。
 全く気にしていないのか、多数の私兵で彼らを取り囲ませ、いつでも手を下せるという余裕からか、青年は「大した度胸だ」愉しげに笑った。
「僕は百瀬《ももせ》、百瀬シュウジ。オルフェノクの……いいや、この世界の王になる男だ」
「以後お見知り置きを」と言い結んだ上で、百瀬は士に向かい人差し指を突き立てた。
「君には感謝しているよ門矢君。君のおかげでこの世界に辿り着けたわけだし、世界の覇権を握るに相応しい”力”も手に入った。『資格』の有り無しに関わらず、人間共をオルフェノクに変えるこの力、有効に使わせてもらっているよ」
「成る程ねェ。全部お前の差し金だったわけだ。しっかし、まだそんな王様ごっこに興じてやがるのか。付き合う方はいい迷惑だぜ」
 先程とは逆に、今度は士が百瀬に対し人差し指を突き立てる。自分のしている事を”王様ごっこ”と一笑にされて頭にきたのか、百瀬の顔から笑みが消え、目付きが鋭くなった。
「何処までも口の減らないお人だ。お喋りはここまでにしようか門矢君。君を下し、そこにいる”アギト”の力を手にして、僕はこの世界の王になる! 行けッ、僕の兵隊たち!」

「アギト……! アギトとは何だ。お前はこの力のことを知っているのか? こいつは一体何なんだッ」
 百瀬はそう言って右手を振り上げ、入口付近に待機させたオルフェノクたちを一気に解き放った。
 自分を差して『アギト』と呼ぶ百瀬に、どういうことだと声を荒げるショウイチ。
 しかし、百瀬から答えが返ってくることはなく、隣に居合わせた士と共に、オルフェノクの波の中に飲み込まれて行く。

 ――アギトとは、一体何なんだ!
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