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 ←殆どというか全部ネタバレな『スーパーヒーロー大戦』感想 →Journey through the Decade Re-mix 第三話 「第二楽章♪キバの王子」 第一夜
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「二次創作」
ぐうたら魔法少女伝説来海えりかちゃん

ぐうたら魔法少女伝説来海えりかちゃん #2

 ←殆どというか全部ネタバレな『スーパーヒーロー大戦』感想 →Journey through the Decade Re-mix 第三話 「第二楽章♪キバの王子」 第一夜
 ――――前回のあらすじ。
 プリキュアになるべく幼い頃から心身共に鍛え上げ、その時を今か今かと待っていた少女・花咲つぼみ
 しかしプリキュアになってしまったのは、それらの事情を何も知らない上に、戦う気ゼロな女の子、来海えりかでした。



#2 いいえ! 私が本当のプリキュアです!

◆◆◆

 自分がプリキュアとなった時のことを、笑みを溢して夢想する少女が一人。そうなるために幼い頃から努力を重ねてきた中学二年生・花咲つぼみだ。後少しで念願のプリキュアになれる。今までの辛く苦しい特訓が漸く実を結ぶのだ。天にも昇るような気持ちで、自身のパートナーたる妖精の到着を、今か今かと待っていた。
 ――――なんですって!? それは本当なの!?
 だが、つぼみの幸せの絶頂は、祖母・薫子の一声によって一瞬で消え去ることとなる。植物園で最も大きな木の幹に聴診器を当てていた薫子は、浮かない顔でつぼみの元に駆け寄った。
「どうしたんですかおばあちゃん、ご気分が……優れないのですか?」
「つぼみ……落ち着いて聞きなさい。あのね、あなたの元に来る筈の妖精のことなんだけど……」
「はぁ」
 祖母・薫子の口から語られたのは大きく分けて三つ。一つは本来つぼみに力を与える筈だった妖精シプレが風邪を引いて寝込み、急きょ代わりに彼女の友人であるコフレがこの街に派遣されたこと。
 二つ目はそのコフレが、自分ではなく何の関係もない女の子にプリキュアの力を与えてしまったこと。
 そして最後に、一度定着してしまった力は、その子のものとなって取り除くことは出来ない、ということだ。

 別の子にプリキュアの力が奪われた? 一度譲渡された力は二度と取り戻せない? どうしてそうなるの!?
「ちょっと、なにやってるのつぼみ!」
「離してくださいおばあちゃん! このっ、このこのこのッ!」
 花咲つぼみは事態を飲み込めずに困惑し、やりどころの無い怒りを木の幹に頭をぶつけて発散する。
 暫くして落ち着いたつぼみは、突然薫子の肩を掴んで激しく振った。
「やめて、やめなさいつぼみ! どうしたの、一体どうしたのよ!?」
「誰ですか……」
「へ?」
「わたしの代わりにプリキュアになった子です! 誰なんですかその子は!」
「そ、それは……」

◆◆◆

 お天道様が高く登り、人々に恵みの光をもたらす良い日和。
 そろそろお昼時になろうかというこの時間、手違いでプリキュアになってしまった少女・来海えりかは、同じく手違いでプリキュアの力を与えてしまった妖精・コフレより、必要最低限の説明を受けていた。
「……と、言う訳で。人々のこころの花を枯らして、この星を砂漠化させようとする”砂漠の使徒”。プリキュアは、やつらをやっつけるために四百年もの間、世代を超えて戦い続けていたんですっ。ここまでで何か質問はありますか、えりか?」
「わー、あの人かっこいーチョーおしゃれー」
「……あぁもう、ボクの話をちゃんと聞くですっ!」
 と言っても、真面目なのはコフレだけ。彼の話はえりかの右耳を通って左耳から抜け出ていた。コフレのお小言に対し、えりかは小指で耳をほじり、興味なさげに返事を返す。
「だってつまんないんだもん。っていうかプリキュアの力とか別にいいよぉ。返せっていうなら返すよ。ほら」
「パフュームを差し出されてもダメですっ。ボクの責任もあるので強くは言えませんけど……、もうえりかがプリキュアとして戦うしかないんです!」
「あっそ。そー来るんだー。だったらこれは返さない。あたしの個人的なおしゃれだけに使わせてもらうもーん」
 口煩いコフレに辟易し、嫌味な笑いを浮かべてパフュームを懐にしまいこむ。
 そうはさせまいと、彼女の懐に手を入れ、必死に抵抗するコフレ。
「ダメですっ! プリキュアになったんだからこころを入れ替えてしっかりと戦ってもらうですっ。それにボクがいないとあの姿にはなれないですよ。パフュームはこころの種を入れなきゃ起動出来ませんしね」
「でもさ、あたしがうん、って言わないとあんたもどうにもできないわけだよねぇ? プリキュアってのに変身して、砂漠の使徒ってのと戦えるの、今はあたししかいないんだし」
 コフレにとっては死活問題だが、えりかにとっては”可愛い服を着られる”ということを除けば、プリキュアの使命などどうでもいいこと。主張や願いがかみ合わないのは当然と言える。
「ぎくっ! それは……」
「いいのかなー? そんな態度取ってぇ。捨てちゃうヨ? この香水。何の躊躇無くすてちゃうよー?」
「そそ、それだけは勘弁してほしいですっ。でも戦いはしてもらいたいのです」
「それは嫌。いい加減諦めってのを覚えた方がいいんじゃないのー?」
「こころの大樹を護るのはボクたちの大切な使命なんですっ。諦めませんっ」
 妥協せず互いに一歩も譲らぬ口論を繰り返して平行線を辿る中、二人の前に腰まで伸びる桃色の髪の毛に、丸型眼鏡をかけた、可愛らしい顔立ちの少女が現れる。
 少女は、えりかがココロパフュームを持っていると知った途端、目にも止まらぬ素早さでそれを掠め取った。
「ちょっとぉ、何すんのよー。あたしのパフューム返して!」
「まだえりかの、ではないですっ!」
「何言ってんの! 殆どあたしのものでしょーが!」
「殆どってことは”えりかのもの”じゃないです!」
「どうでもいいじゃないですか」二人のやり取りを遮って、パフュームを奪った少女が話に割り込む。「これは元々わたしが手にするものだったのですから」
 言って、パフュームを自身に振り掛ける。春季の森の中にいるような穏やかな香りが彼女の鼻孔を擽《くすぐ》るが、変身は出来ない。
 これは元々、わたしが持つべきだったもの。妖精である自分に驚かず応対し、教えなくてもパフュームを使いこなす。コフレはもしやと思い、少女に近付き声をかける。
「あのう、もしかして、あなたの名前は……」
「花咲、つほみです。そういうあなたは、まさか」
「こころの大樹から派遣されてきた妖精のコフレですっ。プリキュアになるべき少女! あなたが”花咲つぼみ”、だったのですか!?」
 図らずも「なるべき」少女と鉢合わせしてしまい、コフレは申し訳無さに頭を抱える。
「……あぁあごめんなさいですつぼみぃ! ボクが、ボクがお寝坊なんてしなければ……つぼみにパフュームを渡すことが出来たのに!」
 コフレは地面に額を擦りつけて何度も頭を下げると同時に、えりかにプリキュアの力を与えた経緯を涙ながらに語る。
 思うことや言いたいことは多々あれど、泣きながら謝り倒すコフレの姿に同情したつぼみは、乾いた笑顔を浮かべ、両手を軽く振って言葉を返した。
「気にしないでください。急に代役を頼まれたのですし、仕方がありませんよ」
「ボクが、ボクがお寝坊さえしなければ! あぁ、お寝坊さえしなければ!」
「落ちついてください。誰にだって間違いはあります。今更悔やんでもしょうがないじゃないですか」
「まぁまぁ、しょうがないよ。それもまた人生だって。この次頑張りなって」
「あなたは黙っててください!」「えりかは黙ってろですッ!」
「ごめんなさい」
 謝罪と謝罪のぶつかり合いで暗くなった雰囲気を和ませようと発した一言だったのだが、完全に逆効果。二人に凄まれたえりかはごめんなさいと力なくつぶやき、肩を竦める。
「結局……どうにもならないんですか?」
「ボクが至らないばっかりに、こんなへんちくりんな子に……」
「ちょっとぉ! 黙って聞いてればへんちくりんって何よ! 失礼ね」
 ”へんちくりん”という単語に反応して食ってかかろうとするが、先程以上に二人に凄まれ、えりかは目に涙を溜め頭を下げる。
「そう、ですか……そおですか……」
 もうプリキュアに変身することは適わない。そのことを責められる相手もいない。花咲つぼみは生気の抜け切った白い顔で元来た道をよろよろと戻って行った。
「行っちゃった。背中、煤けてたね」
「本当に、本当に申し訳ないことをしたです……。だから!」
「だから?」
「えりかにはつぼみ以上の特訓を重ねて、彼女よりも強いプリキュアになってもらうですっ」
「ジョーダンでしょ!? 元はと言えばあんたの責任じゃない。あたしが背負う理由にはならないでしょうが!」
「いい加減に現実を受け入れるですっ! えりかが戦わなきゃ地球は砂漠にされてしまうのですよっ!?」
「こんな浮世離れした現実があるかぁ! あたしはやらないよ! えぇやりませんともっ」
「そうは行かないですぅう! まーつーでーすぅー」
 後ろ髪を掴み、なんとかして引き留めようとするが、えりかは背後に手を伸ばしてコフレを払い、今まで以上にきつい口調で言い返す。
「あんたにも事情があるっていうのなら、あたしにだって事情があるの! いい? 今日は学校で数学の追試験があるの! 休みの日なのにだよ!? でも受けないと一学期の数学の成績が一になっちゃうし、おやつもおこづかいも抜きになっちゃうの!ヤバいでしょ!? 困るでしょ!? まずいでしょ!? あたしにとってはそっちの方が問題なの!じゃあね」
 反論を許さないほどの早口と勢いで話すだけ話したえりかは、デコピンでコフレを遠ざけ”ふん”と鼻を鳴らして自分の家へと帰って行く。
 コフレは痛む額を優しくさすりながら、えりかの態度と自分の不甲斐なさに溜め息をついてうなだれた。
「あぁあ、キュアフラワー、キュアムーンライト……同郷のシプレにコロン、ボクは一体どうしたらいいです……?」

◆◆◆

「おーっほっほっほ! もっとやっちゃいなさいデザトリアーン! 街を壊してこころの花を枯らすのよぉん」

 ――――バーイバーイクーン!
 ――――オレハナニモシテナインダー!
 ――――オンナノコガ電車ノ中デ勝手ニオレノ手ヲ掴ンダダケナンダー!
 ――――ドウシテダレモシンジテクレナインダー! バイバイクーン!
 時を同じくして、街から少し離れた公園。頭にオートバイのハンドルが刺さり、両手が回転するホイールの形をした怪物――デザトリアンが公園の遊具を壊し回っていた。
 先程と違い、その様子を眺めてほくそ笑む、赤茶けた長髪に腹部の大きく開いた衣装の謎の女性の姿があった。
 人々のこころを枯らす砂漠の使徒、その幹部の一人『サソリーナ』だ。
「あれが……デザトリアン!」その様子を遠方から見つめる者が居る。変身資格を失って途方に暮れる花咲つぼみだ。
「このままじゃ街が、みんなが、こころの花が……! わたしはどうしたら……」
 プリキュアでない彼女にデザトリアンを倒す力はない。だが、彼らと戦い合う宿命を背負って今まで修練を積んできた彼女が、この光景を見過ごせるはずがなかった。
「痴漢冤罪ぃ? くぅだらなぁい。そんなのあんたが疑われそうな顔してるからでしょ? そんなこと言って同情引こうとしたって無駄よ無駄」
 加えて、サソリーナの被害者のこころを軽視し、踏みにじるこの発言。プリキュアであるかどうかなど、この際問題ではない。手が動くなら、足が動くのなら戦うだけだ。
 つぼみは手提げの紙袋を抱えて近くの公衆トイレに入る。かつて、プリキュアになった自分を想像して作った衣装を身に纏い、サソリーナたちの前に立ちはだかった。
「――そんなことありません! 大切なのは人を信じる心! たとえ世界の誰もが疑おうとも私は信じます! あなたは痴漢なんてやってないって。自信を持ってください!」
「なっ、どこ、どこなのッ!? 姿を現しなさいッ」
 眼鏡を外し、えりかの衣装の色違いの衣装を身に纏った花咲つぼみ。彼女は高台からサソリーナたちを見降ろし、人差し指を突き立てて大見得を切った。
「私は……、私の名は! 大地に咲く一輪の花! 『キュアブロッサム』! 」
「きゅあぶろっさむぅ!? まさか、あんたがキュアムーンライトの後任んんんん!?」
「いいえ……」つぼみは残念そうに首を横に振る。「私はプリキュアにはなれないし、この衣装は自作です……。けど! あなたたち砂漠の使徒と戦うことはできます! この胸にこころの花が咲き誇っている限り!」
「自作なのその衣装!? まぁいいわ。ただの人間のくせに、砂漠の使徒大幹部のサソリーナ様に歯向かうとはいい度胸ねぇん。ぐうの音も出ないぐらい叩きのめしてあげるわぁん」
 サソリーナの命に従い、つぼみに飛びかからんとするデザトリアン。恐怖がないかと言われれば嘘になる。
 それがどうした。衣装が自作だから何だ。プリキュアじゃないから何だ。自分はそんなプリキュアに憧れて修練を積んできたのではないのか。己が使命の重さと、纏った衣装が醸し出す高揚感に酔い、握り拳に力を込める。
「プリキュアの力がなくたって! 私にはあなたたちと戦うために鍛えてきたこの体が負ける訳……」
 敵が知覚するよりも早く踏み込み、デザトリアンの鳩尾部に体重の乗った正拳突きを打ち込んだ。
 人間同士の戦いなら、この一発で悶絶させていただろう。しかし相手は人知を超えた怪物・デザトリアン。蚊程にも通じない所か、逆に守りを捨てて放ったつぼみの拳が、嫌な音を立ててあらぬ方向に曲がった。
「おーっほっほっほ! 人間ってのは貧弱ねぇん。ただの無謀よむ・ぼ・う!」
「く……うう、腕が……、わたしの腕がッ!」
 高揚感に酔っていたとはいえ、鍛錬を重ねていたとはいえ、花咲つぼみは中学二年生の女の子。
 自分の無力さと非力さ、そして稲妻に打たれたかのような鋭く激しい痛みが体と心を襲い、つぼみ悲痛な叫び声を上げてその場に突っ伏した。
「ムーンライトもいなくなって張り合いがなかったし、少しは楽しめるかと思ったけど。こんなモドキの子じゃつまらないわぁん。もういいわ、本物のプリキュアを呼んできなさぁい」
 立ち上がれないつぼみの姿を見下ろし、つまらなそうに乾いた笑いを浮かべるサソリーナ。つぼみはそれでもなお、武器として用意したフラワータクト(プラスチック製)を杖にしてよろよろと立ちあがった。
「その必要はありません。本物のプリキュアは……わたしです! 人のこころを奪って関係ない人までも巻き込むその卑劣さ! わたし、堪忍袋の緒が……、切れました! 」
「切れたからって何ぃ? アタシを浄化することすらできないくせに。つまんない、ホントつまんないわぁんアナタ。デザトリアン、やっちゃいなさぁい」
 ――――バイバイクーン!
 タクトを支えにしてなんとか立っているつぼみを、デザトリアンのホイールの腕が押し潰す。
 乾いた悲鳴が口内から漏れ、身体中の骨がめきめきと音を立てる。血溜まりになるのも時間の問題だ。
「もう……ダメです……」
 押し返すことなど出来る筈もなく、歯を食いしばって目を閉じる。もう後はない。万事休すなのか。
「あぁあっ! つぼみが大ピンチですっ! 一大時ですっ! どうすれば、どうしたらららっ!?」
 それは遠巻きに見ていたコフレも同じである。えりかのだらしなさに落胆し、落ち込むつぼみを励ましに来ては見たが、パフュームをえりかに奪われた以上、指をくわえて見ている他無い。
 デザトリアンの腕が振り上がった。このまま一気に押し潰すつもりか。つぼみとコフレは完全に諦め、どうでもいいと目を閉じる。
 ————――待て待て待て待てェーい! 必ァ殺! えりかスライディイイイイングゥウウ!
「うわおぅ!? 何? 何ーっ!」
 だが、運命はつぼみたちを見離しはしなかった。
 コフレを振り払って学校に行ってしまったはずのえりかが、お留守になったデザトリアンの足元にスライディングをかまし、腕の軌道を逸らせたのだ。
 振り下ろされた衝撃で地面にへたり込むつぼみを優しく抱きとめ、えりかは心配そうな口調で彼女の無事を問う。
「”花咲さん”……だっけ? 大丈夫?」
「あなたは……! どうして!」
「あんなすっごい悲鳴、気付かない方がおかしいと思うけど」
 えりかは心底面倒臭そうに息を吐き、「戦うのはめんどくさいけどさ、”仲間”が傷つくのを指をくわえて見ているのは、なんだか嫌だし」
「なか……ま? わたしがですか?」
「そっ、仲間。あなたはコフレのせいでプリキュアになれなくて、あたしはコフレのせいでそれを背負い込まされて。他人事とは思えないじゃん? この際それでいいじゃん、いいでしょ?
 ……あたし、来海えりか。私立明堂院学園に通うファッションに興味がある十四歳。よろしくね『つぼみ』」
「くっ、うぅ、うう……!」
 抱き止められ、彼女に仲間だと言われて安堵したのか、つぼみの目から堰《せき》を切ったように溢れだす涙。
「あぁ、もう。泣かないの」えりかは持っていたハンカチでそれを優しく拭い、彼女を安全な場所まで遠ざけ、デザトリアンと向かい合う。
 その上で、自分の近くに浮いているコフレに対し右手を差し出した。
「さぁて。砂漠の使徒だか何だか知らないけど! この際だし、あたしが直々にぶっ潰してやるっしゅ! コフレ!」
「はいですっ!」
 ――――プリキュア!オープンマイハート!
 えりかが使命に目覚め(かに見えた)ことに感銘を受けたコフレは、喜んでプリキュアの種を差し出す。
 えりかはそれをココロパフュームにセットして体に吹き付け、ポーズを決めて大見得を切る。
「そこの変な髪型のオバサン! あたしの”仲間”をいじめた落とし前、きっちり払ってもらうからねっ」
 変身し、人差し指を突き立てて思う様威嚇する。ようやく本物のプリキュアが出てきたかと、サソリーナはわざとらしく大袈裟に笑って見せた。
「真打ち登場って訳ねぇん。いいじゃない、やっちゃいなさぁい、デザトリアン!」
「本物かどうかは知らないけど、あんたたちには負ける気がしない! 喰らいなさい、えりかちゃんインパクトぉ!」
 えりかはプリキュアの浄化エネルギーを青色の球状にし、襲い来るデザトリアンの腹目掛けて勢いよく放つ。
 球状のエネルギー弾は対象に接触した瞬間に弾け飛び、デザトリアンをよろめかせ、その体に亀裂を生じさせた。
「まだまだぁ! えりかちゃん、フライングクロスチョップ!」
「あぁっ!デザトリアンの右腕がぁああ! なんて馬鹿力なのよぉん!」
「これでどうだ! えりかちゃん、おしりパーンチッ!」
「おしりなのにパンチ!? ひいぃっ、デザトリアンの体にヒビがっ、ヒビがぁあッ」
 えりかの猛攻によりデザトリアンはもはや虫の息。つぼみとコフレはその力に圧倒され、ただただ息を飲んでいた。
「凄い……! 来海さん、あなたどうしてこんな技を!」
「うん? もも姉と喧嘩してたときの技だよ全部。いやぁプリキュアになるとパワーも段違いだねぇ。
 あ、ちなみに”もも姉”ってのはあたしのお姉ちゃん。てぃーん系雑誌で引っ張りだこのカリスマモデルなの。すごいでしょ!? すごいっしょ!」
「あのう……」”一体どんな姉妹喧嘩だ”と突っ込もうとしたが、言うべき雰囲気でないことを察し、自発的に口をつぐむ。
「さあて、とっとと決めちゃいますか」
 ――――集まれ、花のパワー! フラワータクトッ!
 十分弱らせたと判断し、えりかは胸のリボンの前に手を掲げ、フラワータクトを召喚。穂先をデザトリアンに向けてにんまりと笑った。
「さぁ、来なさいデザトリアン。一発でキメてやるんだから」
 ――――ババ……バーイバーイクゥゥウン!
 殴られ蹴られ続けて頭に来ていたのか、デザトリアンは策も無しにえりかに飛び掛かる。完全に読み通りだ。
 えりかはそこから一歩も動かず、浄化の力を穂先に集め、敵の勢いを借りて横一文字にタクトを振った。
 ――――プリキュア、シャイニングクロススラッシュ。
 ――――バ……、バーイバーイ、ほわわわ、わーん……
 斬りつけられたデザトリアンは、胴を境に真っ二つに裂け、角柱型の結晶を残して砂へと還った。
 結晶を回収したコフレが飽きれ顔で言う。「また、またもそーゆー技ですか……。女の子なんだし、なんとかライダーじゃあるまいし、もっとこう、ソフトでキレイなものは出来ないんですか……?」
「しょーがないじゃん。あたしの力じゃふつーにやったって奴らは浄化出来ないんだし、むしろこの工夫を褒めてほしいくらいなんだけどぉ」
「そもそも! タクトは振り回して敵を斬るようなものじゃないですっ。浄化の力を放ってデザトリアンを消し去るためにあるんですっ!」
「勝ったんだから結果オーライっしょ。こころの花も無事だったんだしさー。変な髪のおばさんはいつのまにかいなくなったし。あとは頼むねコフレ」
 デザトリアンが消滅し、サソリーナがいなくなったことを見計らったマリンは、後処理をコフレに任せ、折れた右腕を押さえて苦しがっているつぼみの元へと駆け寄った。
「つぼみ、つぼみ……。大丈夫?」
「……ありがとうございました。そして、ごめんなさい」
「うん? どうして謝るのさ?」
「あなたのこと、全然信用してなくて……。何もせずプリキュアになれたあなたが羨ましくて、頼りたくもないと思って、その……」
 荒い息で弱々しくそう語るつぼみに対し、変身を解除したえりかは、にこやかに微笑んで言葉を返す。
「なぁんだ、そんなこと? いいんじゃない。間違ってはないしね」
「でも! あなたは私を助けてくれました! 」
「いや、だから。それはつぼみだから助けただけ、だってあたしたちは仲間……”友達”だし、ね?」
「分かりました! じゃあこうしましょう! 今後私は来海さんのサポートに回ります。二人で一人のプリキュアになるんです」
「えぇーっ? だからそれはもういいってのに」
「よくありません! 来海さんみたいな優しいこころの持ち主こそ、プリキュアに相応しいんです。そうです、そうに違いありません! 今回の件で身に染みました。私はプリキュアに相応しくないと!」
「えりか。”えりか”でいいよ。”来海さん”って呼ばれるのなんだかやぼったいし、あたしもつぼみって呼び捨てにしてるしさ。
 それにあたしに感謝してるっていうのなら……、一つ頼まれてほしいことがあるんだけど」
「何でも言ってください。私たちは二人で一人のプリキュアですからね」

◆◆◆

 それから数日後の朝。右手に当て木を当てて包帯を巻いた花咲つぼみは、『転入届』を持ってえりかの通う”明堂院学園”の職員室へと足を運び、彼女の担任の”鶴崎先生”に対して”抗議行動を”行っていた。
「花咲さん、だっけ? ……えぇっと、もう一度言ってもらえる?」
「わたしが! わたしがいけないんです! 来海さんが追試中だと知っていながら、”逢いたい”と呼び出してしまって……。彼女は悪くないんです!
 どうか、来海さんの数学の評価を下げないであげてください! なんなら私が代わりに来海さんの追試を受けます! 満点を取りますから! お願いします!」
「いや、それはダメでしょう……そもそもあなたは、えりかの何なの?」
「えりか……来海さんの”親友の”花咲つぼみです! 転入届だって持ってます! ですからなにとぞ、便宜を! 便宜を図ってはいただけないでしょうかッ」
「あぁ、分かった。分かったから……」
 転入届を持っている以上無下に断ることも出来ず、鶴崎先生はやむなくつぼみの願いを聞き入れる。
 複雑な面持ちで職員室から出てきたつぼみを、えりかはやや申し訳なさそうな顔をして出迎えた。
「ごっめんねぇー。つぼみを助けるために、追試中に友達から呼び出しかかっちゃったー。って言って出てきたからさー。追試の方よろしく」
「あは、はは。いいんですいいんです。えりかは私を助けてくれたんですし……えぇ、そうです。そうなんですっ」
 本当に彼女で大丈夫なのだろうか。自分のしたことは間違っているのではないか?
 つぼみは深いため息をつき、コフレ以上に渋い顔をして項垂《うなだ》れた。
 ちなみに、えりかの追試を肩代わりしたつぼみは公約通りに満点を取り、えりかの数学の評価一はなんとか取り下げられたのだという。


※※※

 キュアブロッサムが自称で、ただのコスプレってどういうことなの。
 本作において、えりかがつぼみにかけるものは友情だと思うけど、逆はなんか別のような気がする。そしてなんでこんなにぼろぼろになっているんだか。

 元々会話だけのやり取りだったので、描写を追加してもなおサクサク進みます。三話以降は「掲載を前提としたつくり」になるため、もう少し文章量が増えそうですが……。
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 ――――前回のあらすじ。 プリキュアになるべく幼い頃から心身共に鍛え上げ、その時を今か今かと待っていた少女・花咲つぼみ。 しかしプリキュアになってしまったのは、それらの事情を何も知らない上に、戦う気ゼロな女の子、来海えりかでした。
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