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 ←何もかも唐突ですんません →Journey through the Decade Re-mix 第二話 「超 絶」 B-part
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「Journey through the Decade Re-mix」
Journey through the Decade Re-mix(1)

Journey through the Decade Re-mix 第二話 「超 絶」 A-part

 ←何もかも唐突ですんません →Journey through the Decade Re-mix 第二話 「超 絶」 B-part
 仮面ライダークウガ。
 平成12年一月から翌年一月末まで放送されていた平成ライダー作品記念すべき第一作。

 警察と協力し敵怪人を追い詰める仮面ライダー。
 身近な恐怖を巧みに演出するリアリティ。
 相手に合わせ、多数のフォームを用いて戦うクウガの殺陣の魅力。
 子どもの頃にリアルタイムで視聴し、今でも大好きな特撮作品の一つです。

 掲載当初は「ディケイドという作品を、分かりやすく噛み砕いて記す」というくらいにしか考えていなかったため、本作と原作との差異は微妙なものでした。
 今回こうして書き直すこととなった為、これ以降の設定を踏まえつつ、色々と変更点を加えました。
 余計な改変になっていなければ良いのですが……。


◆◆◆

 二見町の二番倉庫。工業用の資材を一時保管する大型倉庫群だ。
 普段は閑散としたこの場所に、数台のパトカーが集まってサイレンを鳴らす。

「ゴラゲサ、ビジョグザバギ。 ビゲゾ……、リント!」
「撃て、撃てーッ!」
「ヒョウ」を模した人型の怪物を十数人の警察官が取り囲み、パトカーで進路を塞ぐ。
 うち何人かが怪物に向かって発砲したが、暖簾《のれん》に腕押し、柳に風。全く意に介していない。

 包囲を抜けようと、怪物は発砲した警官を掴んで放り投げ、パトカーを凄まじい怪力で横転させる。
 拳銃や車程度では、この怪物たちを止められないようだ。

 命懸けで怪物を押し留める警官隊の背後で、何者かに向かって無線連絡を行う女性警官がいた。
 無線は、警察が包囲している倉庫付近でバイクを走らす一人の青年へと繋がった。

 ――未確認生命体七号確認。”ユウスケ”、聞こえる?
 ――あぁ、ばっちり聞こえてるぜ”あねさん”。
「こちらの包囲はもうもたないわ。急いで」
「任しとけって。だからさぁ、この後、一緒に食事に行かねぇか?」
「今そんな話をしている場合じゃないでしょ。急ぎなさいユウ――」
「……あねさん?」
 無線先の声が突然途絶えた。無線の奥で猛々しい唸り声が響いている。青年は”あねさん”が怪物に襲われたのだと瞬時に認識した。
 事件現場が見えた。一人の女性が怪物に首を掴まれている。包囲を突破し、その中継点にいた彼女を襲ったのであろう。

「くぅ……離れなさい、化け物ッ!」
 銃口を怪物の腹部に押し当てて引き金を引くが、効果はない。しかも奴は彼女を盾に少しずつ後ろに下がり始めている。
 包囲に当たっていた警官たちも、これでは手の出しようがない。
「野郎……ッ、あねさんを離せッ!!」
 青年は怒りに全身を震わせた。彼の腕に、足に、体中に力が満ち満ちていく。
 バイクを走らせたまま一瞬両手を離し、離した手を腹部で構える。彼の腹部から”赤く輝く石”が飛び出したかと思うと、その周囲を取り囲む”ベルト”のようなものが生成された。
 彼は生成されたベルトの腰付近の突起物を裏手で押し当て、叫ぶ。
 ———変身ッ!!
 彼の叫びに呼応し、眩く輝く赤き霊石「アマダム」によって、青年の胴体が、腕が、顔が、異形の「何か」に姿を変える。
 猛る心を赤き瞳に宿した超古代の戦士。「仮面ライダークウガ」だ。

 バイクから飛び降り、その勢いを借りて怪物に飛び蹴りを見舞うクウガ。
 怪物は地に伏し、”あねさん”も地面に倒れこんだが、怪我はない。
「ゲゲルボジャラゾグスバ、クウガ!」
「なんだかよく分からねぇが、あねさんに手ぇ出しといて、ただで済むと思うなよ!」
 起き上がろうとする怪物の首根を掴み、頬を殴りつける。反撃が飛んだが、それを軽くいなし、カウンターを逆の頬に叩き込む。怪物は再び包囲網の中に押し戻された。

「”四号”だ! 四号が出たぞ!」
 これに驚いたのは包囲していた警官たちだ。彼らはクウガに敵意と銃口を向けて威嚇する。
 ――”四号”。この世界における「クウガ」の俗称である。
 正体不明の異形の戦士は、人を護るため同族の怪物と戦っていても、傍目にはその「同族の怪物」と同じ扱いでしかないのだ。
「待って……待ってください!」そんな警官達の威嚇を解こうと、”あねさん”は起き上がり、声を上げる。「四号が我々に味方しているのは明らかです。彼らに手を出して余計な犠牲を出すよりも、今のうちに負傷者の救護をお願いします」
 あねさん――八代刑事の言葉に皆押し黙り、銃口を収める。警察官として、一般市民を護るという職務を背負っていても、皆、未確認生命体が怖くてたまらないのだ。
「私は四号の援護に回ります。杉田警部。今のうちに負傷者の救護を」
 八代刑事は負傷者の警護を他の警官に任せ、倉庫の奥へと向かっていった。


「無線のあった倉庫ってのは……この辺、か」
 門矢《かどや》 士《つかさ》は、この『クウガの世界』ですべきことを探し、無線にあった「二見町の倉庫」へと足を運んでいた。
 常用バイク『マシンディケイダー』は、栗色の髪の青年との一件でどこかに置き忘れた為、今は徒歩、ではなく家の前に偶然停められていた自転車に乗っている。
 パトカーが一台横転しており、倉庫の奥から響く不気味な音。地面が所々陥没し、その上付いて間もない血の痕だ。何がない方がおかしい。
「なるほど。もうおっぱじまってる、ってことか」
 士は自転車のギアを変え、『血の痕が続く方向』に向かい軽快に走りだした。


 クウガと未確認生命体は、別の倉庫の中へと戦いの場所を移していた。攻撃が効いているのか、未確認は肩で息をし、ややふらついている。
 だが不思議なことに、クウガはそれ以上攻撃を与えられずに手を焼いていた。
 それもその筈。「ヒョウ」のような未確認は目に止まらぬ速さで地を駆け、決して反撃の隙を与えようとしなかったからだ。
 力比べなら確実にクウガの方が上だ。だが、圧倒的な力も当たらなければ何の意味もないのである。
未確認に突き飛ばされ、尻餅をつくクウガ。
 敵を捉えきれないことに苛立ち、舌打ちを一つするも、何も変わらない。

「何やってるのユウスケ! ”赤”でダメなら”青の力”でなんとかしなさい」
「解ってる分かってる。今やろうとしてたとこだって」
 八代刑事が援護に駆け付け、押され気味のクウガを叱りつける。
 これ以上怒られては堪らないと、起き上がってバックル右腰の出っ張りを押し込んだ。
 ――”超”変身ッ!
 その言葉と共に、クウガの体表が青く変異し、複眼の色が涼やかな水色に染まる。
 ”水”を司る戦士、クウガ・『ドラゴンフォーム』だ。
 青のクウガは、今までなすがままだった敵の動きを見切り、すれ違い様に自身の拳を未確認の腹に突き入れる。クウガの拳は未確認の鳩尾を的確に捉えたが、体勢を崩してよろけただけで、全く意に介していない。
 このままではじり貧だ。クウガは足元に落ちていた鉄パイプを拾い、念を込める。
 瞬間、鉄パイプは青色の輝きと共に『青き棒状の武器』へと形を変えた。

『青のクウガ』は赤の力、『マイティフォーム』に比べ、跳躍力と敏捷性が増すものの、腕力が大幅に低下する素早さ重視の形態である。
 故に、徒手空拳主体の戦いでは、敵に決定的な一撃を与えることが出来ないのだ。
 その短所を補うのが、クウガの手から発せられる「モーフィングパワー」にて、”長きもの”から再構成された棒状の武器、「ドラゴンロッド」だ。
 青のクウガは敏捷性と同時に、「棒術」にも特化したフォームなのである。
 ドラゴンロッドを手にしたクウガは、俊敏に動く未確認の急所を的確に捉え、正確かつ素早く突いて行く。未確認の動きが止まり、体が”く”の字に折れた。
「こいつで、どうだッ!」
「ギジャザ! ギビダブバギ、ギビダブバギ! ゴボゼ、クウガアァァァア!」
 くの字に折れただけではない。
 腹部、いや臍の周りを覆う「バックル」を両手で押さえ、苦しがっている。
 バックルが開き、ヒビが入った。亀裂は体中に伝播し、ヒョウを模したかのような人型の怪人は叫び声を上げて吹き飛んだ。

 しかし戦いはまだ終わらない。倉庫の天井に備え付けられた窓を突き破り、「ハチ」を模した未確認生命体がクウガを襲って来たのだ。
 ハチのような姿の未確認は、ドラゴンロッドが届かない距離を保ち、口から針のようなものを飛ばしてクウガを襲う。針の刺さった床がどろどろに溶けて行く。これを喰らうわけには行かない。
 いくら”ドラゴンフォーム”が俊敏性と棒術に優れていると言えど、ロッドが届かない距離からの攻撃となると、針を弾いての防戦一方になってしまう。
 しかし、それは相手も同じだ。針がすべて弾かれ、攻め手がないと悟った未確認は、突き破った窓を通り、尻尾を巻いて逃げ出した。
「野郎、同じこと考えてやがったか! 待ちやがれ!」
「ユウスケ、”緑の力”よ! これ、使いなさい」
「オッケェ、分かったよあねさん」
 八代はクウガに”緑”の力を使うよう促し、自身の拳銃を彼に投げて寄越す。先のいざこざで弾を使い尽くし、発砲できない張り子の虎だ。
 だが、クウガはそれを大事そうに握り締め、未確認が開けた穴を通り、倉庫の屋根まで飛び上がる。
 屋根までは軽く20m近くの距離があったが、優れた跳躍力を持つドラゴンフォームなら何の造作もない。
 しかし相手も素早い。クウガが屋根に飛び移った時には、既に姿がはっきりしないほど小さくなっていた。
 ――超変身ッ!!
 拳銃を未確認の方に向け、再びその言葉を口にする。
 今まで真っ青だった体表が”緑色”に変化し、手にした拳銃は片手持ちの弓矢「ペガサスボウガン」へと形を変えた。風を司る緑の戦士、クウガ・『ペガサスフォーム』だ。
 クウガは目一杯弦を引いて狙いを定め、逃げる未確認《ひょうてき》に向けて矢を放つ。
 矢は正確に未確認のバックルを撃ち貫き、ハチの異形は叫び声を上げる暇すらなく粉々に砕け散った。

 視覚・聴覚が驚異的に研ぎ澄まされる緑のクウガ・ペガサスフォーム。
 今の彼にとっては、豆粒ほどに見えたあの未確認も、『目の前にいる』かのように見えていたことだろう。それほど感覚が鋭く変質しているのだ。
 クウガは未確認を倒したことを確認すると、倉庫の屋根から飛び降り、変身を解いたうえで八代の元へと向かった。

「よっ……と。あねさん、いつもどーも」
「お疲れ様。怪我はない?」
「大丈夫大丈夫。俺があんな三下相手に負けるわけないっしょ。楽勝楽勝」
 得意げなユウスケに対し、八代は厳しい目付きと口調で彼を諌める。「……七号、八号を続けて殲滅し、被害を最小限度に留めた。でも”犠牲者”が出てるのよ。あまり浮かれないで頂戴」
「犠牲者……、だって?」ユウスケの顔が幾らか強張る。
「えぇ。あなたが上でもう一体を撃ち落としている時に確認したわ。
 死因は針内部の”毒素”が、心臓に達しての心停止。遺体から”全く血が流れていない”ところからすると、あなたに向けて撃ったものより、更に細い針を使ったと見て間違いないわね」
「ってことは、七号はハナっから囮。俺や警察の目を引きつけ、もう一体……八号の野郎が、連れ込んだ女性警官を殺害したってことか?」
「そういうことね。何が目的でこんな手の込んだことを」
「謎は深まるばかりだな……、だーかーらー」
「何」
「どこかでお茶でも飲みながら一緒に今後の対策を考えようぜ。俺、いい喫茶店知ってるからさ。あねさんに損はさせないって。な? な!」
 先程の八代の忠告を聞いていたのかいないのか、浮ついた顔で八代をお茶に誘うユウスケ。
 八代はそんなユウスケを見て溜息を一つつくと、彼に背を向け言葉を返す。
「今はゆっくり休みなさい。あなたの変身に関しては、まだ解らないことだらけなの。いざって時に働けなきゃ、目も当てられないでしょう」
「……はぁい」
 取り付く島もなく誘いを断られユウスケは、舌打ちをし、借りてきた子犬のように項垂れる。
 そんな二人のやり取りを、いや先ほどまでのクウガの戦闘を、門矢士は廃工場の真下で、トイカメラのシャッターを切りつつ眺めていた。
「――仮面ライダークウガ。状況に合わせてフォームチェンジ。周囲の物体を武器に出来る……か。よく出来ていやがる」
 相手に合わせ、的確にフォームを変えながら戦うクウガの戦闘スタイルに、珍しく素直に関心している。そんな士を呼び止める者がいた。八代刑事に誘いを断られ、不機嫌なことこの上ない青年、小野寺《おのでら》ユウスケその人だ。
「お前。警官は退避してろって言われてただろう。なんでこんなところにいる」
「俺がここにいたいと思ったからここにいる。それだけのことだ」
「答えになってねぇ。さてはお前、警官の格好を真似ただけのコスプレか?」
「まぁ、だいたいあってるな。それに俺はもう帰る。もういいだろ」
「よくねぇ……って、おい、ちょっと待てよ、こら!」
「うるさいやつだな。”あねさん”に言われた通り大人しくしてろよ『四号』君」

 話をするのが面倒になったのか、士は会話を適当に切り上げて自転車に跨り、写真館に戻る。
 だが、ユウスケの方は黙っていられない。”クウガ”のことを知っている、いや先ほどまでの会話を聞いたやつがいる。何をしようとしているのか全く読めないが、放っておいては八代から大目玉だ。
 ユウスケは先の戦いで横倒し、路上に放置していた自分のバイク、”トライチェイサー2009“に飛び乗り、士の後を追っていった。

◆◆◆

「ここは本当に”別の世界”なんでしょうか?」
「どうだろうねぇ。んん、おい夏海。テレビ見てごらん、テレビ」
 夏海と栄次郎は自分たちを取り巻く世界の様相の変容に対し、驚きを隠せないでいた。
 謎の怪物に人間が次々と殺害され。それが毎日のようにニュースで報じられるような世界。テレビや漫画、小説でならよくある光景だが、実際にこの目で見るようになるなど、彼女たちは思っても見なかった。

 ――ここに逃げ込もうってか、そうはいかねぇぞ。
 ――言っとくけどな、ここの”マスター”は俺の古い付き合いなんだぜ。匿ってもらえるなんて思わないことだ。
 ――奇遇だな。ここの”館長”とは俺も知り合いでね。コーヒーぐらいは出してもらえるよう頼んでやるよ。そいつを飲んだらとっとと帰れ、未確認モドキ。
 玄関の方から仰々しい物音と、それ以上に大きな言い争いの声が聞こえてきた。
 フィルムの現像のために帰ってきた士と、彼を追ってきた小野寺ユウスケだ。
「おぉ、あの声は士君だね。もう帰ってきたか」
「なんだか……ずいぶんと騒々しいですけど」

 普段の調子で入ったユウスケは、変わり果てた店の内装に唖然とした。「おぉわっ!? な、なんだ! どうなってる! ここは喫茶店……、俺の馴染みのマスターがやってる喫茶店だった筈なのに!」
「何故そう驚いているのかは知らんが、ここは『光写真館』だ。喫茶店じゃあない」
「そんな馬鹿な、昨日まで普通にマスターがコーヒーやカレーを作ってたってのに」
 見知った場所が、全く別のものに変容している様に、ユウスケは驚きを隠せない。
 それと同時に士は、「世界を旅するとはこういうことか」と、勝手に納得していた。
「おぉ、さすがは士君だね。もう友達を連れてきたのかい」
 士は「友達じゃねぇ」と首を振る。「公務員に付きまとう不審者だ。署に連行してしょっぴいてやる」
「何が公務員だ。どう考えてもしょっ引かれるべきなのはお前だろ!」
「なんだと?」
「なにおう!」
「二人ともうるさい! 光家秘伝……『笑いのツボ』!」
 どうも剃りが合わないこの二人。館内に一触即発の雰囲気が漂う。
 不可思議なことが続いて苛立ちが募っていた夏海は、ガラの悪い青年二人に物怖じせず、彼らの首に『笑いのツボ』を押し込んだ。
 館内に漂っていた険悪な雰囲気は消え去り、代わりにいい歳をした男たちの不気味な笑い声が響く。

 それから数分後。落ち着きを取り戻した二人の男は、椅子に座り込み、栄次郎の淹れたコーヒーを飲んでいた。
「あ……、本当にうまい。おやっさん…マスターのよりうまいかもしんねぇ」
「だろう? コーヒーにはね、ちょっと自信があってね」

「そういえば士君、その警察官みたいな恰好はなんです?」
「なんですもなにも、こういうものだろ。『巡査・門矢 士』。”この世界”で俺に与えられた”役割”らしい」
怪訝そうな顔で夏海が問う。「役割……。なんでそんなものが」
「あのいけ好かない栗髪の男は、俺に世界を救えだ何だと言っていた。それに則した、いいや、適した役割が与えられるんだろ。奴らなりの配慮なんじゃないか?」
 士は夏海の持っていた新聞を奪い取り、斜め読みしつつ更に続ける。
「未確認生命体。この世界の学者が”グロンギ”と呼んでいる古代の生命体だな。そいつらと、”未確認生命体第四号”だっけか? ……この世界の『仮面ライダー』がそれと戦っている。
 そんな世界で警官なんていう役割が割り振られたんだ。つまり、俺に『グロンギと対決してみろ』ってことだろ」
「いや、確かにそうですけど。あまりにも安着じゃないですか?」
「そうは言うがな夏ミカン。他に何か手掛かりでもあるのか? あるなら言ってみろよ」
「ありません」

「”仮面らいだぁ”? ”やくわり”? ”世界を救う”? なぁじいさん。あいつら、何を言ってるんだ。気でも触れたのか?」
「私が分かれば苦労はないさ」

 士と夏海の語る自分の全く知り得ない単語の羅列にユウスケは戸惑い、口を挟めないでいた。当然と言えば当然、であるのだが。
 そんなユウスケの様子を見、栄次郎もまた不思議そうに首を傾げる。

 ――緊急通報。
 ――警邏《けいら》中のパトカーが、先ほどまでとは別種の未確認と遭遇した模様。
 ――繰り返す、警邏中のパトカーが――

 士が肩にかけていた無線が警視庁からの電波を受信し、新たな未確認生命体の出現を伝えた。写真館内に緊張が走る。

「噂をすれば影、だな。ちょっくら遊んで来るかね」
 自分の役割を果たすべく、未確認の現れた場所に向かおうとする士。
 しかし、写真館出口の扉に手をかけた彼を、額に皺を寄せたユウスケが呼び止めた。
「お前が何者だか知らないが、警察の……いや”俺”の邪魔をするな」
「何故お前の了解を取らなきゃいけないんだ? 『捜査』の邪魔だ、どけよ」
「そりゃこっちの台詞だって……、あ、あ、あ……もう!」
 ユウスケは士の右肩を掴み、頬に一発入れかけたが、ポケットの中で震える、飾り気のない携帯電話によって阻止された。
 右手でジャンパーのポケットを探り、もう片方の手で士の肩を掴んだまま、電話を耳に押し当てる。

「もしもし!? ……あぁ、あねさん、か」

 ――ユウスケ、未確認第九号が出たわ。
 ――灯溶山《ひときやま》の三池トンネル内よ、急いで!

 電話の主は八代だった。電話口からけたたましいサイレンが聞こえるあたり、無線が入るよりも前から現場に向かっていたのだろう。
 他ならぬ八代の要請だ。受けないわけにはいかない。だが、この狼藉者だって放っては置けない。思い悩むユウスケに対し、士は彼の手を軽く払い、挑発的な口調で捲し立てる。

「おぉおぉ。未確認様のお出ましか。あねさんの命令だぜ。俺なんかに構っている場合じゃないんじゃないか?」
 ――ユウスケ? ユウスケ! 返事をしなさい! 何をしてるの!
 この男に馬鹿にされるのは癇に障る。だが、彼の言うことは尤もだ。ユウスケは鋭い目つきで士を睨みつけ、
「聞こえてるよ、すぐに向かう。バイクに位置情報を転送してくれ」と言って電話を切り、扉の前に立つ士を押しのけて、写真館を出て行った。

「まったく、乱暴なやつだな。あれで本当に仮面ライダーか?」
「士君が言えた義理ですか。それはそうと、どうするんです?」
「決まってんだろ、俺も行く」

 ――ATTACK RIDE 「MACHINE DECADER」

 士はディケイドライバーを腹部に押し当て、”マシンディケイダー”のカードを装填。
 警察官に支給される自転車は、彼の常用バイクへと姿を変えた。

◆◆◆

 灯溶山《ひときやま》の三池トンネル。
 山を抜けて県外からこの街に人がやってくる際に利用される、300mほどの短いトンネルだ。

 利用率が低く、閑散としている筈の夕暮れ時。女性警官の絹を裂くような悲鳴が、人の通らぬトンネル内で無情に反響していた。

「あぁあ……。みっちゃん……みっちゃん!」
「ボセゼ、ガドジドシザ」

 パトカーに乗車していたのは二人の女性警官。未確認との関わりが少ない交通課の職員である。
 しかし、うち一人は既に息が無い。未確認によって『首をあらぬ方向に曲げられた』からだ。
 彼女たちの眼前に立つ『牛のような顔をした』怪物の仕業であることは明白だ。助手席の女性警官は、次は我が身かと、全身を震わせ縮こまる。

 だが、牛の未確認はここで不可解な行動を取った。残された彼女に背を向け、満足げにトンネルから出て行ってしまったのだ。殺害の対象はまだもう一人残っているというのに、何故なのだろう。

「よぉ、一仕事終えて帰ろうってか。俺とも遊んでいけよ」
 未確認の進路を塞ぐかのように、マシンディケイダーに乗ったディケイドが現れる。警察と違ったルートを取り、先回りしたのだ。

「ヌ? クウガ……、バ?」
「クウガ? 違うね。俺は『ディケイド』。仮面ライダーだ」
「リントビ、ガサダバゲンギガ、ギダボバ!」
「面倒臭ェな。相手してやるから、とっととかかってこい」

 互いに道を譲る気はない。ならば戦ってけりを付けるまで。ディケイドと牛の未確認との戦いが始まった。
 牛の未確認は自分の体の装飾品のひとつを千切り、ハンマーのような武器に形を変えて襲いかかる。ただの装飾が武器に変わるあたり、これもクウガの「モーフィングパワー」と似たものなのだろう。

 ディケイドは力任せに振るわれるハンマーを軽々とかわしつつ、すかさず拳で反撃を見舞う。カウンターで叩き込まれては、避けようが無く、破壊力も尋常ではない。
 たかだか未確認生命体一体、ディケイドにとって敵ですらなかった。

 警察が現場に到着したのはそれから数刻後のことだ。女性警官を保護し、警官隊が包囲網を敷く。途中で合流したユウスケもその中に加わり、未確認のお出ましを今か今かと待ち構えていた。
 だが、事態は彼らの予期せぬ展開を見せた。未確認第九号――牛の化け物が、これまた不気味な全身ピンク色の怪物に圧倒されているのだ。

「ゼンヅザバギダザソグ……、バゼボンバボドゾグス!」
 牛顔の未確認はは必死に何かを訴えるも、ディケイドは聞く耳を持たず、ただ殴り、蹴りつける。
「さぁて、とどめといくか」

 ――FINAL ATTACK RIDE 「De-De-De-DECADE」
 周囲に轟く「ディ-ディ-ディ-ディケイド」という軽快なラップ音。
 同時に彼のベルトから、人一人ほどの大きさの金縁のカードが数枚飛び出した。
 カードに接触した九号は、よろけて片膝をつく。ディケイドはそのカードを潜り抜け、必殺の飛び蹴りを見舞った。
 仮面ライダーディケイドの必殺技の一つ、『ディメンジョンキック』。
 牛の胸部は強烈な一撃によって貫かれて砕け散り、爆炎と共に吹き飛んだ。

 新たな未確認による脅威は去った。だが、警官隊はその結果に困惑してしまう。
 クウガとグロンギとの戦いと同じく、ディケイドと未確認との戦いは、一般人から、傍目から見れば『怪物同士の争い』にしか見えていない。
 四号《クウガ》以外の怪物が、同族と思しき未確認を始末した。彼らにはその理由が理解できないのだ。
 奴らに付き合う気も暇もない。ディケイドは踵を返してマシンディケイダーに跨る。
そんな中、ユウスケは困惑する警官隊を押し退け、去ろうとするディケイドに問うた。
「待て、待てよ……っ! てめぇ、なんで同じ『未確認』を倒した!?」

 おいおい、あいつらと同族に思われていたのか。心外だな。ディケイドは振り向かず、片手を上げて平と振り、
「俺は『グロンギ』じゃねぇ。じゃな、未確認モドキ君」
とだけ言い残し、三池トンネルを後にした。

◆◆◆


 定着液で像を固定したネガフィルムを取り出し、一度洗浄。その上で今度は現像液に浸し、今一度水洗いをし、引き伸ばし機を用いて像を拡大。
 それを印刷用光沢紙にプリントし、フィルムの時と同じく、数十分現像液と定着液に浸す。その後色落ち、変色を防ぐ為、水洗いをしてようやく一枚。
 設備さえあれば、初心者でも容易に行える写真の現像法だ。

「ちぃ……やっぱりこうなるのか。ここも俺のいるべき世界じゃないらしい」
 未確認生命体を始末して写真館に戻ってきた士は、プリントした写真を見てため息を一つ。今回も写真が不可思議に歪んでいるのだ。
 像が、人物が、背景が、奇妙に歪む写真たち。それは「ここは士の居るべき世界ではない」証拠であり、何より、彼自身のアイデンディティーでもあった。

 ちなみに普通の写真屋に行けば、最新鋭の機械で今より容易かつ、鮮明に現像が行えることは士も知っている。
 だが、館長の栄次郎がこのやり方に強く拘っており、士自身もこの方法で焼く写真に愛着を持っているため、面倒でもこの方法を続けているのだ。
「士君、やっぱりダメでしたか」彼の背中越しに写真を見、夏海も残念そうな声で言う。
「やっぱりって何だよ。お前にそう言われると腹が立つ。しゃあない、『あっち』の方に手を回すか」
 士は現像した写真の縁を持って水気を切り、自身の”ダメ写真入れ”と殴りかかれた段ボール箱に放り込み、マシンディケイダーのエンジンをかけた。

「ちょっと、士君。こんな時間にどこへ」
「警察署だよ。曲がりなりにも”巡査”だからな。あいつらの捜査に貢献してやろうかと思ってさ」
「またそんなことを……。あぁっ、ちょっと待ってください士君!」
 夏海の制止も聞かず、士は警察署に向かってバイクを走らせる。
 彼と入れ違いに写真館にやってくる者もいた。ディケイドに出番を取られて立腹のユウスケだ。士のことを思い出して戻ってきたのだろう。
 ユウスケは有無を言わさず夏海の両肩を掴み、前後に激しく振った。「おい、あいつ! あいつはどうしたんだ!」
「あっ、ああ……あいつ?」
「あの趣味の悪いピンクのカメラぶら下げた生意気な野郎だよ! どこ行きやがった! ここで待ってろ、ってちゃんと言っただろうが!」
 彼が素直に言うことを聞くわけないでしょう、という言葉を喉元で留め、「どこって、えぇっと……、警察署?」当たり障りのない言葉で返す。
「何ぃ? あぁ、もう! またあねさんのところかよ」
 ユウスケは踵を返し、停めたバイクにエンジンをかけるべく、レバーを足で蹴り込む。
 整備が行き届かず調子が悪いのか、バイクのスターターレバーをいくら蹴りこんでも、エンジンは一向にかからない。
 夏海はユウスケがなかなか発進できないのを見て、それまで疑問に思っていたことを口にする。
「あ、あの。あなたって……”四号”、なんですよね?」
「……あいつがそう言ったのか?」
「いいえ。士君が話してたことから見て、なんとなく」
「だったら、何?」
 夏海の質問に、今以上に不機嫌な態度で答えるユウスケ。聞いてはならないことだったのか、しかしい聞いておきたい。夏海は持っていた新聞をちらと見、わざと明るい声で切り返した。
「え、えぇっと。すごいなぁ、って。”誰かのために”戦えるなんて。みんなを護るために、自分の身も顧みず、あんな怖そうな怪物たちと戦ってる……って思うと」
 ———”誰かのため”? その一言を聞いた瞬間、ユウスケは彼女を鼻で笑った。
 楽しくて笑ったのではない。その奥にはどうしようもない苛立ちと、根深い悪意が隠れている。
「馬鹿言うな。誰が見ず知らずの他人なんかのために戦うもんか。俺は、”自分のため”に戦ってる。グロンギを倒せば八代のあねさんは喜んでくれるし、何より姉ちゃんを“殺した”奴を探すには、あいつらと戦い続けるしかないからよ」
「お姉さんを……殺された?」
「小野寺サクラコ、あの怪物共の研究をしていた考古学者さ。奴らの復活の時に殺されたよ。
 最初に暴れ出したグロンギは俺がこの手で叩きのめしたが、姉ちゃんを殺したのはそいつじゃなかった。奴らを殺して殺して殺しまくり、真犯人を見つけ出す。だから俺は戦うのさ」
「そんな……」
 衝撃を受ける夏海に対し、ユウスケは尚も捲し立てる。「悪かったな、あんたの思ってるようなヒーローじゃなくてよ。何が誰かのために戦うだよ、笑わせるぜ。その手に持ってる新聞。ちゃァんと読んだのか?」
 ユウスケに促され、新聞の一面に目を通す。「未確認生命体第四号」が同種の未確認を倒したことが詳細に綴られている記事だ。勇ましく相手と戦う赤のクウガが一面を飾っている。
 だが、ユウスケが読むように指示したのはそこではない。記事の下に小さく書かれた投書欄の方だ。
投書欄に書かれていた内容はこうだ。

 ――四号が逃げ遅れた子どもを戦いに巻き込み、怪我を負わせた。
 ――未確認から私たちを護ってくれているのかも知れないけれど、そもそも、そんな未確認に護られていることに納得出来ない。いつか私たちに牙を剥いてくるかも知れないというのに。
 ――あんなやつを野放しにしている警察は一体何をしているんだ。早くあの”害獣”を駆除すべきではないのか。
 どれもこれも4号を、クウガを中傷する内容ばかりだ。
 ユウスケは暗い表情をし、目を伏せる。「確かに、俺は子どもを戦いに巻き込んだ。けど、巻き込んだ子供を庇っただけで、危害は加えていない。助けた子どもを親の元に帰してやった、あの時の親の顔。今でも忘れられないよ。”憎い仇を見ているかのような”冷たい目つき。子どもを助けたやつに対して向けた目だぜ? 信じられるかよ。
 俺が何をした? 未確認の奴らから護ってやったのに。そしたら何だよこの仕打ち。最初っから助けなきゃよかった、ってか。どいつもこいつも俺のことをそんな目で見るんだ。”死んじまえ”ってな。
 そんな奴らのために戦う? 馬鹿言うなよ。誰がやってやるもんか。もういいだろ? 俺は行くぜ、あんたのお仲間をとっちめてやんねぇと」
 漸くエンジンがかかった。ユウスケは座席に腰を落ち着けると、アクセルをいつもより強く噴かして走り去る。

 ユウスケの言葉に、夏海は何も言い返せなかった。何と言っていいのか分からなかったのだ。
 護るべくして戦えば戦うほど、護った人々に疎まれ苦悩する、孤独な青年に掛けるべき言葉など、彼を慰められる言葉など、彼女には掛けようがなかった。
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~ Comment ~

NoTitle 

ざっとクウガ編第二話まで読み終えました。

アレンジがなかなか良い感じだと思います!

文章で気になるところもありますが、それはまた今度お伝えしますね。

それでは、また
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