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「Journey through the Decade Re-mix」
Journey through the Decade Re-mix(1)

Journey through the Decade Re-mix 第四話 「バトル裁判・龍騎ワールド」 第三審

 ←Journey through the Decade Re-mix 第四話 「バトル裁判・龍騎ワールド」 第二審 →Journey through the Decade Re-mix 第四話 「バトル裁判・龍騎ワールド」 第四審
<仮面ライダー裁判・概要2>


・カードデッキを受け取った参加者は、それをを鏡の前に掲げ、鏡面世界から現れた変身ベルト『Vバックル』にそれを装填することで変身。
 初変身後、『有罪』もしくは『無罪』かの意見の宣言を行う。有罪ならデッキ上部にあるランプが黒く点滅、無罪なら白く点滅し、言葉を介さずとも、どちらに属するかが判別できるようになる。

・専用バイク『ライドシューター』に乗り込むことで、ミラーワールドに侵入することができる。
 初回変身時には必要な乗り物であるが、二度目以降はそれを介さず直接侵入可能である。

・扱うデッキは裁判所内でアットランダムに選ばれるため、参加者が事前にどの仮面ライダーになれるかは分からない。
 破壊力、速力、耐久力、所持するカードの種別などで、各ライダーの戦闘能力は大きく差別化されており、厳密に誰が強いか、誰が弱いかは判断できない。
(※但し、弁護士や検事など『法に関わる人物』が変身する場合は、重火器を用い遠距離戦に長けた『ゾルダ』、耐久性に優れ、相手のカードを無効化する『ガイ』など、扱いやすいデッキが優先的に渡るようになっている
 しかし他の参加者に明確に『何の職業なのか』、『どのような人物なのか』が、言葉を介さずとも知られてしまうと言うリスクを負う)

・『ライダースーツの耐久限界を超える』、もしくは『カードデッキを破壊される』と、ミラーワールドから強制排除され、結審権とデッキを剥奪される。
 この現象を”ベント”と呼び、各ライダーの目的は基本的には、『自分以外の全てのライダーをベントする』ことにある。

・同じ意見のライダー同士での共闘は黙認されている。
 だが、ライダー裁判時の映像は裁判所に『映像』として記録されているため、それが元で別の裁判が行われてしまうことが昨今問題となっている。



※ 同日 17時 10分 ミラーワールド・エリアFH-10 ※


 ライダー裁判のために生成された疑似空間であるミラーワールドには、仮面ライダー以外の人間は存在しない。
 かつてはライダーたちに力を与える「ミラーモンスター」が生育し、気紛れに人を襲うこともあったが、それらは全て捕獲され、裁判の補充要員として、どこか別の空間に封印してあるのだという。

 戦いの途中で逃げ出した仮面ライダーアビスを追い、ディケイドは愛機・マシンディケイダーに跨がり、人っ子一人居ない閑静な街中を流していた。

 ――な、なんだお前!
 ――俺たちの戦いの邪魔をするな!
 そんな中、ディケイドの耳に何者かの声が届く。
 常人よりも十数倍優れた視力と聴力で辺りを見回すと、遠方の交差点の往来で、剣と剣が擦り合った、鈍く重い反響音がしていることに気付く。
 アビスのものでは無さそうだが、弁護士である自分には他のライダーを下し、夏海の無罪を勝ち取る義務がある。
「一ヶ所に纏まってるというのなら好都合だ。さっさと潰して終わらせてやる」
 そうと決まれば善は急げ。ハンドルを傾けUターンをし、音のする方へとバイクを走らせて行った。


 老朽化が進み、錆で赤茶けた歩道橋の下、車の通らない静かな交差点の往来で戦いを繰り広げていたのは、無罪有罪で分かれたライダー二人と、それを襲うナイトであった。
 ナイトが次の対象として選んだのは鈍く輝く銀色の装甲に身を包み、『サイ』を模した仮面ライダー”ガイ”と、ディケイドと同じマゼンタのカラーリングが目を引く、『エイ』を模した”ライア”。二人が有罪無罪で争う中、彼らの所持するカードを狙って割って入ったのだ。
「君たちと話し合いをしている暇はない。カードを置いて去ってくれ」
 ナイトの言葉に、二人のライダーの反応は渋い。「お前みたいな胡散臭いやつの言うことなんか聞けるもんか」
「ここから立ち去るのは君の方だ。勿論、ベントされてな」

「そう……か」
 話しても無駄だと判断し、問答無用で二人に斬りかかる。寸でのところでそれをかわしたライアとガイは、この得体の知れない相手を先に潰そうと一時的に手を組んだ。
 ライアは契約モンスター・エビルダイバーの尾『エビルウィップ』を鞭《むち》のようにしならせてナイトを翻弄、ガイは相棒の契約モンスター、メタルゲラスと共に純粋な力押しでナイトを迎え撃つ。
 介入した当初こそ優勢だったナイトだったが、二対一、いや三対一では相当に分が悪く、次第に追い詰められてゆく。

「調子に乗ってんじゃ……ねぇぞッ!」
「こいつで粉々に砕いてやるぜッ!!」
 ――FINAL VENT
 ライアの鞭がナイトの体に突き刺さり、そこを軸にして巻き付いて、彼を強く縛り上げた。
 それを好機と見たガイはファイナルベントのカードを肩の召喚機に装填。勝負をつけるべく、契約モンスターと共に突進をかけてきた。
 なんとかして逃れようとするナイトだが、両の腕を締め付けられていてはカードの装填は不可能だ。これまでかと仮面の中で悪態をつき、苦々しげな表情を浮かべる。

 ――FINAL ATTACK RIDE 『De-De-De-DECADE』
 だが、ナイトは無事だった。数枚のカードを潜り抜けて現れたディケイドにより、ガイは突進を寸断された上、亀裂が生じるほど彼を強く地面に叩きつけられたのだ。
「な……、何者だよ、お前ッ」
「通りすがりの弁護士だ。覚えなくてもいい」

「お前は……」身構えるナイトに対し、ディケイドは待てと手で制す。
「俺はただこいつを倒しに来ただけだ。邪魔すんじゃねぇぞ」
 言い終わると共にライドブッカーを構え、ガイ目掛けて剣を振るう。だが、不意打ちではない、単純な剣戟《けんげき》では、奴の強固な装甲に傷をつけることはできなかった。
「新型だからって調子ブッこいてんじゃねぇぜ弁護士さんよぉ。旧式でも堅さじゃ仮面ライダーナンバーワンなんだからな、俺ァ」
「面白ぇ、だったら……」
「おぉっとぉ! 待ちなよ待ちなよお兄さん!」
 ――CONFINE VENT

 ドライバーにカードを投げ入れ、バックルを閉じようとした瞬間、ガイは”コンファイン”と書かれたカードを、肩の召還機に装填。ディケイドが使おうとしたカードは白い煙とともに立ち消えてしまった。
「カードが……消えた!?」
「はっは! お前ホントに弁護士かよ!? この俺、ガイは”相手のカードの効果を打ち消す”カードを持ってるんだぜ? お前の攻撃なんざ、無理無理! 無駄無駄!」
 仮面の下でいやらしく笑う銀のライダー。だがディケイドは驚きこそすれ、憤慨《ふんがい》することなく、打ち消されたカードの、その裏に忍ばせていたもう一枚をドライバーに装填した。
「成る程ね。しかし残念だったな、今のは『囮』だ」
 ――FORM RIDE 『KIVA-DOGGA』
 ディケイドは紫色の瘴気《しょうき》と稲妻に包まれ、キバ・ドッガフォームに変身。
 手にした槌《つち》ドッガハンマーをガイの鎧に思い切り打ち込んだ。

「うぉうお、っ……おっ!?」
 驚きとも痛みからくるものとも取れない不可思議な声を上げ、ガイの右肩に亀裂が入った。
 だが、それ以上に彼が苦心したのは、硬質の鎧を槌で叩いたことによって生じる『反響音』だ。

 釣鐘を叩いて音を鳴らすときのことを想像してほしい。五臓六腑《ごぞうろっぷ》に染み渡るあの重厚な音は、青銅で作られた鐘を、撞木《しゅもく》という長く太い木の棒を用い、外側から叩くことで、鐘の内部に強力な”反響”を起こすことで奏でられる代物だ。
 釣鐘の中に好き好んで入ろうとするものはいない。入ったまま外から鐘を鳴らされようものなら、内部反響で鼓膜が潰されてしまうからだ。
 それと同じことがガイの鎧の中で起こっている。
 まだ鎧や甲冑が戦争の際に多く用いられていた中世。青銅の剣が敵を倒すための武器として用いられていたのには、このような効果があったからなのである。

「さぁてと、ここいらで終わりにしようぜ。なぁ!」
 ――FINAL ATTACK RIDE 『Ki-Ki-Ki-KIVA』

 弱ったガイを見下ろし、ファイナルアタックライドのカードをバックルに装填。彼らの周囲は雷鳴轟く闇夜へと変わり、ドッガハンマーの槌から不気味な一つ目が現れ、ガイを強く睨み付ける。
 瞬間、ガイは蛇に見込まれたカエルのように体の自由を奪われ、身動き一つ取れなくなってしまう。同時に槌の先から紫色の衝撃波が発生し、増幅されて巨大なエネルギーの塊となった。
 力任せにそれを振り、紫の塊が真一文字に飛ぶ。塊はガイの堅牢な鎧を容易く砕き、彼を戦いと言う名の舞台から強引に引きずり降ろした。
 ドッガフォームの必殺技『ドッガ・サンダースラップ』だ。

「なんだあれは……」
 事の次第を遠巻きに見ていたライアは困惑し、思わずディケイドの方に目線を向ける。
 ――FINAL VENT
 その隙をナイトは見逃さなかった。「ファイナルベント」のカードをバイザーに挿入し、彼の肩に契約モンスターのダークウィングが取り付く。
 マント状に変質したそれを伴って飛んだナイトは、硬質化した背中のそれに包まり、錐揉み回転をしながらライアに強力なドリルキックを叩き込む。
 ナイトの必殺技《ファイナルベント》、『飛翔斬』。ライアは正確に腹部のデッキを撃ち抜かれ、何も出来ずにベントされてしまった。

 二人のライダーが退場し、再び静寂を取り戻す中、ナイトは剣を腰に納め、ディケイドの元に近寄ってきた。
「頼んだ覚えはないが助かった。感謝する」
「助けてやったのにずいぶんな言い草だな」溜め息を一つし、「それはそうと」と話を継ぐ。
「残りのライダーはあと四人。残りの二人はお前の勤めている会社の中だ。もう逃げ場はないぜ。下手打って脱落したくなきゃ、お前の真意ってヤツを話してもらおうか」
 彼の強さは実際に剣を交え、間近で見て良く知っている。逃げたところで同じだろう。ナイトは両手を上げて「分かった」と首を縦に振る。
「こんな所で立ち話も何だろう。家に来い。茶の一杯ぐらいご馳走する」
「……意外だな。てっきり無視して斬りかかってくるかと思ってたんだが」
「抵抗するだけのメリットが無いだけだ。それに、人に借りを作るのも癪に障るのでね」
「そうかい。好きにしろよ」
 ディケイドとナイト、二人のライダーはあちこち陥没した交差点を抜け、ミラーワールドから姿を消した。


※ 同日 17時 35分 「ATASHIジャーナル」内・休憩室 ※

 時を同じくし、ATASHIジャーナルに残ったユウスケは、見張られている訳でも無いのに、言いつけ通り律義に聞き込みを続けていた。
 去り行く男性会社員に会釈をし、疲れたからと自販機近くの壁に体を預け、息を吐く。
「これでようやく十人……。あれだけ社員の人に嫌な顔されて苦労して、まだ半分かよ。しんどいなあ」
 ユウスケは古ぼけて黒ずんだ手帳に、聞き込みで得た情報をせせこましく書き込む。
 若い男が持つには些《いささ》かそぐわない色合いのそれは、亡き八代藍刑事の遺物を、彼女の親族から受け取ったものだ。
 手帳の一番最後のページにはユウスケと八代が、”並んで写った”小さな写真が貼り付けてあるが、彼女の墓前で″誓い″を立てて以来、彼は一度もそこを開いてはいない。
 ユウスケが手帳を見つめていると、遠くの方から自分の名前を呼ぶ声がすることに気付く。そこに立っていたのは、鎌田に促されて仕事に戻っていたはずのシンジだった。

「あぁよかった。まだ会社の中にいてくれたんですね」
「そんなに息を切らせて……、何かご用ですか?」
「用、って程のことじゃないんですけど……」
 体と心を落ち着かせようと、目の前の自販機に手を伸ばす。
 ジーンズの尻ポケットの中を探り、小銭を出そうと手間取る姿を見かね、ユウスケは彼に先んじて百円玉と十円玉二枚を投入口に放り込んだ。

「あっ……、いいですよそんな! お金、お金……」
「気にしないでください。ほんの気持ちですし。あぁ、スタミナドリンクでよかったですか?」
「あ、はい。お願いします」
 ユウスケは出てきた飲料をシンジに手渡し、目を思いっきり見開いて、もう一本が当たるスロットゲームに挑戦。七が二つ揃った所で外れを引き、がっかりして再び椅子に腰掛けた。
 飲料を飲み干し、喉元に溜まった炭酸を吐き出しきったシンジは、消沈し項垂れるユウスケに問いかけた。
「小野寺さん、質問……、というより相談、したいことがあるんですけど」
「はぁ。俺でよければ構いませんが」
「えっと……、その。自分にとって誰か大切な人が何かの罪で疑われて、本人も何も話してくれない時、小野寺さんならどうしますか?」

「……?」突拍子のない質問だった。
 その目と口調から納得できる答えを求めていることは窺い知れた。どう答えてよいものか、ユウスケには良く分からなかった。
「あの。言っていることが、よく分からないんですけど」
「じゃあ例えば……、例えばですよ? 士さんが誰かを殺したとして起訴されたのに、あなたにさえ何も言わずにどこかに逃げてしまったら、小野寺さんは……」
 ユウスケの気持ちを汲み、心底申し訳なさそうな表情をし、弱々しげな口調でそう綴る。だが、真意を知ったユウスケは、なんだそんなことかと優しげな微笑みを浮かべた。

「そんなの……、『あいつを信じる』に決まってるじゃないですか」
「えっ、でも仮にも彼は殺人を」
「だからこそ、ですよ。怪人なら兎も角、士が理由なく人を殺すはずがない。そこには何かやむにやまない事情があるはずだ、って。
 シンジさんが何を思ってそんなことを聞いてきたかは知りませんけど、本気で誰かを信じたいと思うのなら、世相や他人事に惑わされる時点で間違ってる。俺はそう思います」

「それは……」
「シンジさんがその人を信じられないって言うんなら、自分を信じることから始めてみたらどうですか? 判断を、決断を、そして″心″を。己の中に『芯』がないヤツは、誰かを信じることも信じられることもないんですから」
 自分を……信じる、か。シンジの表情に先ほどまで明るさが戻った。ユウスケの言葉で、悩みと一緒に憑き物まで取れたのだろう。
 シンジは椅子から立ち上がり、何度も何度もお辞儀を繰り返した。

「ありがとうございます、小野寺さん」
「いえいえ。上手い答え、っていうかアドバイスになってなくて、ごめんなさい」
「とんでもない! 胸のあたりがすっとしました。本当にありがとうございます」
 シンジはにこやかに微笑んで手を振ると、人の行き交う作業場へと戻って行く。その姿を手を振って見送りつつ、ユウスケは思う。
 あぁは言ったけど、人が人を信じ合うのに重要なことって、相手が自分にとって大切かどうか、だよなぁ。出会ってからまだ一週間も経ってないはずなのに、ずいぶんな話だよな。
 買い被り……ってわけじゃあないよな、きっと。

「よっし、士を信じて次行くかっ。えぇっと、まだ回ってない階は……」
 飲んでいた缶を握り潰してゴミ箱に放り込み、手帳を片手に、再び聞き込みへと向かう。
 数分後、張り切りすぎて警備員に捕まり、そのまま日が暮れ切るまで抜け出すことが出来なかったのだが、それはまた別のお話。


※ 同日 17時 40分 マンション「メゾン・ド・花鶏《あとり》」503号室 ※

 そこは2LDKのマンションの一室だった。いつ何時誰かが訪問してもいいように整頓された客間や厨房やリビング。レンの肩ぐらいの高さの食器棚の上に並ぶ、シンジと笑顔で肩を並べる彼の写真やトロフィーが士の目を引いた。
 羽黒レンはテーブルを囲うクリーム色のソファーに士を座るよう促し、士はふてぶてしくソファーに腰を下ろし、脚を組む。

「そこで座っててくれ。今コーヒーを淹れる。ブラックでいいか?」
「構わんが、角砂糖を入れろ。三つ……あぁいや、四つで頼む」
「四つ……? やめておけ、二つで十分だ」
「いいや四つだ。何なら、五つでも良いぜ」
 そんなに砂糖を入れて味が分かるのかと首を傾げつつ、レンは食器棚の真ん中の段からコーヒー豆の袋を取り出して封を破り、ドリップポットにペーパーを引いて湯を差した。
 コーヒーに詳しくないので何だか分からないが、やたらとお高く、海外から取り寄せたものには違いない。

「見たことない銘柄だな。どこのものだ?」
「馴染みの店の特製ブレンドだ。挽《ひ》いてもらったものを袋詰めにして、毎月届けてもらっている」
「たかが一杯にかける手間か? 手の込んだブレンドが飲みたきゃ、喫茶店に行きゃあいいだけの話だろ」
「俺のこだわりだ、気にするな」
 偏屈な男だな。手慣れた手付きでコーヒーを淹れるレンを見てそう思った。
 それは住まう住居の中にも表れており、人が出入りする場所は片付いているが、逆に執筆に使っているであろう書斎の中は、書きかけの書類が琥珀色のどっしりとした机の上に乱雑に並べられており、その周囲には使い込んで短くなった鉛筆や、消しにくそうに小さく丸まった消しゴムが転がっている。
 自分が仕事をする場所は、散らかっていても気にならないのだろうか。

 家の中をしげしげと見回している間に、テーブルの上には芳しい香りと温かな湯気を立てたコーヒーが置かれた。士はレンがテーブルに置くより早く、お盆の上の入れ物から砂糖をスプーンで掻き出すと、それを四、五杯ほどコーヒーの中に溶かして啜った。

 昼夜問わずの執筆作業の合間、物書きが好んで飲むであろう、異様に濃厚でコクのあるコーヒーだった。
 砂糖がなければ思わず噴き出してしまいそうなほどきつい味だが、旨みが口の中に絡みつき、慣れれば病み付きになりそうでもある。
 コーヒーをカップの半分ぐらいまで飲んだ士は、一拍置いてレンに話を切り出した。

「そろそろ聞かせてもらおうか。何故、あんなことをしていた?
 ライダー裁判に参加していながら無罪にも有罪も加担せず、ただ裁判員共を倒して回っている。そこには何か理由があるはずだ。答えろよ」
「悪いが、そのことに関しては答えられない」
 何でも質問にも答えると言ったのに、俯くばかりで答えを返そうとしない。
「借りをとっとと返したいんだろ? 何故答えない。俺が弁護士だからか」
「君が本件に関わっていようがいまいが一緒だ。第一、君が知ったところで何にもならん」
「無駄かどうかを判断するのは俺だぜ。助けてやった恩を仇で返すつもりか?」
「何と言われようと話すことはできない」
 士はこれ以上は無意味かと頭を抱える。それと同時に気持ちを切り替えるためか、目の前で手を平と振った。
「わかった。分かった。じゃあ質問を変えよう。「シンジ」の奴にもそのことを話せないのは、何故だ?」
「それは……」
 食器棚の上に飾られたシンジとレンの写真を指差して問う。彼の答えを待たずして、士はさらに続けた。
「話は聞いたぜ。お前ら、ずいぶんと仲が良かったそうじゃねぇの。俺に秘密を話せないってのは分かる。見ず知らずで弁護士。敵だか味方だかさっぱりだからな。だが、シンジは底抜けの馬鹿だ。”人を信じる”という点においてな。何で会社を去ったんだと戸惑ってるんだ、相棒なら話してやれよ」
「……」レンはカップを口につけて少し啜ると、分かってないなと語気を強めて言い返す。
「親しいからこそ、相棒だと思っているからこそ、話せないことだってあるんだ」
「あいつも変な奴だったが、お前も大概だな。大切な相棒なら尚更心の内をさらけ出すべきだろう」
「だから、それは……」
 二人の話を遮るかのように、金切り音が部屋中に響き渡る。士とレンは緊張に身を強張らせ、何かと周囲を見回した。

「俺とお前……、シンジと鎌田の野郎を合わせて、残りは四人。まさか、どっちかがここまで来たってのか?」
「うちの会社はまだ業務時間中だ。抜け出せるわけがない。となれば――」
 そこまで言いかけたレンは何かに気づき、デッキを鏡の前に掲げる。鏡面から変身ベルト・Vバックルが現れ、腰に巻きついた。
「おい、話はまだ途中だぞ。何するつもりだ」
「説明している暇はない。脱落したくなければここで大人しくしていろ」
 拳を握って曲げ、右腕を内側に向けて振り被る。”変身”の掛け声と共に、レンは仮面ライダーナイトに変身した。
 彼はダークバイザーを胸の前に構えたまま、ミラーワールドに乗り込んで行く。
「なんだ? あいつには……何が見えたんだ」
 一体何を見て、何のために向かったのか。士は鏡の中をまじまじと見つめる。そこに映っていたのは、ややシックな室内にそぐわない、仁王立ちで立つ、『金色の仮面ライダー』の姿だった。


※ 同日 18時 20分 ミラーワールド・エリアHD-25 ※

 金色に輝く”不死鳥”を模した仮面ライダー。ナイトがミラーワールドに侵入したことに気付くと、彼は仁王立ちを崩さずに向かい合い、威圧的な口調と声で言う。

「羽黒レン……、君の存在は許されない。仮面ライダー裁判恒久化の為、ここで消えてもらう」
 ややかすれ、しゃがれた声から、変身者は年配の男性であることが分かる。だがナイトは変身者のことや、彼の言うことなど意にも介さず、人差し指を真っ直ぐ突き立てた。
「何が恒久化だ、遵守すべき法を、神聖なる裁きを歪めているのは貴様だ、『仮面ライダーオーディン』」
「聞く耳持たんか。ならば消し去ってくれよう、時の彼方へ!」
 金のライダー・オーディンは、デッキから「懐中時計」の絵柄のカードを引き、杖型召喚機・ゴルトバイザーに装填しようとする。
 一歩遅れて止めようとするナイトだが、間に合わない。バイザーを閉じ、効果が発動されかけたその時。
 ――FINAL ATTACK RIDE 『De-De-De-DECADE』

 鏡の外からディケイドがカードを潜り抜けつつ現れ、自慢の飛び蹴りオーディンを吹き飛ばし、マンション下の駐車場まで叩きつけた。
「よぉっ、助太刀に来てやったぜ」
「お前……どうして」
 追ってマンションを飛び降りたナイトは、身体中の埃を払うディケイドに、何故だと問いかける。
そんな彼に、ディケイドは「分からないのか」と素っ気なく言葉を返した。
「その興奮具合からして、あいつが元凶ってわけだな。あの金ピカを始末出来りゃあ、訳ってやつを話してくれるのか?」
 ナイトは無言で首を縦に振り、地面にめり込む金ピカを指差した。
「奴の名は『オーディン』。裁判の不正を正す為に存在する、”十三人目”のライダーだ」
「十二人しかいない筈の、十三番目……、何やらかしてそんなのに追われてるんだよ、お前は」
「後にしろ。まずはこいつを倒すことが先決だ」
「なるほど。同……んん?」
 ディケイドは己の目を疑った。 二人で話をしていたのが悪いということは重々承知だ。しかしこれは一体どういうことなのか。叩きつけられ、地面にめり込んでいたはずのオーディンは、いつの間にかその姿を虚空へと消し去っていたのだ。
「あの野郎、これからって時に何処へ……ぐぉッ!」
 隙を見て逃げ出したのかと、辺りを見渡すディケイドだったが、視界の外から放ったたかれた。
 オーディンは逃げたのではない。彼は”瞬間移動”能力を持っているのだ。
 変幻自在、予測困難な場所からの打撃や斬撃に、さしものディケイドも、援護に入ったナイトも、一太刀も浴びせることなく、その場でよろけ、膝をついてしまう。

「なんだ、こいつッ!」
「気をつけろ弁護士! 闇雲に追っても捉えきれないぞ」
「やみくも……、ねぇ。俺も舐められたもんだな。だったら!」
 ――ATTACK RIDE 『ILLUSION』
「出てくる方を塞げばいい、ってことだろ」
 ディケイドは『イリュージョン』のカードをドライバーに装填。縦横無尽に瞬間移動を行うオーディンに対して、己の分身を移動場所に配置することで、動きを完全に見切り、彼に片膝をつかせることに成功した。

「おのれッ、ならば、一発で仕留めてくれる」
 ――FINAL VENT
 自身の得意技を封殺され、地団駄を踏んだオーディンは、放られていたバイザーを再び握り、デッキから「ファイナルベント」のカードを装填。
 ”不死鳥”を模した契約モンスター「ゴルトフェニックス」が、金色の羽を撒き散らしながら彼の周飛び回り、それに同調するように光り輝くオーディン。何が来るかは分からないが、出させてはいけない。
 しかし発動された以上、二人にはもう止めようがない。そう、”今までの”二人、には。

「奪っておいて助かった。これで、どうだッ!」
 ――CONFINE VENT
 ナイトはオーディンがファイナルベントを発動させるよりも先に、先の戦いでガイから奪い取った「コンファイン」のカードをバイザーに装填。ゴルトフェニックスは白い煙と共に消失し、必殺技の発動は阻止された。

「馬鹿な! ナイトの君が何故このカードを!?」
「おっと、油断大敵、注意一秒怪我一生だぜ。レン、今だ!やっちまえッ!」
 何が起こったかと戸惑うオーディンを、ディケイドは背後から羽交い絞めにする。これでは瞬間移動も、カードの装填も行えない。
 ナイトはダークバイザーを右手に構え、オーディン目掛けて突っ込む。左手で彼のデッキからカードを全て抜き取ると、そのまま左足を軸に腰を強く捻り、切っ先ををデッキに突き刺した。

「俺は何もしていない。『編集長』を殺したのも、桃井さんを襲ったのも、別の男の仕業なんだ。消えろ……オーディン!」
「ぐ、おぉ……、お!」
 ナイトがダークバイザーをデッキから引き抜くと同時に、オーディンは別の空間に飛ばされ、『ベント』された。
 オーディンが消えたのを見届け、ナイトは奪い取ったカードを乱雑ながらも一枚一枚調べて行く。
『懐中時計』のようなものが描かれたカードに差しかかったところで手が止まる。ナイトはそれをまじまじと見つめた。

「”TIME VENT”……ついに見つけたぞ、これだ」
「なんだ? そのカードは」
「これは”タイムベント”。ライダー裁判のルールキーパー・オーディンだけが使用できる”筈の”、時間を『逆行』するカードだ」
「時間の逆行だって!? おいおい、ちょっと待て。そんなものが許されるのか?」
「もちろん許される筈がない。オーディンの存在がひた隠しになっていた理由もそれだ。
 秩序の維持を名目に、”時間を改変”し、『証拠のねつ造』や『判決の改変・無効』などを行っているとすれば……、裁判の正当性を揺るがす大スキャンダルだ。
 しかし今問題にすべきはそこじゃない。こいつを使って俺は……」
 どうやら、目当てのカードを得ることに成功したらしい。ディケイドは彼の肩を叩き、そろそろいいだろうと話を振る。
「もう黙りは御免だぜ。いい加減に話してもらおうか。お前がなんでそいつにご執心だったのか、そしてそのことを誰にも話さなかったのかを、な」
「そう、だな……」
 ナイトは顎に指を当てて思案すると、長い話になる、とディケイドを車の駐車スペースに置かれた、白い小さなコンクリートブロックの上に座らせ、一つ一つ思い出しながら淡々とした口調で話し始めた。


 話は一週間前に遡る。
 ATASHIジャーナルで一人の男が殺害された。
 容疑者として逮捕されたのは蛇腹《じゃばら》タケシ、二十六歳。傷害容疑で逮捕二回、保護観察処分一回の凶悪犯。
 殺されたのは、会社の元・編集長『大久保《おおくぼ》秀之《ひでゆき》』。残業中、社に侵入してきた蛇腹に、刃渡り10cmほどのバタフライナイフで肺を刺されての失血死。死亡推定時刻は午前2時、多量の血を吐いて、苦しみながら亡くなったと思われる。
 逮捕の決め手となったのは防犯カメラの映像。深夜1時45分。大久保編集長と蛇腹の姿がはっきりと映っていた。他の侵入者は無く、死亡推定時刻とも一致する。
 動機は空腹のあまり、窓ガラスを割って社に侵入し、食料を漁っている最中、編集長に見つかって揉み合いになって、とのこと。
 判決は当然有罪。
 被告はこれまで何度も犯行を犯したこともあり、重い刑が求められたが、そこで問題が起こった。

 ほぼ全員が無期懲役を求める中、唯一蛇腹担当の弁護士だけが懲役は十年までだと主張してきたのだ。
 普通なら握り潰されて終わりなのだが、厄介なことにその弁護士が腕が良く頑固者で、周りの主張をのらりくらりとかわし、検察側の如何なる譲歩案にも応じなかった。
 困り果てた裁判長は、量刑の判断をライダー裁判に委ねてしまったのだ。

「待て待て」そこでディケイドが口を挟む。「ライダー裁判ってのは、立証不可能な犯罪についてのみ行われるんじゃなかったのか? どう見ても犯人はそいつだろう」
「残念だが、そうも行かない」ナイトは苦々しげな口調で続ける。
「今回の場合、蛇腹が編集長を直接刺した所は映っていなかったのが痛い。そこを付け込まれ、弁護士に反証の隙を与えてしまったんだ。その上何人かが情状酌量側に組み込まれ、裁判は避けられなくなった。
 編集長と近しい立場だった俺たちはライダー裁判に参加することになった。俺が龍騎、シンジがナイト。”無期懲役”派として量刑不当派の奴らと戦った。
 二人で力を合わせ、なんとか勝ち進んで行けたんだが、”リュウガ”とやり合った時に、シンジが俺を庇って脱落し、俺も満身創痍。いつ脱落しておかしくなかった。
 俺は決着をつけるため、減刑派の最後の一人、蛇腹の担当弁護士が変身しているライダー、”王蛇”を探し回った。見つけたまでは、よかったのだが……」
「そこで、何かがあったわけか」
 ナイトは左手の掌を、音がする程強く握り締めて話を続ける。
「ごねてライダー裁判に持ち込んだ訳が分かったよ。奴め、ミラーワールドの中から現実世界の留置場に干渉し、捕らえられていた蛇腹を逃がしやがったのさ。何をしているんだと止めに入ったが、満身創痍の俺にはどうしようも無かった。
 勝てる見込みはないが、やられっぱなしは性に合わない。ベントするならすれば良い。だがお前の罪を一面に書き立ててやるぞ、と言ってやったんだ。そうしたら奴は何と言ったと思う。『ただでは済まないのは、貴様の方だ』と笑ったのさ。
 そして『懐中時計』のカードを使って消えてしまった。それが『タイムベント』の力だと分かるまで、相当混乱させられたがね。
 訳も分からず気絶させられ、次に目覚めたのは、仕事場の自分のデスクの上だった。何故なのかは分からんが、俺は今週号の一面記事を書きながら、原稿を枕にしてデスクの上で眠っていた。
 原稿を読んで唖然としたよ。蛇腹タケシは脱獄し裁判は中止。しかもその手引きをしたのが『仮面ライダーナイト』だと書かれていたのだからな。ライダー裁判ではプライバシー保護のため、自分から名乗らない限り身元は割れないが、デッキを送った裁判所は誰が何に変身したのか知っている。俺には身を隠すことしか出来なかったんだ」
「逃げるしか無かった……? ずいぶんと短絡的だな。あんた、雑誌社のライターなんだろ? そちらの力でなんとかすればいいじゃねぇか」
「そうするだけの時間も無かったんだよ。それに、社でやるわけには行かなかったんだ。奴が居たからな」
「奴……?」
「蛇腹タケシの弁護士さ。タイムベントで時間を戻した後、奴は大胆にもATASHIジャーナルに乗り込んでいたんだ。副編集長だった桃井さんを編集長に据え、自分は――」
 ――STRIKE VENT
 レンの話を遮るかのように、遠方より高圧水流が放たれ、無人のマンションに叩きつけられてしまう。
 何なんだと戸惑う二人の前に現れたのは、水色の鎧に二体のモンスターを従えた、かのアビスであった。
 彼の存在に気付いたナイトは、コンクリートの欠片を払って立ち上がり、悔しげに舌を打つ。
「やはり嗅ぎ付けたか……! 貴様が何をしようと、このカードだけは渡さんぞ、外道!」
「はて、何のことやら。訳が分かりませんなァ、羽黒レン君」
 アビスは武器の鉤爪型の手甲を構え、白々しく不敵に微笑む。
 二人を遠巻きに見ていたディケイドは、アビスの姿にある違和感を覚えていた。
「……ちょっと待てよ。何でお前、ランプが『白く』点滅しているんだ?」
 腹部のカードデッキが”白く”点滅している。参加者の数は自分を含めこの四人だけ。何故今更手のひらを返すのか。白々しい口調で言葉を返した。
「私は間違っていました。光夏海さんは殺人犯などではない。
 騙されてはいけませんよ弁護士さん。彼の言っていることはでたらめだ。妙な理屈を捏ねて、編集長殺害の罪を夏海さんに擦り付けようとしているのです!」
「何を馬鹿な、そもそも弁護士の貴様が何故ウチに居る! どんな魔法を使ったんだ!」
「……どうやら本格的に神経を病んでしまったらしい。ここは私ではなく、コンビだった君に任せるとしましょうか、シンジ君」
「……シンジ?」
「そんな、まさか!」
 アビスの呼び掛けに応じ、マンションの入り口から姿を見せたのは、専用剣・ドラグセイバーを力なく右手に構えた龍騎だった。レンを陥れるために鎌田が彼を抱きこんだのだろう。
「彼のためだ。君が『説得』してはくれないかね、シンジ君」
 何が説得だ。シンジとレン、相棒同士で潰し合わせようってんだろう。士は心の中で舌打ちする。かといって、部外者の自分が出張っても、何の解決にもならないだろう。これは彼ら“相棒”同士の問題なのだ。
 龍騎は意を決し、身を乗りだしてナイトの元へと向かう。刀身が彼に当たる程度の距離まで近づいた彼は、ドラグセイバーを振り上げ、
「なっ、何をするんだシンジ君!」
 右足を軸に腰を捻り、無警戒なアビスの胸元を斬りつけた。自分の言葉に乗り、レンを襲うもの考えていたアビスは、身構えるも間に合わず、火花を散らしガラス張りのマンション管理室に頭から突っ込んでいった。

「副編集長の言う通りだ。最近のレンさんは色々とおかしかった。いつもみたいに冷静じゃないし、言っていること自体突拍子が無さ過ぎる。信じろって方が無理ですよ」
 暫しの間を置き、声を大にして叫ぶ。
「でも……、僕の心は! あなたがそんなことをする筈がないって叫んでる! 出来るわけがないって訴えてるんです!
 ある人が言ってました。『自分の中に”芯”がないやつには、誰かを信じることも、誰かに信じられることもないんですから』……って。
 だからこそ言わせて下さい、レンさん! 僕はあなたを……信じてもいいんですよね? 信じさせてくれるんですよね!?」
 
「……!」ナイトの動きが止まる。手にしたカードを落とし、その場で固まった。
 コウモリを模した冷徹な顔の下でどんな顔をしているのだろう。驚いているのか、泣いているのか。はたまた、笑っているのだろうか。興味は尽きないが、今大事なのはそこではない。
 ディケイドはブッカーの切っ先で、彼が手にしたカードを指し、叫ぶ。
「何ぼさっとしてんだレン! 相棒の信頼に応えたいんだろう!」
「む……無論だ!」
 ナイトはタイムベントのカードを自身のバイザーに装填し、時間逆行を発動させようとする。
 が、ダークバイザーはタイムベントのカードを読み込もうとはせず、勝手に吐き出して、ナイトの掌に戻ってしまう。戻るカードを何度投げ入れるも、結果は同じであった。

「甘かった……。やつらめ、こうなることを想定して、カード自体にプロテクトを施していたかッ」
「残念でしたね羽黒君。それでは、さよならです」
 ――ADVENT
 発動出来ず地団駄を踏むナイトの背後から、アビスラッシャーとアビスハンマーが飛び掛かってきた。カードを奪い、ついでに彼をベントしようというのだろう。
 ただの参加者ならそれで終わりだが、あらぬ疑いをかけられたレンの場合はそうは行かない。警察に身柄を拘束され、真実を知る機会を永遠に失ってしまうのだ。
 二体のモンスターに羽交い絞めされ、タイムベントのカードを奪われてしまうナイト。見兼ねたディケイドは、ライドブッカーから銃弾を放ってカードを奪い取り、彼らの前に立ちはだかった。

「弁護士……お前」
「皆まで言うな。ここは俺に任せてもらうぜ。この世界のライダーじゃない俺なら、こいつを扱うことが出来るかも知れん。折角だ、俺のことも信じてみないか? 似た者同士、な」
「誰が似た者同士だ、誰が」
「俺とお前だよ。最後まで言わせるなっての」
 自分と同種同族扱いされたことを不満に思うも、ディケイドの言葉を信じ、二体のモンスターの隙を突き、彼にカードを投げて寄越した。

「おのれ、そうはいくかッ」
 だが、そこで何もせず待っているアビスではない。アビスラッシャーの攻撃対象をディケイドに切り替え、カードの発動を阻止すべく襲わせたのだ。

「ちょっと、待ったァ!」
 ――STRIKE VENT
 しかし、それは二人の味方に回った龍騎も同じこと。『ストライクベント』のカードを装填し、契約モンスター・ドラグレッダーの顔を象った手甲「ドラグクロー」を装備すると、強力な火炎弾を放ち、アビスラッシャーを吹き飛ばした。
 必殺の『ドラグクロー・ファイアー』だ。

「シンジ!」
「なんだかよく分かりませんけど……。行ってください士さん! この人は僕が食い止めます!」
「おう、後は任せろお前ら!」
 使えてくれよと呟きつつ、タイムベントのカードをドライバーの中に投げ入れ、閉じ込んだ。
 ――TIME VENT
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~ Comment ~

NoTitle 

>それ以上に彼が[苦心]したのは
[苦悶]などの方が適切だと思います。

レンとの絡みを多くした改変がすごく良い感じです!
原作のアラがドンドン解消されてすっきりしました!

個人的な事情で次を読むまでまた間が空いてしまうのですが、次を読むのがますます楽しみになりました!

それでは、これから寒くなりますがお身体にはお気をつけくださいね。
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まとめtyaiました【Journey through the Decade Re-mix 第四話 「バトル裁判・龍騎ワールド」 第三審】

<仮面ライダー裁判・概要2>・カードデッキを受け取った参加者は、それをを鏡の前に掲げ、鏡面世界から現れた変身ベルト『Vバックル』にそれを装填することで変身。 初変身後、『有罪』もしくは『無罪』かの意見の宣言を行う。有罪ならデッキ上部にあるランプが黒く点滅...
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