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「二次創作」
ぐうたら魔法少女伝説来海えりかちゃん

ぐうたら魔法少女伝説来海えりかちゃん #1

 ←ちびアーツ・キュアマリン レビュー →これからのこと
 以前小説家になろうで書いていたハートキャッチプリキュアの二次創作の再掲載版です。
 七割型書き直して殆どベツモノになっているので、初めての方でも楽しめるんじゃないかなーと。


 内容はいろいろとアレですが。

#1 プリキュア! あたし!?

 ――――わたし、花咲つぼみ! 砂漠の使徒と戦い、みんなの心の花を護る伝説の戦士プリキュアに憧れて、幼いころから鍛錬を続けてきた”普通”の中学二年生です!
 ――――今日は私の祖母であり、最強のプリキュア『キュアフラワー』だった薫子おばあちゃんから、とても大事な話があると聞き、鎌倉の実家から、遠路はるばるおばあちゃんの住む『希望ヶ丘』までやってきたのです。

「よく来たわねつぼみ。今日の鍛錬はもう済ませたかしら?」
「腹筋背筋腕立て伏せ百五十回二セット。ここまでもお父さんたちの車に頼らず、ランニングで来ました! ばっちりです」
「そう……。今日あなたをここに呼んだのは、かの力をあなたに受け継いで欲しいからなの」
「ということはつまり、わたしが……プリキュアに!?」
 ――――”プリキュア”。とってもかわいいお洋服を着て、こころの大樹を枯らさんとする巨悪『砂漠の使徒』と戦う伝説の戦士。
 子どものころからずっとずっと憧れてきたプリキュア。ついに、遂に、わたしも……!
「でも、なんで急に? 今まで”まだ早い”って言ってやらせてくれなかったのに」
「あなたも知っての通り、プリキュアと砂漠の使徒との戦いは数世紀前から世代を変えつつ続いているけど、未だに決着が着く気配がないの。私も寄る年波には勝てず、素質ある女の子にその座を譲ったわ」
「知っています。”キュアムーンライト”。月影ゆりさん……でしたよね」
 ――――月影ゆりさん。数年前までプリキュアとして砂漠の使途と華麗に戦った人物。すらりとした長身に、月光に輝き映える藤色の髪。女神様かと見紛う程に端麗な顔立ち。わたしの憧れです。
「えぇ。キュアムーンライトはそれはもう強かったわ。砂漠の使徒もこれで殲滅できるかもしれない、そう思っていたのだけれど……。
 彼女も今年で高校三年生。一流の大学に入学するための猛勉強のためにプリキュアの座を降りてしまったのよ」
「それで……私がプリキュアに? 」
「えぇ。明日の朝、あなたのパートナーとなる妖精がここに来る。小さな頃からずっと頑張ってきたあなたならきっと……、私やムーンライトよりも強いプリキュアにきっとなれる。信じてるわ」
「任せてください! 砂漠の使徒は私が倒して見せます! 」
 ――――不安はあるけど……それ以上に期待と使命の重さに胸がきゅうっと絞めつけられてしまいますっ。あぁあ、早く明日にならないかなあ。

◆◆◆

 あくる日の朝。希望ヶ丘の閑静な住宅街にて、イチゴジャムが塗られたトーストを咥えひた走る少女が一人。
 ウェーブのかかった青色のセミロングヘアが目を引く、小学生と見紛うほどに小柄な中学二年生、来海《くるみ》えりかだ。
「あぁ、もうっ。ちこくちこくー! なんでママももも姉も起こしてくれないのよォ」
 トーストを千切って口の中に押し込み、ただひたすらに駆け抜ける。時間は既に八時半近く、ホームルーム開始まで時間の猶予は殆どない。
 いっそのこと諦めてしまいたいところだが、学校は既に目視できる位置にあり、全力疾走さえすれば間に合う距離にあるから始末が悪い。
 えりかは布団の心地良さと、起こしてくれなかった母親や姉を呪いつつ、通り慣れた道を息を切らせて駆けて行く。
 そんな彼女を、空中を風船のようにふわふわと浮きながら追う一つの影があった。
「さぁーてと、プリキュアになるっていう女の子はどこですー? お寝坊しちゃったせいでそんな子は全然見当たらないですー……」
 白地の体に所々緑色のハートの模様があしらわれた謎の生物は、ひた走るえりかの肩をぽんと叩く。
 この小動物、名をコフレといい、こころの大樹から遣わされたプリキュアの力を与える妖精だ。本来なら彼の姉に当たる妖精のシプレが希望ヶ丘に派遣されるはずだったのだが、風邪を引いて倒れてしまったため、急遽彼が代理としてやって来たのである。

 何分急なことだった為、変身する少女の名前しか知らないコフレは、それだけを手掛かりに空を飛び回る。しかし時刻は八時半前。街の少女の殆どが登校しており、花咲つぼみを探すのも困難であった。
「……んん? あれはもしや……。待ってください、待ってほしいですー」
 そんなコフレの目に、学校目指してひた走る少女の姿が留まった。先の来海えりかだ。
 急いでいたので無視しようとするが、あまりのしつこさに無視し切れなくなり、あからさまに不機嫌そうな顔を作って振り返る。
「なぁに……って、うそっ! 何あれ何これ! ぬ、ぬぬ……ぬいぐるみがしゃべったっ!?」
「待っていたですっ。あなたが伝説の戦士”プリキュア”になるために修行を積んだ女の子ですねっ。 あぁ、おっしゃらなくても結構。そうです、そうに違いないのですっ!」
「ぷりきゅあ? なにそれ。チューリップの仲間かなにか?」
 コフレは致命的な「勘違い」に気付かず、えりかに返答の暇を与えずに話を続ける。
「ボクの名前は”コフレ”。細かいことは後で説明するですっ。とにかく、このココロパフュームを受け取るですっ! 今日からあなたにはプリティでキュアキュアな超戦士、プリキュアになってもらうですっ!」
「なんだかよくわからないけど……、さんきゅーねー。こーゆー香水欲しかったんだぁ」
 掌に収まるほどの大きさの香水を授けられ、素直に喜ぶえりか。これがプリキュアになるべく修業を重ねてきた少女なのかと疑問を抱くが、だからこそ器の大きい人物なのだと解釈し、うんうんと一人で頷いた。
 ――ベンキョーナンテイヤダー! モットモットアソンデタインダー! クール、クルクルー!
「んん? なんだろ、この悲鳴……」
「これは! もしや……」
 視線の外で人々の逃げ惑う声と、不気味な叫びがこだまする。どうしたんだと目をやると、車に手足をつけた数メートル程の怪物が、街を荒らし回っている。
「うわおぅ!? 何これ何あれ! 車のバケモンが街の人たちを襲ってんじゃん!」
「あれは……、こころの花を奪われ、何かと物体と融合させられた魔物”デザトリアン”ですっ。さあさっ、『ココロパフューム』を使ってプリキュアに変身するですっ」
 コフレは先の香水を指し、えりかに変身するよう促すが、当の本人は街を壊すデザトリアンの姿に怯え、体を震わせて立ち竦んでいる。
「いや……、いやいやっ! 無理でしょ無茶だよ冗談でしょ!? 勝てるわけないじゃん、あんなキワモノとどう戦えって言うのよ!」
「何を言ってるですっ! あの化け物はプリキュアにしか浄化できないんですっ。拳銃もロケットパンチもにゅーくりあうえぽんも、デザトリアンの前では無意味なんですっ!」
「ニュークリアウエポンってあんた、ずいぶん難しい言葉知ってるんだねぇー……、じゃなくて! そんな化け物、なおさらあたしにどうにかできるわけないっしょ! 悪いけど他を当たってよ他を」
「あぁもう! なんでもいいから変身するですっ!」
「ちょ!? ちょちょちょ……」
 えりかの弱腰な態度に痺れを切らし、コフレは彼女の手からパフュームを奪い、青色のこころの種をセットして、それをえりかの体に吹き付けた。
「うわお……おおっ、おおおおっ!?」
 体中目映い光に包まれて、えりかの姿が変わって行く。髪の毛は膝近くまで伸びて涼やかな水色に、頭頂部にはリボンのついた青色のティアラが、足には白いオーバーニーソックスの上に、可愛らしいショートブーツ。
 光が消え去る頃には、来海えりかの姿は花弁を象った絢爛なドレスを纏う、美少女戦士へと変わっていた。
「おぉおーっ! 何このチョーおしゃれな服! 可愛さ抜群超めちゃモテじゃん!」
「これが戦闘服ですっ! プリキュアになればそのメチャもて服を、いつでもどこでも着られるんですよ?」
「おっと、その手には乗らないよ。服は素敵でも絶対に戦わない、恐いし」
「ここまで来てまだそんなこと言うですか! いい加減諦めて戦うですっ!」
「いーやーだー、学校行くのがっこー」
「だーめーでーすー」
 嫌がるえりかの背中を押し、デザトリアンの所へ向かわせるコフレ。
 絶対に行くまいと必死に抵抗していたからか、たった今、ホームルーム開始を告げる学校のチャイムが鳴り響いたことなど、彼女には知る由も無かった。

◆◆◆

 コフレに文字通り後押しされたえりかは、一軒家の屋根を伝い、軽快に跳び跳ねて進む。最初こそ嫌々だったが、羽のように軽やかな自分の体に驚き、今は眼下に映る街を見下ろし、幼い子どものようにはしゃいでいた。
「うわっ、すっごー! これならさっこれならさっ、十五階建てのビルもひとっ跳びできるんじゃないのぉ?」
「もっちろん、プリキュアだから当然ですっ。ちなみにパンチは厚さ三メートルの鉄扉をぶち破り、最高速度は新幹線よりも早いです。早いのですっ」
「もうそれ人間じゃないねー。でも面白いよ! 大好き! 超サイコー!」
 人外の力の酔い痴れ、かの蜘蛛男のように空を跳ね行く。体が軽い、こんな気持ち生まれて始めて。もう何も恐くない。
 だが、そう思っていられたのも騒ぎの中心、デザトリアンが暴れ回る現場へと辿り着くまでだ。
 周辺の雑居ビルよりも一回り大きく、奇声を発して暴れ回るデザトリアンの姿を前に、先ほどまでの元気も忘れ、たじろいでしまう。
「近くで見ると……あぁデカっ、やっぱやめとこーよぉ。勝てっこないって」
「弱気になっちゃダメです! パンチにキック、投げ技絞め技で弱らせて、敵が抵抗できなくなったところを必殺技でキメれば、どんな相手にだって負けない筈ですっ!」
「そんな滅茶苦茶な……。ってかあんた、見た目に寄らずえげつないねー」
「何か言ったですか?」
「別にィ。分かったよ、あぁもう、やりゃいいんでしょやれば!」
 半ば諦めたように溜め息をつき、背後から車のデザトリアンに飛びかかって、自慢の拳を奴に見舞う。パンチ一発で車体に浅い凹みが生まれた。コフレの言うことはあながち間違いでもないらしい。
「よっしゃよっしゃ、バンバンいくよバンバーン!」
 これに味を占めたえりかは、起き上がろうとするデザトリアンに怒濤のラッシュを与え、よろめいた所に青色のエネルギー弾を叩き込む。
 そこで生じた土煙に紛れ、虚を突いて放たれた蹴りを、十字に組んだ腕で凌ぎ、その反動を利用しての飛び蹴りで、相手の動きを完全に止めた。
「よぉし、だいぶ弱ってきた。それで、この後はどうするの? モンスターボールでも投げる?」
「いいや、今こそ超・必殺技の出番ですっ! ”集まれ、花のパワー”と叫んで”フラワータクト”を取り出すですっ!」
「なんだかよく分からないけど……、集まれ花のパワー! フラワー、タクトッ」
 コフレの言葉に応じ、ハートをあしらった胸のリボンの前に手を当てる。瞬間、派手な指揮棒のようなものがひとりでに現れ、彼女の掌に収まった。
「そう! さぁ大一番、びしっと決めるですよー! タクトに気合いと力を込めて、浄化のエネルギーをデザトリアンに叩き込んでください!」
「りょーかい。えぇっ……と、こう!?」
 タクトの穂先に光が集まり、青く輝く光球となる。運動会の大玉転がしくらいの大きさになったところでそれを放ち、弱ったデザトリアンに叩き込む。
 叩き込んだのは良いのだが……。
 ――ぼふん。
 光球はデザトリアンと接触した瞬間、凹凸の激しい車体に弾かれ、逆にえりかたちを吹き飛ばした。完全に虚を突かれた二人は、体の痛みも忘れ、何があったんだと目を白黒させる。
「どうなってんの、どういう訳よ、どういうことよ! なんで攻撃したあたしたちの方が吹っ飛ばされちゃってんのよ!?」
「考えられる理由はただ一つ。けど……」
 この子はプリキュアになるべく鍛練を重ねてきた少女だ。なのに軽々しく『プリキュアとしての資質不足』と言って良いものか。困惑するえりかを前にコフレは悩む。
 しかし悩んでばかりもいられない。二人が目を離しているうちに、弱っていたデザトリアンが起き上がり、両の掌を天に掲げだしたのだ。
「なにあれ……、お祈り?」
「お祈りなんかじゃないです!」コフレが戦慄いた様子で続ける。「あれはデザトリアンの最期。こころの花を枯らしたデザトリアンは、そうして溜まった負のエネルギーを両手に集め、それを放出して消滅するんです」
「なァんだ。ほっといても消えるんなら、あたしなんか必要ないじゃん。心配して損したァ」
「まだ続きがあるですっ! 放出された負のエネルギーは、空高く飛んで街に降り注ぎます。そうしたらどうなると思いますか? 半径十数メートル圏内にあるものが、何もかもぜぇーんぶ、砂漠に変えられちゃうんですよ!?
 人の心から夢や希望が失われ、二度と立ち上がることが出来なくなってしまうんです! エネルギーを飛ばされる前に何とかしないと、街もみんなも大大、大ピンチなんですッ!」
「……何それ。マジ?」
「こんなところで冗談言って何になるんですか! あぁ、こうしている間にも、奴の掌にエネルギーがぁあわわわわ」
 コフレの言うことが本当だとすれば、自分だって無事では済まされない。未だ何一つ夢を叶えちゃいないのに、叶える前から干からびてはしようがない。
 先の光球技で戦う力はいきなり限界だ。こんな状態で何が出来ると言うのか。否、こんな状態だからこそ、やれることがある。
 えりかは再びタクトの穂先にエネルギーを集め、デザトリアンに向かって駆け出した。
「どど、どうするつもりなんですか!?」
「昔の諺《ことわざ》にもあるっしょ? 押してダメなら引いてみなって。つまりさぁ……、『撃ってダメなら、斬ってみな』ってことッ! くらえぇぇぇっ!」
 ――フラワータクト! 真っ向勝負斬りッ!

 浄化に用いるべき力をタクトの穂先に集中させて斬れ味を高め、そのままデザトリアンを真正面から叩き斬る。これにはデザトリアンではなく、必殺技を撃てと言ったコフレ当人が声を上げた。
「ほわちゃー!? なんてことするですぅ! こころの花がッ、こころの花がぁあ」
「うるさいなあ、倒せたからいいじゃん、倒せたんだから。そもそも『こころの花』って何よ。造花か何か? あたしそーゆーの詳しくないんだけどぉ」
 驚き叫ぶコフレの声に応じ、頭から股の先まで真っ二つに割れたデザトリアンを見降ろす。
 よく見ると怪物の胸の部分に”中に花が綴じ込められた”角柱型の結晶のようなものが埋まっている。
「これが……こころの花?」
「そう! 人間ひとりひとりに咲いている聖なる花ですっ。これと人が分離されるとその人は一生水晶玉の中から出られなくなってしまうんですっ! なんてことをするですか!」
 花の知識の乏しいえりかにはそれが何だが分からないのだが、コフレの慌てようと、近くに転がっている紫色の水晶玉を見込んだことで、その話が事実であると認識。
「え……」事態の重大さをようやく飲み込めたえりかは、目を見開き冷や汗をだらだらと流してコフレに詰め寄った。
「マジっ!? なんでそういうことを早く説明しないのよ!」
「こんな親の敵みたいにデザトリアンをぶった斬るプリキュアなんて予想できるわけないですっ! 非常識にも程があるですっ!」
「そんなぁ……。あわわわどうしよお、あたしこの歳で犯罪者になっちゃうよぉ……」
 困惑し切ったえりかはデザトリアンの体中から、件の結晶を引き抜いてまじまじと見つめる。
 雑居ビルよりも大きいデザトリアンだったものの骸《むくろ》は、それを引き抜いた瞬間に支えをなくし、砂のようなものに変わって消えて行った。
「あ……、でも割と平気みたいだね。むしろなんかテカテカしてる」
「ひえっ!? よ、よかったぁ……寿命がちょこっと縮んだですぅ……」
 幸か不幸か結晶には傷一つついておらず、中の花も無事であった。二人は安堵のため息を漏らし額の汗を拭った。
「さてと。後はボクがやるから君はそこで待ってるですっ」
「何? まだ何かあるの? プリキュアのお仕事」
「この花を奪われた人の体に返すんですっ。これを戻すまでがプリキュアの仕事なんですっ」
「あー、ずーるーいー。人にはあんな真似させといて、自分だけ美味しいところ持ってこうってわけー? あたしにやらせなーさーいーよー」
「君にやらせる方が不安ですっ。大人しくしーてーるでーすーっ」
 自分にやらせろと詰め寄るマリンを引き剥がし、その場に転がる水晶玉に角柱型の結晶の先を合わせるコフレ。
 結晶と水晶玉は暖かな光を発して重なり、小学校低学年ぐらいの少年へとその姿を変えた。
「うっそー、この子があの化け物だったの? っていうかすごいねそれー、どんなトリックなの?」
「そういうチャチなものじゃあ断じてないですっ。さぁてと、今度は……あっ」
「どうしたの? 持病の便秘の再発ー? あれ苦しいよねー。電車の中とかでなっちゃうとチョー最悪でさー」
 こころの花を持ち主に戻した瞬間、お腹を押さえてぷるぷると震え出したコフレ。
 何の前触れもなしに起こったために、マリンはどうしたのかとコフレの体を大袈裟に揺する。
「違うですっ! 似てるけどまったくの別物ですっ! こころの、”こころの種”が産まれそうです……っ。ぷりぷりっ、ぷりりりーん!」
 マリンの手を払い、尻を上に突き出して震えるコフレ。程無くして彼のお尻から、”青色に輝く種”のようなものが飛び出した、のだが。
「おぉおっ!? 何公衆の面前で出してるのよっ、ばっちいっ! ティッシュにつまんでぽいっ」
「ぎぇえええええっ! 大事な大事なこころの種になんてことを!」
 尻から出てきたというイメージの悪さから、えりかは排出された種を親指と人差し指でつまみ、ウェットティッシュに包んでゴミ箱に放り込む。
 これがプリキュアのやることかと、コフレはゴミ箱に落ちたこころの種をすぐさま拾い上げ、鬼のような形相でえりかの襟首を掴んで激しく振った。
「なんてことを! なんてことを! なんてことををを!」
「落ち着いてよ。種っていうかこれどうみても固形の何かか、体に悪そうな結石じゃない」
「これはこころの大樹を元気にする肥……栄養が一杯つまったありがたいものなんですっ! うかつに扱うとボクが許さないですっ」
「なんだ、やっぱり肥料なんじゃん。ってかさ、あんたそうやって自分で簡易用トイレ持ってるんだったらそこで座ってしなさいよぉ」
「これはトイレじゃなくて”ココロポット”! 集めたこころの種を収納するボックスですっ。 っいうかトイレトイレって言わないでほしいですっ! ココロポッドのイメージが悪くなってしまうですっ」
 えりかのハチャメチャな態度と言動に堪忍袋の緒を切って当たり散らすコフレ。
 そして同時に彼は思う。プリキュアになるための修行を重ねた人間が、何故こうも物を知らないのかと。いくら達観した人物とはいえ、さすがにこれはおかしいのではないかと。
「っていうか、なんでそんな初歩的なことも知らないんですっ。プリキュアになるために小さい頃から鍛錬を積んだ期待の新星じゃないんですか? つぼみ」
 その不自然さに疑問を持ち、少女の名を呼んで答えを求めるコフレ。しかし、”えりか”から返ってきた言葉は、コフレの想像の斜め上を行くものであった。
「”つぼみ”? 鍛錬? アンタさっきから何言ってんの。勝手に言い寄ってきたくせに。っていうか、結局プリキュアって何よ。敵もやっつけたんだし、いい加減説明してくれてもいいんじゃない」
「えっ、ちょ、えっ……」不思議なくらい話が噛み合わない。まさかと思い、コフレは恐る恐る言葉を続ける。「ええと……あなたのお名前は?」
「あたし? あたしはえりか、来海えりか。ファッションに興味がある十四歳。よろしくねー」
「えっ……えぇぇぇぇっ!?」彼が花咲薫子《キュアフラワー》から聞かされていた少女の名は”花咲つぼみ”。しかし、実際に種とパフュームを渡し、プリキュアとなったのは”来海えりか”という、何の関係もない少女だった。
 コフレは自分の犯した過ちに気付き、壁に何度も頭をぶつける。
「そんな……そんなッ! あぁあ、ボクはなんてことをしてしまったですっ。全く関係のない人を巻き込んでプリキュアにしてしまうなんて! 取り返しのつかないことを……ボクは、ボクはっ!」
 コフレの尋常ではない怯え様に罪悪感を覚えたのか、えりかは変身を解除して元の姿に戻り、ココロパフュームを彼に返す。
「なんだかよく分からないけど、その子に返してあげたら? 未練が無いって言ったら嘘になるけど、あたしはそれなりに楽しんだし」
「出来ることならそうしたいですが、それはもう無理ですっ。その力もあの衣装も……、君のものとして固定されてしまい、その子に与えることは不可能なのです」
「ふぅん……。あんたも大変なんだねー」
「そう、大変なのです! だから!」
「だから?」
「君がその子、花咲つぼみの代わりにプリキュアとして砂漠の使徒をやっつけるですっ!」
「はァ!? 無理……、無理無理無理ぃ!出来っこないって!」
「さっきだって、なんだかんだでデザトリアンを退治してたじゃないですか。きっと大丈夫ですよっ」
「いいよ、もう十分! あたしはもういいから、その花咲くなんとかちゃんに任せなって」
「そうはイカのなんとかですっ。えりか、これから辛いことも一杯あると思いますが、力を合わせて二人で頑張って乗り越えるですよ! よろしくお願いするですっ」
「い−やーだー! よろしくしたくないー! めんどくーさーいーのーっ!」
「逃がさないですぅうううう」
 そんな使命を背負うのは御免だと逃げるえりかに、こうなったら観念しろと必死に追いすがるコフレ。
 前途は多難で、本来プリキュアになる筈のつぼみへの弁解もまだだが、兎も角伝説の戦士プリキュアとなった来海えりかの戦いは、今この瞬間に始まったのである。


※※※


 本小説は元々、Twitter上で仲の良い友人用に書いた、ほぼ台詞だけのしょうもないやりとりでした。それがどうして掲載に踏み切ったのか、今ではよく覚えていません。

 掲載にあたって情景描写その他を書き加え、ついでに「デザトリアンが暴れると、何故世界は砂漠化するのか?」ということについて、自分なりに創作した理由を書き加えておきました。
 なんというか、本編を見ている分にはその辺の理由がわからなかったので。

 サブタイトルあたりからわかるかと思いますが、本作は「プリキュアで”超光戦士シャンゼリオン”をやろう」みたいなコンセプトがあり、事実台詞なんかもシャンゼリオンっぽい部分が多く含まれているのですが、小説としての体裁を整えていったらいつの間にか薄くなって行きました。これでいいのか悪いのか。
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